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今回のテーマは「建築線」です。
これまで何度か目にしながらも、大して調べもせずスルーしてきたこのテーマについて調べたことをまとめようと思います。
大阪市にある「船場建築線」とは
僕が初めて「建築線」という言葉を目にしたのは、大阪市の固定資産税評価要領で大阪市の定める所要の補正について調べていた時だったと思います。
《建築線指定を受けている土地の評価》
建築基準法附則第5項の規定にいう建築線指定を受け、現に建築制限を受け ている土地を評価する場合は、次の算式により求めた補正率によって補正する ことができる。
なお、補正率の端数処理は、小数点以下切捨てとする。
これを読んだ時には、「建築線」についてはよく分からないながらも、固定資産税の世界ではセットバックについて相続税と比べて極めて厳しい取り扱いとなっているのに、建築線(による建築制限)についてはかなり減額補正が認められるんだなと思いました。
余談にはなりますが、固定資産税の世界では、たとえ所有する敷地の一部がセットバックを要する土地であっても「該当部分がすでに公衆用道路の用に供されていること(及び分筆されているかまたは客観的な隔たりがあることまで求められる市町村が多い)」という要件を満たさないと非課税になりません。
相続税のような実際にはまだセットバックしていなくても「セットバックすべき部分については、通常どおりに評価した価額から70%相当額を控除して評価」することができるという規定は存在しません。
それに対して、この建築線にかかる所要の補正については「現に建築制限を受け ている」のであれば大きな減額補正が受けられることとなります。
ただ、この言葉、曲者です。
「現に建築制限を受け ている」とは、どのような状況を指すのでしょうか。
その制限により建物を建築できていない(私道)状態のみを指すのか、それとも建て替えに際して後退しなければいけない状況をも包含するのでしょうか。
おそらくは前者なんでしょうね。
しかし、それであれば(不特定多数の者の通行の用に供している前提で)非課税申告書をだして非課税にしてもらえるからこんな補正は不要なのではないかとも考えられます。
建築線の指定は地上に限られ、地下については建築可能(後述)であるため、逆に地上は後退して地下だけ利用している場合でも10%ないし20%は課税として扱いますよという規定なんでしょうか。。
これは、実際まだ実務で大阪市と折衝をしたことがないので、どのような取り扱いとなるのか分からないのでお茶を濁すことになり、申し訳ありません笑
実例が出ればまたご報告します。
そもそも「路線価に反映してますので、減額補正の適用はありません。」といったピントのずれた答えが返ってきそうな気もしますが。。笑
参考までに大阪市HPに掲載されている「船場建築線の指定状況」という図を貼付しておきます。
建築線とはそもそも何なのか?
では、その「建築線」とはそもそも何なのでしょうか?
建築線とは、一言で言うと(建築基準法ができる前に存在した)旧市街地建築物法(大正8年4月法律第37号)に規定された建築物が接していなければならない線のことです。
では、なぜそんな古い法律による規制がいまも出てくるのかというと、いまの建築基準法の附則において次のような規定があるからです。
(この法律施行前に指定された建築線)
5 市街地建築物法第七条但書の規定によつて指定された建築線で、その間の距離が四メートル以上のものは、その建築線の位置にこの法律第四十二条第一項第五号の規定による道路の位置の指定があつたものとみなす。
要は、前面道路の幅員が4M以上必要とされた昔の建築線で、実際には幅員が4M未満のものについては、いわゆる「位置指定道路」として扱われているということです。
また、たとえ道路状に整備されていなくても、その上に建築物を建築することはできません。(地下については建築可能)
建築線の指定のある土地の相続税評価
さて、その「建築線」の指定のある土地の相続税評価についてですが、上でみたように建築基準法上の取り扱いは「位置指定道路」ですので、原則は「私道」の評価となりそうですね。
そして、道路幅員の制限から後退が必要ですのでセットバックに準じた取り扱いも勘案する必要がありそうです。
【後退していない場合】
通常どおりに評価した価額から70%相当額を控除して評価
【後退している場合】
・不特定多数の通行の用に供している
その私道の価額は評価しない
・専ら特定の者の通行の用に供している
自用地評価額の30%相当額で評価する
ここまでは、なんとなく想像力を働かせることで理解できそうです。
一つ、一筋縄にいかないのは、上で見た(地上は後退しても)地下を利用している場合です。
地下は利用していても、地上は不特定多数の者に使わせていれば評価なしでいいのでしょうか。
そんなわけには行きませんよね。
このような場合の評価についてははっきりと規定がありませんが、地下部分について区分地上権を設定している場合と同様に考えられるような場合には「区分地上権の目的となっている宅地の評価」に準じて評価することになるんでしょうね。
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