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先日税理士の業界紙である税務通信を読んでいて久しぶりに固定資産税の面白いネタを見つけました。
そのタイトルが「東京都 老人ホームの駐車場も住宅用地特例の対象に」というもの。
専門家でなければわからないですが、このタイトル実にポイントの多いタイトルで、これはブログネタにしなければと思った次第です笑
東京都の固定資産税の課税ミス
まずは、今回の記事のネタになった東京都の事案がどのようなものであったかというと、
- 有料老人ホーム等に付随する駐車場については、有料老人ホームの性質上、基本的に入居者自身は使用しない
- そのため東京都では、有料老人ホーム等の駐車場は基本的に住宅用地に該当しないものとしてその建物に係る敷地のみを住宅用地として「住宅用地特例」を適用してきた
- ところが,29.8.24東京高等裁判所(平成29年(行コ)第6号)において、駐車場が老人ホーム等の来訪者や運営業者等に利用されていても,それは入居者の生活のために供されているものといえるため,家屋の敷地の一部として住宅用地に該当すると判断された
という話です。
ご存知の方も多いと思いますが、「固定資産税の住宅用地特例」とは、主として住宅政策上の見地から住宅用地の税負担の軽減をはかるために設けられた特例で、住宅用地に該当するものの課税標準を、固定資産税評価額の3分の1とするものです。
そして、今回の争点になっているのが、この住宅用地に駐車場部分まで該当するのかどうかという点です。
地方税法第349条の3の2
専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住のように供する家屋で政令で定めるものの敷地の用に供されている土地で政令で定めるものに対して課する固定資産税の課税標準は、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額とする。(一部省略)
この敷地の認定が難しいポイントであり今回東京都と裁判所で見解が相違した部分ですが、基本的な考え方を固定資産税逐条解説(財団法人地方財務協会 刊)の解説を抜粋しておきます。
- 住宅の敷地の用に供されている土地とは、当該住宅を維持し、又はその効用を果たすために使用されている一画地の土地をいう
- 一画地の土地は、道路、塀、垣根及び溝等によって他の土地と区分して認定するものとする
- 明確な境界がない場合においては、土地の使用の実態によって認定する
とあります。
ここで、有料老人ホーム等に附随する駐車場についてですが,老人ホームという性質上,入居する高齢者が自身で使用するとは考えにくく,来訪者や運営業者等が事業を行うために使用している状況にあったと思われます。
入居者でなく来訪者や運営業者等が使用していたという実態から、東京都は駐車場部分は住宅の敷地ではないと判断したし、裁判所はあくまでそれは入居者の生活のために供されているものといえるため,家屋の敷地の一部として住宅用地に該当すると判断したということです。
この判決を受けて、東京都は取扱いを変更する下のような通達を出したとのことです。
〜東京都が都税事務所に送付した通達内容〜
有料老人ホーム等(併設された老人居住生活支援事業施設を含む)に附随する駐車場,駐輪場及び附属する倉庫等については,区画が区分されていない場合に限り, 住宅用地として取り扱うものとする。
僕自身、結構有料老人ホームなんかの現場に足を運ぶことが多いですが、実際駐車場部分では、利用者さんの送迎のために車が出入りしていたり、住宅に食事や薬やリネン関係などを届ける様々な業者の出入りのために利用されていると感じるので、今回の判決は妥当だったんじゃないかと思います。
先の住宅用地の敷地の認定に関する基本的な考え方にもあったようにあくまで、有料老人ホーム部分と駐車場部分が、道路や塀、垣根等によって分断されていないことが要件にはなるようです。
固定資産税の課税明細書をチェック
東京都では、これまでこのような事案に関して住宅用地特例を認めずに固定資産税をかけてきたとのことなので、このように有料老人ホーム等の運営者に土地を貸している不動産オーナーはすぐに手元の固定資産税の課税明細書をみて特例が適用されているかどうかをチェックすべきですね。
この辺りの取り扱いは自治体によって対応がマチマチなので東京都以外の自治体のオーナーさんもぜひチェックしてください。
もし、住宅用地特例が本来受けられるのに受けられていないという課税ミスがあれば、これまで払いすぎた固定資産税の還付を受けられることになります。
具体的には、課税明細書でどこをみればいいの?と思われる方が多いと思いますので簡単に解説しておきます。
この課税明細書の様式も自治体によって異なるのでまた話がややこしいのですが、この大阪市の課税明細書のように住宅用地特例が適用されている土地については「小規模・一般住宅」等の記載があることが多いです。
この記載が見つけられない場合のチェック方法としては、固定資産税の価格(=固定資産税評価額)と課税標準の額を見比べることです。
住宅用地特例が適用されている土地については、価格に対して3分の1(あるいは6分の1あるいは面積によってその折衷)の減額がなされているはずです。
価格と課税標準の間にほとんど乖離がない場合には、この特例が適用されていない可能性が高いですね。
そんな時には、自治体に直接連絡するか専門家(固定資産税見直し相談所)に相談してください。
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