Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/users/0/lovepop.jp-cerveau-creer/web/hisohisofudosan.com/wp-includes/formatting.php on line 2425
実務をしていてたまに出くわす最悪なパターンの一つが、父親から相続した土地の名義がさらに先代の祖父のままだったというケースです。
なぜ、名義変更をしないまま放置されていたのでしょうか?
またそれで何も問題はなかったのでしょうか?
土地の名義変更がされない理由
まず、最も大きい原因の一つに挙げられるのが、名義変更に期限がないということです。
もっと言うとそもそも相続による所有権移転登記が必須の義務ではないということです。
そんなことがあるのか?と思われるかもしれませんが、登記という行為は、その土地に関する権利を第三者に主張するための要件であって、権利の成立(あるいは権利変動)の成立要件ではありません。
つまり、遺言や遺産分割協議によって有効に権利の変動がなされていれば、その不動産に関する権利変動は登記の有無に関わらず有効に生じるのです。
となれば、登記の手間や費用を嫌って相続登記をしないまま放置される不動産があっても不思議ではないですね。
しかし、これを放置したまま何世代も下っていくと恐ろしいことになります。
3世代、4世代の後に名義変更をきちんと行おうとすると、何十人もの相続人の同意等が必要となり膨大な手間と費用が生じることとなります。
実際、僕も実務で司法書士の先生に協力いただきながら何十人にも及ぶ壮大な相続関係図を作成して関係者を特定し、一件一件同意を取り付けて名義変更を行ったことがあります。
ザラに半年は要する難作業でした。
何回か相続を経ていると、きちんとした遺産分割がなされていない相続に出くわすこともあります。
相続税の申告が不要なレベル(課税価格の合計額が基礎控除以下のようなケース)の相続ですと、手続きが全くなされていない、あるいはいい加減にされている傾向にあります。
こうなるともう悲惨です。。
遺産分割協議を代襲相続人を集めて行うところからしなければならなくなったりします。
こういった後々の手間もそうですが、いざ土地を売却しようとする際やその土地の上に建物を建築しようとした場合にも問題が生じます。
それでも払いたくない登録免許税
これだけ相続登記をせずにいることのデメリットがあっても、やっぱり放置されている土地がたくさんあるのは、なんといっても名義変更時にかかる登録免許税のせいでしょうね。
相続による所有権の移転登記にかかる登録免許税
=不動産の価額(固定資産税評価額)×0.4%
相続による名義変更の場合には、売買等による名義変更の場合と比べて税率が抑えられているとはいえ、確かに小さくない負担です。(売買等の場合には、2.0%)
1億円の土地の名義変更をするのに400,000円もの登録免許税がかかります。
実際にはこれに司法書士の報酬なんかもかかってしまいます。
放置したくなる気持ちも分からんでもないです。。
父親も名義変更しなくて問題なかったんだし、自分も名義変更せず放置しておこうとなっても不思議ではありません。
ただ、繰り返しになりますが、それは後世にツケを回しているだけですから!
社会的にも最近問題になってきている、空き家問題を引き起こす一助にもなってしまいます。
その土地の上に住居が建っているようなケースで、土地の名義変更がされてないばかりに、売ることもつぶすこともできずに放置しているという不動産も多いのではないでしょうか。
家屋が崩れかけた状態やゴミ屋敷のような状態で放置されていると近隣、地域社会への悪影響も非常に大きなものとなります。
しかも、こうなると固定資産税が大きく増加する可能性もあります。(参照:「居住予定のない空き家候補物件は要注意!」)
税制改正で登録免許税の免税措置が手当されていた!
実は、このような放置不動産、迷子不動産の増加に歯止めをかけるべく、税制の面からきちんと手当がされたんです。
平成30年度の税制改正ですから、出来立てほやほやです。
この改正により、次のような場合の登録免許税が免税となることとなりました。
(出所:法務局HP「相続登記の登録免許税の免税措置について」)
登記名義人となっている被相続人A(祖父)から相続人B(父)が相続により土地の所有権を取得した場合において,その相続登記をしないまま相続人B(父)が亡くなったときは,相続人Bをその土地の登記名義人とするための相続登記については,登録免許税が免税となるということです。
これまでですと自分(C)ないしは共同相続人で本来父(B)が負担すべきであった登録免許税まで負担しなければならなかったところが、この改正により免税となったんです。
これは大きいですね。そしてあり難い!
とりあえずは平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記について適用される時限立法であるため、該当する不動産に心当たりがある方は早めに手続きを取ってください。
手続きも簡単!
登記の申請書に免税の根拠となる法令の条項を申請書に記載するだけでOKとのこと。
イメージはこんな感じです。
赤字の記載がポイントです。
いかがでしょうか?簡単ですね。
ぜひ、放置不動産をお持ちの方も今のうちに名義変更してしまいましょう!
子どもや孫にツケを回したらあきません!
*****
知ってる人だけ得してる《ちょっとマニアックな》不動産オーナーのための相続・承継の話