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新しい生産緑地制度
これまで見てきた通り、「生産緑地の2022年問題」はなかなか重たい問題です。
当然これだけ大きな問題ですから、国も何も手を打っていないわけではありません。
平成29年6月には都市緑地法を改正するなどして次のような手を講じています。
1. 面積要件の緩和
現行の制度では、生産緑地としての指定を受けるには、面積が 500 ㎡以上あることが必要とされているところが、市町村の条例で 300 ㎡を下限に面積要件を引き下げることが可能となりました。
これは新たに生産緑地の指定を受ける農地を確保する意図何でしょうか、ちょっとピントがずれた対策にも思えてしまいます。
2. 行為制限の緩和
生産緑地では、これまで農産物の生産又は集荷の用に供する施設等を除いては、建築物の新築等が制限されていましたが、農産物を原材料とする製造・加工所、直売所、農家レストラン等を建築することができるようになりました。
これにより、生産緑地の活用の幅は多少は広がりそうですね。上手くこれらを利用し農業経営の収支改善につなげることができれば宅地転用に歯止めがかけられるケースもでてくるかもしれません。
3. 買取の申出可能となる始期の延期
生産緑地の指定から30年経過した後も、10年毎の延長が可能となりました。
そしてその後もなお、10 年経過後には、再度指定を受けることができるため、基本的には30年経過後も生産緑地の指定を10 年ごとに延長することができるようになったということです。(再度指定を受けたものを「特定生産緑地」という。)
これで、買取の申出が可能となる始期が延期されると生産緑地のメリットの一つである「相続税評価の減額」の効果は多少大きくなる(回復する)こととなりますが、先に言ったように農業従事者が高齢化し、後継者が不足している現状でどれだけの人が延長の申請をするかは疑問です。
このように、国の対策も無益ではないんでしょうけど、とてもこれで2022年問題は一件落着とはいかないでしょうね。
不動産オーナーの取りうる対策
宅地が大量に市場に出回ることで所有不動産の価値が下落しかねない一般の不動産オーナーにとって取り得る対策はなんでしょうか。
できるだけ値崩れの起こりにくい都心部の土地に買換えを行うといったことが有効な対策の一つになるんでしょうが、どこまで行っても個別性の強い問題ですので専門家との綿密な協議が必要でしょうね。
また、指定から30年を迎える生産緑地の所有者は、通常次の4つのいずれかを選択することとなります。
① 市町村長への買取り申出を行って生産緑地指定を解除し、土地のアパートや戸建てを建築し不動産投資を行う
② 同じく生産緑地を解除したうえで、その土地を売却する
③ 「特定生産緑地」の指定を受けて10 年間営農を継続する
④ 市町村長への買取り申し出も行わず、「特定生産緑地」の指定も受けずに生産緑地を維持する
いずれの選択肢を選ぶべきかは非常に難しい問題です。
それぞれ得られるメリットとこれまで受けてきた優遇制度の利用がなくなることによるデメリットを天秤にかけて判断することとなります。
今後は、どんどん新しい対策が行政や民間から出てくると思われるので、まずは現状をしっかりと把握しておくということが重要だと思います。
新しいソリューション
ここでは、一つ全く新しい農地の利用法をご紹介します。
それは、かなりの変化球ですが、農地を「市民農園」として賃貸するというのもので最近にわかに注目を集めています。
農業従事者が高齢化し、これまで通り農業経営を継続することが困難であるが、なんとか手放さずに土地は所有し続けたい、そしてできることならこれまで通り農地としての様々な優遇措置によるメリットも享受したいと言う方には朗報かもしれません。
実際“サポート付市民農園「シェア畑」”を運営する株式会社アグリメディアなどが、農地や遊休地活用の新しいソリューションとして、生産緑地をそのまま市民農園化するといったサービスを展開しているようです。
同社の資料によると、
・生産緑地であっても開設でき
・農園を開設しても、固定資産税の農地軽減を継続でき
・相続税の納税猶予を受けている場合でも一定の場合には継続できるようです。
機会があれば、詳しくインタビューしてみたいなと思います。
当ブログでは、今後の国や自治体、そして民間企業による様々な対策に注目しておきます。
有効な対策が見つかればすぐにご紹介したいと思いますので、それに飛びつけるように準備だけはしておいてください!
また、新しいソリューションをお持ちの企業の方からのご連絡もお待ちしております!
(「生産緑地の2022年問題にどう対処するか」終わり)
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知ってる人だけ得してる《ちょっとマニアックな》不動産オーナーのための相続・承継の話