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つい最近世間を騒がせた「かぼちゃの馬車」。
女性専用のシェアハウスとして、かなりの物件数を誇り、その運営会社は急成長を遂げていました。
この「かぼちゃの馬車」等を運営するスマートデイズ社とマンスリーマンションでおなじみのレオパレス21社、この2つの会社に共通するのが「サブリース方式」と言われるものです。
「かぼちゃの馬車」の何が問題だったの?
大きなニュースになったので、すでにご存知の方も多いでしょうが、「かぼちゃの馬車」などを運営していたスマートデイズ社が経営破綻し、平成30年5月15日午後5時に東京地方裁判所の破産手続開始決定が発表されました。
ニュースを聞いてもあまりピンとこなかった人のために、今回の問題の要点を図にまとめてみました。
もちろん、すべてのスキームを確認したわけではないので「モデルケース」としておきましたが、ほとんどの物件でこのようなスキームが用いられていたと思います。
ニュース記事によると、スマートデイズ社から物件を購入していた大半が普通のサラリーマンであったといいます。
そして、「投資利回り8%」という甘い文句に乗せられて、それほど高額所得者でもない普通のサラリーマンが1億円近いローンを組んで物件を購入していたとのこと。
ここで、通常の感覚をお持ちの読者の方は2点ほど気になることが出てきますよね。
- そもそもサラリーマンがいきなりアパート投資なんかして運営できるの?
- そもそも1億円なんて大金銀行が貸してくれるの?
この2つの疑問はもっともです。
ここで登場するのが、図にもありますが、「サブリース(一括借上)」と言われるものです。
「30年間にわたり賃料を○○円として弊社が借りますよ」
というフレーズ、新聞広告等で見かけたことありませんか?それです。
空室だろうがそうでなかろうが、オーナーにはあらかじめ決められた固定の賃料が支払われ、空室リスクはスマートデイズ社が負うことになります。
実際入居率が高稼働を維持できていれば、スマートデイズ社にとっては、オーナーに賃料を払いながらさらに自社に利益が残っていくという仕組みですが、現実には、その入居率は4割にも満たなかったということも記事にありました。
当然、それでは、当初に約束していた賃料をオーナーに支払い続けることが困難になりますね。
一方的に「固定賃料の引き下げ」や「賃料の支払停止」が宣告されるような事態が頻発し、オーナーとスマートデイズ社の争いが明るみにでたというわけです。
当然、スマートデイズ社からの賃料が入ってこなければ、サラリーマン大家さんはたまったもんじゃないですよね。
銀行に億単位の借金を返していかないといけないのに・・・
今後破産者が続出する可能性すらあります。
衝撃のスマートデイズ社とスルガ銀行の蜜月関係
ここまでの話だと、「投資は自己責任」という声も一部から聞こえてきそうです。
僕もそう思う部分がないわけではないのですが、僕が一番問題だと感じているのがスマートデイズ社とスルガ銀行との関係、そしてスルガ銀行の体質です。
このスキームでかぼちゃの馬車を購入するオーナーに、1件あたり約1億円もの融資をしていたその大半がスルガ銀行であったそうです。
先に上げた2つの疑問の2つ目を思い出してください。
「そもそも1億円なんて大金銀行が(普通のサラリーマンに)貸してくれるの?」
収入が決して高額と言えない普通のサラリーマンにどうしてそんな大金を融資することができたのでしょうか?
僕がこのネタを記事にしようと思ったきっかけは、テレビ東京のガイアの夜明けの放送だったのですが、その放送によると、なんと融資の審査に用いる預金口座の残高を水増しして銀行に提出していたんです。
そして、その偽装がスルガ銀行の担当者とかぼちゃの馬車の販売会社の営業マン(スマートデイズ社自体ではないのかな?)との間でLINE等により生々しく行われていた可能性が高いというのです!
その偽装の様子が再現されていたんですが、PCを使っていとも簡単に預金通帳の残高の桁が2つくらい大きく改ざんされていました。
この悪質な(というか犯罪ですが)改ざん、ちょっとぼかして言いましたが、本心は絶対黒だと思ってますよ笑
スルガ銀行の元社員の証言によると、上司から物凄い圧力がかけられて「成績が1億、2億足りないなら作ってこいよ」みたいな会話が日常的にされていたと言いますので、まず組織的に不正ないしそれに近いきわどい融資を行っていたとみてまず間違いないでしょう。
ここまで知るとさすがにしがないサラリーマン大家さんが気の毒に思えてきます・・・笑
笑ったらあかんです。。。
サブリースと言えばのレオパレス21でもまたまた問題が・・・
そして、同番組でサブリースと言えばおなじみのレオパレス21についての新たな問題も放送されていました。
以前も、レオパレス21社による一方的な「賃料減額」や「契約解除」といった問題をスクープしたガイアの夜明けでしたが、今回報じたのは「建築基準法違反の疑い」というこれまた耳を疑いたくなるような問題でした。
レオパレス21社のニュースリリースを一部抜粋します。
- 平成30年4月27日
「当社一部物件における確認通知図書との相違部分に対する補修工事の実施について」
株式会社レオパレス21は、当社が、開発・販売した集合住宅「ゴールドネイル」および「ニューゴールドネイル」シリーズにおいて、確認通知図書(建築確認を受けた図面)と実際の施工内容が一部異なるものがあり、この度、すべての対象物件において確認調査を行なった上で、補修工事を実施させて頂く事といたしましたのでお知らせ致します。
お客様をはじめ関係者の皆様にはご心配、ご迷惑をおかけする事態となり、心よりお詫び申し上げます。
「公表の経緯」
3月29日及び4月17日に対象物件の2名のオーナー様から、確認通知図書との相違のご指摘を受け、社内確認をしたところ、一部現場のみではなく、広く確認通知図書に界壁の記載がなされていたことが判明し、施工者としての責任に鑑み、界壁設置工事を行うこととしたため、公表する次第です。
- 平成30年5月29日
「当社施工物件における界壁工事の不備について」
株式会社レオパレス21は、本年4月27日付けで公表したリリースでお知らせした通り全棟調査を開始しましたが、その過程で、1996年~2009年に建てられた、当社施工物件の一部において、建築基準法に違反の疑いのあるものが発見されましたので、以下詳細をご報告致します。
引き続き全棟調査を進め、補修工事を行なってまいります。
入居者様、物件オーナー様、監督官庁並びに特定行政庁の皆さまには多大なるご心配とご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます。
「発生原因」
>図面と施工マニュアルの整合性の不備
当時、物件のバージョンアップが頻繁に行われており、建物の仕様が分かりにくくなっていたことや、施工業者に渡している図面と施工マニュアルの整合性に不備があったことが確認されております。
>社内検査体制の不備
検査は行ってはいたものの、規格商品であることから図面等と現場との照合確認が不十分であったことと、検査内容も自主検査に留まっており、社内検査体制も不十分であったと認識しております。
引き続き調査を行い、発生原因の究明に努めてまいります。
ちなみに「界壁」とは下の図にある三角形の壁のことを言うそうです。(レオパレス21HPより)
この工事が為すべきところ、為されていない物件が複数見つかったというのです。
「これ、素人目にも建物の構造上むっちゃ大事そうやん!!」って思いません?
ちなみに建築士の友達に聞いたところ、
「何らかの形で作る工程を飛ばしてしまい、かつ建築士が設計監理(設計図書通りできてるか確認すること)上確認しておらず、かつ完了検査時に検査員が確認していなければ起こりうる」
とのことでしたので、さすがに故意に(コスト削減等のために)界壁工事をすっ飛ばしたのではないと信じたいですが・・・
それにしても、「(固定)賃料は引き下げられる」は、「工事も約束通りやってない」ではあまりにオーナーさんが気の毒ですね。
実際問題が見つかったアパートの新規募集は止めてるようですが、そのことによる損失はレオパレス21とオーナーのどちらが被るのでしょうね。
このままではオーナーさんから自殺者出るんちゃいますか?
人殺しになっちゃいますよ。
少なくとも、ガイアの夜明けを見る限りでは、レオパレス21がニュースリリースで公表しているように、2名ののオーナーから指摘されて初めて問題を認識したとかかなり怪しいし、社内検査体制の不備とか言う問題ちゃいますよね。
ええ加減にして欲しいですね。
いるんかわからないですけど、真面目にやってるアパート建築会社が風評被害で可哀想ですよ。
サブリースをしてもらってる物件の財産評価
と、ここまで最近話題のサブリース関連の2件のニュースに関して改めてまとめてみましたが、念のために言っときますけどサブリース自体が悪いのではありませんからね。
30年家賃保証を謳っていても、契約書のどこかにはこういう状況になれば家賃引き下げますよとかって書いてるはずです。
なので、オーナーばかりが全くもって被害者かというとそうは言い切れない部分もあると思います。
ただ、そこまで言っちゃ可哀想なんで、ちょっとサブリースをしている物件のオーナーさんに耳寄り情報をひとつ。
先日「「貸家建付地の評価で誤用しがちな『賃貸割合』の解釈」」において、貸家建付地の評価の際の「賃貸割合」の考え方を説明しました。
ちょっと誤解されがちな部分なので、まだ読まれていない方はぜひ読んでみてください。
そこで、サブリース物件の賃貸割合について考えてみます。
オーナーからすると、たとえ課税時期においてアパートの一部が空室だったとしても、不動産管理会社等(レオパレス21やスマートデイズのような家賃保証をしている会社)に対して借家権を持たれているので、原則として賃貸割合は100%であると考えることができます。
レオパレス21やスマートデイズとの争いのさなかに亡くなられたようなオーナーがいらっしゃるとすれば、例え空室だらけでも、その相続におけるアパートの評価においては賃貸割合100%として幾分か低い評価で申告することができるというわけです。
実際にそのような方がいらっしゃるとすれば、そんなことはなんの慰めにもなりませんが・・・
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