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通り抜け私道・行き止まり私道・専用私道
私道とは、道路法や建築基準法の規定による道路に該当するか否かを問わず複数の者の通行の用に供される私有地である宅地をいいます。
私道には、次の3つがあり、それぞれ財産評価の方法は次の通りです。
- 通り抜け私道(不特定多数の者が通行する私道)
・・・評価しない
- 行き止まり私道(特定の者が通行する私道)
・・・(原則)自用地として評価した価額×30/100
(例外)特定路線価×地積×30/100 (特定路線価設定申出書を提出して特定路線価を設定してもらう場合)
- 専用私道(宅地の所有者のみが通行する私道)
・・・(通達上の私道ではなく)通常の宅地として評価
特にその評価を含めて取り扱いに注意したいのが「行き止まり私道」です。
「やみくもに『特定路線価』の設定申請をするな!!」でも言ったように、特定路線価は、原則通り私道を1画地の宅地であるとして評価する場合と比べてその減価の割合が半分以下だったりします。
どう考えても割高なケースが多いようですので、その申請にはご注意ください。
(※申請して使用しないのは問題となる可能性があります。)
セットバックを必要とする宅地の評価
建築基準法第43条で、新たに建物を建築するためには、原則として幅員4M以上の道路に接道する事が必要とされています。
経過措置としてこの規定ができる前に存在していた建物にかかる幅員4M未満の道については、幅員4Mの道路とみなされていますが、将来建て替え等を行う場合には、その道路の中心線から左右に2Mずつ交代した線まで交代して道路敷を提供しなければならない事とされています。
これを「セットバック」と言っています。
評価する土地が、セットバックの対象とならない土地なのか、すでにセットバック済みなのか、将来建て替え時にセットバックが必要な土地なのかは、役所での調査にて確認する必要があります。
これは要は70%引きで、3割は評価されるという事ですから、上の私道の「行き止まり私道」と同様の評価ということになりますね。
セットバックの規定は、現実にはその宅地の上に建物が建っていたとしても評価減を受けられるという点は私道とは異なりますが、実際にはセットバックをすると「特定の者が通行する私道」ではなく「不特定多数の者が通行する私道」となることが多いでしょうから、それからすると評価減の割合が小さい気がしますよね。
実際、通達評価上3割評価でも不動産の売買実務では、ゼロ評価です。
ただでさえ、現実からすると評価が乏しいセットバックの評価ですが、そもそも評価減を受けていないケースも多いようです。
実際にセットバックして分筆していないと、評価減できないという誤解があるのかもしれませんね。
実際には建物が建っている状態でも評価減は受けられるし、セットバック部分を分筆しているか否かは、評価減を受けるための要件とはなっていないということを理解しておく必要がありますね。
セットバック部分の計算を誤らないように、土地家屋調査士の先生にセットバック部分の求積をしてもらっておいて、場合によっては分筆まで被相続人となるであろう方の負担で行っておくのもいいかもしれませんね。
私道に関する固定資産税の取り扱い
ここまで私道、セットバックに関して相続税の財産評価に関する取り扱いを見てきましたが、同様に固定資産税の取り扱いはどうなっているのでしょうか。
(引用:大阪市HP)
(※)「○」:必要条件 「×」:不必要条件
固定資産税の取り扱いについては、自治体によって差があるため評価の都度該当する自治体での確認がかかせませんが、大阪市では、私道(私有道路)については、次のとおり分類してそれぞれ評価の仕方等を定めています。
いずれにも該当しない単なる通路などについては宅地等として評価を行います。
公共の用に供する道路・・・非課税
公共用道路に準ずる道路・・・評価額は0 (税負担なし)
その他の道路・・・評価額は付近の土地の価額の10分の1に相当する額(※)それぞれの道路の要件は上図参照
この区分、課税上の取り扱いともに相続税評価と異なることがわかりますね。
そして、公共の用に供する道路(非課税となるもの)または、公共用道路に準ずる道路(非課税とはならないが、評価額が0などになるもの)などへの認定(取消)を受けようとする場合には、「土地非課税適用(取消)申告書」「私道評価申出書」の提出が必要であることにも注意が必要です。
固定資産税評価においては、地方税にて役所に対して年に1度の現地調査を義務付けているものの実際には、役所がその事実関係をタイムリーに確認してくれて、私道となった場合に非課税ないしゼロ評価にしてくれるということを期待してはいけません。
また、セットバックについても、固定資産税評価においては、役所によってその取り扱いが異なるものの、基本的には、「セットバック相当部分が分筆されており、かつ、相当部分がすでに公衆用道路の用に供されていること」「セットバック相当部分が分筆されていない場合は、私有地と相当部分の境界に客観的な隔たりがあり、かつ、相当部分がすでに公衆用道路の用に供されていること」が要件とされている市役所が多く、セットバック部分に花を植えたプランターを置いているだけで非課税としてくれなかったりします。
相続税評価よりもその取り扱いが厳格であるといえます。
該当する役所の取り扱いをしっかり確認し、対策をとることで余分な税金を支払わなくていいようにしたいものです。
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