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生産緑地という言葉をご存知ですか??
「知らないよ」という方でも、一度はこんな杭の立ってる畑や田んぼを見たことがあるんじゃないかと思います。
「あ〜見たことあるわ」と大半の方は思っていただけると思います。
そうです、こんな杭や看板が立った農地が生産緑地です。
で、実際のところ生産緑地とは何なのか。
生産緑地の3要件
いきなり堅い説明ですが、「生産緑地」とは市街化区域内にある農地等で、次の3要件を満たすものについて都市計画で定められた区域のことをいいます。
1. 公害又は災害の防止、農林漁業と調和した都市環境の保全等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること
2. 500㎡以上の規模の区域であること
3. 用排水その他の状況を勘案して農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められるものであること
この生産緑地をよりよく理解するためには、生産緑地制度が生まれた背景を知る必要がありますね。
それは、昭和60年代(まさにバブルですね)に入り、三大都市圏を中心として地価が高騰する中、市街化区域内の農地に対しては、宅地化の促進と税負担の公平の確保が強く求められることとなりました。
これに対応するため、主に三大都市圏の特定市において、平成3年以降、保全する農地と宅地化する農地の区分が行われ、保全する農地については、生産緑地地区の指定が行われたというわけです。
農地の区分
ちょっとここで「市街化区域」だの「市街化する農地」だのってなんなのってツッコミが入りそうなので、まずは農地の区分について説明します。
理解されてる方は、先に進んでください。
農地の区分については、各法律等によってその区分が異なるため、理解が非常に困難ですが、整理して理解しないとこんがらがってこれからの話がなんのこっちゃかわからなくなっちゃいます。
ちなみに、市街化区域とは「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」をいい、市街化調整区域とは「市街化を抑制すべき区域」をいいます。
今回のメインテーマである生産緑地については、市街化区域内にある農地の話だということは最低理解して先に進んでください。
甲種農地やら、第1種〜第3種農地になるともっとマニアックなのでここは読み飛ばしてもいいですが、一応説明すると次のように区別され、その宅地転用のハードルの高さに差が設けられています。
甲種農地…市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地
⇒原則不許可(土地収用法の認定を受け、告示を行った事業等のために転用する場合、例外許可)
第1種農地…10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地
⇒原則不許可(土地収用法対象事業等のために転用する場合、例外許可)
第2種農地…鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地
⇒農地以外の土地や第3種農地に立地困難な場合等に許可
第3種農地…鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地
⇒原則許可
(農林水産省HP参照)
なんとかついてきてくださいね笑
生産緑地の特徴
話を生産緑地に戻しますが、この生産緑地の特徴については、次の4点がポイントとなります。
① 行為の制限(生産緑地法第8条)
以下の行為については、市町村長の許可が必要となります。
市町村長は、当該生産緑地地区において農林漁業を営むために必要となる施設の設置等に限り許可できます。
・建築物その他の工作物の新築、改築または増築
・宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更
・水面の埋立てまたは干拓
② 土地の買取りの申出(生産緑地法10条)
農林漁業の主たる従事者が死亡等の理由により従事することができなくなった場合、または生産緑地として告示された日から30年が経過した場合には市町村長に買取りを申し出ることができます。
③ 生産緑地の取得のあっせん(生産緑地法第13条)
市町村長は、買取りの申出がなされた生産緑地について、買取らない旨の通知をしたときには、当該生産緑地において農林漁業に従事することを希望する者が取得できるようにあっせんすることに努めなければなりません。
④ 行為の制限の解除(生産緑地法第14条)
生産緑地法第10条に基づく買取り申出があり、申出の日から3月以内に生産緑地の所有権の移転が行われなかったときは、行為の制限が解除されます。
(国土交通省 公園とみどりHP参照 )
つまり、生産緑地に指定されると市街化区域内といえども農地等以外への転用は原則できないこととなり、相当の利用制限を受けることとなります。
一旦、生産緑地となった農地等がその制限を解除され、宅地転用が可能となるのは、買取の申出を行って、その申出の日から起算して3か月以内にその生産緑地の所有権が移転しない場合(つまり、市町村自体も買い取らないし、市町村によるあっせんも不調の場合)に限られます。
そして、実際のところ、申出をした農地等が市町村に買い取られるのはごく限られたケースのようです。
ちなみにこのブログを執筆している平成29年1月7日現在大阪市のHPをみてみると7件のあっせん対象の生産緑地が掲載されていました。
大阪市がHP以外でどのようなあっせん活動をしているのかはよく分かりませんが、少なくともこのHPをみて買い手希望者がうまくみつかる可能性は低そうなのであっせんもそうそう上手くいかないんじゃないですかね。
ですので、逆に生産緑地の所有者が宅地転用を希望する場合には、生産緑地に指定されてから30年を経過するのを待って、役所に買取の申出を行い、役所による買取もあっせんも不調となるのを待てばいいということになります。
生産緑地の指定を受けることのメリット
しかし、こんな重たい制限を課せられてまで、農地等について生産緑地の指定を受けようとするのには当然それ相応のメリットがあるはずですよね。
生産緑地の指定を受けることのメリットは大きく「固定資産税の負担軽減」と「相続税の納税猶予制度の活用」と「相続税評価の減額」の3点です。
生産緑地のメリット〜①固定資産税の負担軽減〜
1点目の「固定資産税の負担軽減」という点については、表を見ると一目瞭然ですが、特に三大都市圏の特定市における市街化区域内の農地については、生産緑地の指定を受けないかぎり、固定資産税の評価も課税も宅地並みに行われるので農地として活用して得られる収益からはとても負担することのできない大きな税負担となります。
このことから、固定資産税の負担を軽減させるために生産緑地の指定を受けることは大きなメリットとなるわけです。
生産緑地のメリット〜②相続税の納税猶予制度の活用〜
2点目の「相続税の納税猶予制度の活用」という点については、本来三大都市圏の特定市における市街化区域内の農地については、猶予の適用がないのですが、生産緑地の指定を受けた場合については、終身営農を条件として適用が可能となるのです。(農業経営を廃止すると納税猶予額を納付する必要が生じる。)
生産緑地のメリット〜③相続税評価の減額〜
3点目の「相続税評価の減額」の詳細は、#2で詳しく説明しますが、生産緑地は、相続税の課税時期から買取の申出をすることができることとなる日までの期間に応じて、その土地評価において評価を減額することができるのです。
生産緑地はどこにあるのか
特に、三大都市圏の特定市における市街化区域内農地の所有者にとって、非常に大きなメリットがあることから、生産緑地の指定が一気に行われたというわけです。
平成22年度のデータですが、実際に生産緑地はそのほとんどが三大都市圏の特定市に集中していることがわかります。
これは、先に述べた生産緑地のメリットを考えると当然なんですね。
(#2 生産緑地の2022年問題にどう対処すればいいか 【#2 2022年問題は何が問題なのか】に続く)
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