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土地の評価単位
土地は、1筆毎に登記されています。
しかし、現実には1筆の上に複数の建物が建っていたり、複数の筆にまたがって一つの建物が建っていたりします。
このような土地を評価する際に、一括りにして評価するそれぞれを「評価単位」と呼びます。
不動産の評価をするにあたって、評価を誤ってしまうポイントはたくさん存在しますが、その中でも最も誤りによる影響度の大きいのがこの「評価単位」を誤ってしまうことではないでしょうか。
その後の各種補正の適用なんかを軒並み間違えることになってしまいますからね。
なかなか専門家でない不動産オーナーの方には理解しにくいですが、「評価単位」の判定基準を法令等に忠実にまとめると次のようになります。
・相続税
原則として、地目の別に評価する。
ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする。
宅地は、一画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。)を評価単位とする。
・固定資産税
原則として一筆の宅地を一画地とする。
ただし、一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について、その形状、利用状況等からみて、これを一体となしていると認められる部分に区分し、又はこれらを合わせる必要がある場合においては、その一帯をなしている部分の宅地ごとに一画地とする。
結局のところ、相続税評価においても固定資産税評価においても「利用の単位」ごとに区分して評価しなさいよと言ってるんですね。
相続税と固定資産税における評価単位の考え方の違い
じゃあ、相続税の評価単位と固定資産税の評価単位が一致するかというとこれが全く一致しないんですね。
なので、相続税評価をするときに、固定資産税の課税明細書なんかを引っ張り出してきて、(筆毎に評価額を地積で割って㎡あたり単価を確認することで)役所がどのような評価単位で評価しているのかを確認して、その評価単位を踏襲しようなんてことをすると大いに誤ることになります。
よくあるのが、土地aを持っているAさんが、隣接する土地bを所有するBさんに土地を貸している、そしてBさんが土地a・bの上に建物を建てて所有しているというようなケースです。
この場合の土地の評価単位はどうなるでしょうか?
正解をいうと、 相続税では、Aさんは土地aを一画地として評価し、Bさんは土地a・b全体を一画地として評価します。
これが、固定資産税では、AさんもBさんも土地a・b全体を一画地として評価することとなります。
この違いはどこから生まれるのでしょうか?
上で見た通り、両方の評価ともに「利用の単位」ごとに一画地とするならば、一見すると固定資産税評価のように評価するのが正しいように思います。
しかし、両評価には決定的に考え方の違いが存在します。
その違いは、それぞれの税金の性格の違いに起因するものです。
相続税は、「人の死亡を契機として富の再配分(処分)を一時に行おうとする性格」のものなので資産の処分価値を重視する傾向が強い。
これに対して、固定資産税は「資産の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、その資産保有を前提とする価値に応じて継続課税するという性格」のものなので、相続税に比べてより現実的利用面を重視した課税となる。
よって、処分価値に着目する相続税では、現実に一画地をなしていても、処分時には、個々の筆毎に別々に売買されることが考えられるため、Aさんはあくまで土地aのみを一画地とすることになるのに対して、固定資産税では、現に一体として使用し収益を獲得しているのであれば、その状態をより重視すべきであると考えるので所有者が違えど土地a・bは一体評価となるのです。(「問答式固定資産税の法律実務 固定資産税実務研究会編」参照)
相続税評価の実務において、評価単位の判定で誤りが多い要因の一つに、この判定方法について法令や財産評価基本通達において、はっきりと考え方が明示されていないことが挙げられるのではないでしょうか。
普段から、相続実務に携わる税理士ならば当然に理解していることなんですが、このポイントに関しては国税庁から質疑応答事例が公表されています。これを読むと上記の固定資産税評価における考え方との違いなんかを理解できるはずです。
「国税庁 質疑応答事例 [宅地の評価単位] 」
《照会要旨》
宅地の評価単位である1画地の判定は、どのように行うのでしょうか。
《回答要旨》
宅地の価額は、1画地の宅地(利用の単位となっている1画地の宅地をいいます。)ごとに評価します。
この場合における「1画地の宅地」の判定は、原則として、①宅地の所有者による自由な使用収益を制約する他社の権利(原則として使用貸借による使用借権を除く)の存在の有無により区分し、②他者の権利が存在する場合には、その権利の種類及び権利者の異なるごとに区分する(以下省略)
この、評価単位をきちんと(区別して)理解できていないために、誤った評価単位により評価された相続税の申告書や固定資産税の課税明細書をちょこちょこ見かけます。
過去に申告した相続税の申告書や固定資産税の課税明細書が手元にあればぜひともこの「評価単位」について確認をしてみてください。
相続税の申告書については、税理士が判断して、評価単位ごとに財産が分かれて記載されているはずですからすぐに確認できます。
固定資産税の課税明細書については、記載はあくまで1筆毎になっていますから、先述した通り、各筆の評価額を地積で割ることで各筆の㎡あたり価格を算出することで評価単位を確認することができます。
税理士や役所がする判定に誤りがあるのかと思われるかもしれませんが、実際の不動産の現場では権利関係がとても複雑に絡み合っていることがあり、プロでもなかなか判断が難しいケースが多いのです。
また、銀行や業者が作る不動産オーナー向けの提案書なるものに至っては、検討すらされていないむちゃくちゃな評価単位となっているものもあります。
もし誤りが見つかれば、相続税についても固定資産税についても払った税金を取り返すことができる可能性がありますのでチェックして損はないですよ。
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知ってる人だけ得してる《ちょっとマニアックな》不動産オーナーのための相続・承継の話