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宅地の評価方式
宅地の相続税評価を行うに当たっては2通りの方式があります。
市街地的形態を形成する地域にある宅地については「路線価方式」で評価し、それ以外の宅地については「倍率方式」で評価することとなっています。
「倍率方式」における土地の評価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。
算式:固定資産税評価額×倍率
この一定の倍率のことを「評価倍率」といい、地価の動向に基づき各国税局で毎年見直し(その地域にある宅地の売買実例価額、公示価格、精通者意見価格等に基づいて見直す)をして、財産評価基準書の評価倍率表により公開されています。※ちなみに、毎年8月初旬に発表されています。
ここでポイントは、「評価倍率は、地価の動向に合わせて毎年見直されている」という点です。
固定資産税評価額とは
倍率方式での土地の評価におけるもう一つの要素が「固定資産税評価額」です。
この「固定資産税評価額」については、その土地の所在する役所で評価証明書を入手することで把握できますし、そもそも毎年4月頃に固定資産税課税明細書が支払通知とともに届くのでそちらの記載を確認することでも簡単に把握できますね。
固定資産税の評価は、3年に一度見直されるものであるということは一般の方もなんとなく理解をされていると思います。
実際、地方税法における固定資産税の条項においてもそのように規定されています。
固定資産税逐条解説(固定資産税税務研究会編 財団法人地方財務協会)に分かりやすい解説があるので一部引用しておきます。
「固定資産税は、固定資産の有する価値に着目して課税するものであるから、毎年度評価して、これを課税標準として課することが本来妥当であると考えられるが、税負担の安定をはかり、課税事務の簡素化をはかる上において、むしろ、課税標準となる価格は、一定の期間据え置くものとすることの方が当を得ている。
そのような見地から、土地及び家屋に対して課する固定資産税の課税標準となる価格については、原則として、基準年度において評価した価格を第二年度及び第三年度においてもそのまま課税標準として用いるものとしている。」
そして、例外的に各市町村長の判断において、第二第三年度であっても地域的に地価の下落傾向がみられる場合には、簡易な方法によって価格に修正を加えることができるとされているのです。
この簡易な方法とは、いわゆる「時点修正率」と言われる修正率を基準年度の価格に乗じることで据置年度の価格を計算する方法のことです。
見直しのタイミングに相違あり
ここがこの記事の肝となる部分ですが、先に見た通り、評価倍率は地価の動向に合わせて毎年見直されているのに対して、固定資産税評価額は原則3年に1度の見直し(例外的に各市町村長の判断で毎年の地価の変動等を反映したりしなかったり)をしているんです。
例えば、上図のように基準年度に対して第二年度が地価が(1.1/1.2)下落しておるような場合には、評価倍率を1.2から1.1に変更することとなります。
でも、このときその土地の所在する市町村の方でも同様の地価の下落を固定資産税評価額に反映(時点修正率を0.917と設定し、基準年度の評価額に乗じる)していたとするとどうでしょう。
こうして計算される相続税評価額は1,008,700円となり、地価の下落が過大に反映されたものとなります。
一方で、同じような地価の下落があっても、固定資産税評価の修正をしない市町村の場合(⑵の場合)はどうでしょうか?
評価倍率でその下落等が織り込まれているので、相続税評価額もきっちりそれが反映されたものとなりますね。
この数多ある市町村がそれぞれどういう判断を下したか確認しながら評価倍率を変更するか否かを判断することは至難の業です。
国税局も暇じゃないんでそんなことしてられないし、やる気になりませんよね。
そこで、どうなったかというと、そもそも倍率方式により相続税評価額を計算する際には、評価倍率を直近の「基準年度」の固定資産税評価額に乗じて計算してくださいねってことになってるんです。
相続の発生が、固定資産税でいうところの第二、第三年度であったとしてもです!
というわけで、倍率方式で宅地を評価する際には、その宅地の固定資産税評価額を直近の固定資産税課税明細書で確認すると間違える可能性がありますよ!!
平成で言うと3の倍数の年度である(課税時期から直近の)基準年度の課税明細書を引っ張り出してこないといけません!
この論点もミスが多そうですね。。
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