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2018.05.13.Sun

カテゴリー:不動産の財産評価は◯◯じゃ!「都市計画道路予定地の補正かけられそうだけど予定地の地積割合出すのって案外難しいよね」

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 財産評価基本通達24−7に「都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価」という項目があります。

 相続財産である評価対象地のうちに都市計画道路予定地の区域内となる部分がある場合に、その地区区分容積率地積割合(その宅地の総地積に対する都市計画道路予定地の部分の地積の割合)の別に応じて減額補正がかけられるというものです。

 

 

 

重要な役所調査

 

 

 今では、都市計画図がHPで公開されている役所が多いですが、基本的には役所の都市計画課などで都市計画図を閲覧ないし、写しの交付を受けることとなります。

 

 たしか大阪市役所では、機械からプリントアウトできます。

 

 最近大阪府の守口市で入手した都市計画図を見てみましょう。

 

 

 

 

 まずはこの「都市計画分布図」のようなおおまかな図により、都市計画道路の大体の位置関係を把握します。

 

 そして、次のような細かなエリアごとに確認します。

 

 

 

 

 例えば、図の佐太中町というエリアに都市計画道路(予定地)が走っていますね。

 

 評価の対象地の一部が都市計画道路予定地にかかっているとした場合、「よし、評価減できるポイントをみつけたぞ」となるわけですが、実際詳細な評価計算をする際に困ることがよくあります。

 

 というのも、一般的に備え置かれている都市計画図は縮尺が粗いことが多く、そもそもかかっているかどうかの判定や地積割合の正確な計算ができないんです。

 

 小さな縮尺なのに1mmくらいの太い線で明示されており、拡大してみても線の内側をとる場合と外側でとる場合ですごく数字が変わってしまうなんてこともよくあります。

 

 また、これを別の地図に置き換えるとどこを計画道路が走っているのかよく分からなくなりますよね。

 

 上記の都市計画図の赤丸エリアの公図が下の図です。

 

 この図でいうと例えば45や46、48−1といった土地の評価の際困りますよね。

 

 案外知られていないんですが、地図や測量図を持参して申請すれば、どこが該当部分か明示してくれる市役所もありますのできちんと評価をだすためにはここまでしないといけません。

 

 役所によって名前が異なるようですが、ちなみに守口市では「都市計画施設(道路・公園)明示申請書」といいます。

 

 

 

 

 

制限の割に小さな減額補正

 

 

 そもそも、都市計画道路予定地に減額補正がかかるのは、いずれ道路用地として買収されるため大きな利用制限があります。

 

 都市計画事業の決定から完成までの流れは次のような感じです。

 

 


 

都市計画の決定 → 事業認可 → 完成

 


 

 

 このうち事業認可の前の段階では、都市計画道路、都市計画公園・緑地等の区域内で、「建築物の建築」をしようとするときは、都市計画法第53条の規定による許可(知事の許可)が必要となります。

 

 

 ※「知事の許可」が例外的に不要なもの

  1. 軽易な行為
  2. 非常災害のための応急措置
  3. 都市計画事業としても行為

 

 

 また、事業認可後の段階になると、上の「建築物の建築」のほか「工作物の建設」や「土地形質の変更」「5トン超の物件の放置、設置、堆積」についても知事の許可が必要となります。

 

 宅地としても利用価値が著しく毀損しているといえる都市計画道路予定地区域内の宅地ですが、相続税評価による補正率は次の表の通りです。

 

 

 

 

 容積率700%以上のビル街地区・高度商業地区で地積割合が60%以上あって初めて補正率0.50、つまり50%の減額です。

 

 そもそも容積率が高いエリアの方が本来土地の高度利用が可能ですので、それが制限される損失も大きいため減額が大きくなってしかるべきですが、この表の容積率の3区分で果たして実態を反映できているのかという疑問もあります。

 

 表をみると、住宅地区なんてほとんど考慮されていませんよね・・・

 

 地積割合に応じて減額幅に差があることも理解できますが、実際都市計画道路予定地部分を切り取られた残地が、その都市計画のせいでものすごく不整形になるなど、大きく価値が毀損されてしまうことがありますがそこまで考慮されているかというと甚だ疑問です。

 

 もちろんそれらについては、補償金でカバーされていたりということがあるんでしょうけど。。。

 

 なんせ、実態ほどの減額がとれないことが多いように思います。

 

 かなり実感と異なる場合には、鑑定士による鑑定評価額の利用も検討した方がいいかもしれませんね。

 

 

 まぁ少なくとも役所調査等により、都市計画道路予定地に該当することを把握できていないと話になりませんけど。

 

 

 

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の一部が都市計画道路予定地の区域内となる宅地の評価

 

 

 これはおまけですが、関連する論点として上記タイトルの質疑応答事例が国税庁HPにあがっているので紹介しておきます。

 

 

 質疑応答事例のケースのそのまんまですが、上図のようなケースの場合、先に見た「都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価」に定める補正率表の適用にあたって使用する容積率は何%でしょうか?というのが問いです。

 

 参考にあるように都市計画道路予定地に係る部分が該当する容積率を用いるという考え方(=①)と、各容積率を加重平均して求められる容積率を用いるという考え方(=②)の2つがあります。

 

 これは、実態に即して考えればわかりますよね。

 

 答えはです。

 

 建築基準法でこのような土地の全体の容積率が加重平均しなさいよとなっているんで、やはり①より②の考え方の方が理にかなっていますよね。

 

 

 

 ちょっと最後は脇道に話がそれましたが、要は役所調査により都市計画道路予定地に該当する部分がないかどうかチェックをしよう、該当しそうであれば、申請して正確に該当部分を認識しようという話でした。

 

 

 

 

*****

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