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『事業的規模』とは何か
不動産貸付業に関して、それが「事業的規模」で行われているのか否かが論点になることがよくあります。
国税庁HPには次のようにあります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
これを約して「5棟10室基準」というコトバが生まれて、よく知られているところです。
そもそもなぜ事業的規模の判定が重要か
昔、収益不動産を持っている個人クライアントの件で、役所からその不動産の居室数を尋ねられたことがあります。
もちろん、役所が上の事業的規模判定を行うための質問だったのですが、役所はそれにより個人事業税を課税できるのかどうかを判断したかったんですね。
一般の方には事業税というコトバに馴染みがなかったり、法人に対して課せられる税金だという認識があるかもしれませんが、個人事業税とは
「個人の方が営む事業のうち、地方税法等で決められた事業(法定業種)に対してかかる税金です。現在、法定業種は70の業種があり、ほとんどの事業が該当します。」(東京都HP)
とあるように、実はほとんどの個人事業者に影響する税金なんです。
役所からすると、その不動産貸付業が事業的規模で行われていれば個人事業税を課することができるし、そうでなければ課税できないわけですからその情報収集は重要ですよね。
納税者にとっての事業的規模判定とは
不動産オーナーにとっても、その不動産貸付業が事業的規模と判定されると上のように事業税が課税されてしまうというデメリットばかりではありません。
実は、とても大きなメリットがたくさんあるんです。
1. 資産に関する損失を必要経費に算入することができる
2. 貸倒損失を必要経費に算入することができる
3. 貸倒引当金を計上することができる
4. 事業専従者給与を必要経費に算入することができる
5. 65万円の青色申告特別控除を適用できる
これらのメリットの大きさは測り知れません。
事業的規模と判定されて事業税が課せられるくらいなら、ギリギリ5棟10室基準に適合しないようにした方が有利なんじゃないかと考える人もいるかもしれませんが、どうでしょうか?
例えば
・9室のアパートで1室あたりの収入が10万円の場合
100,000円×9室×12か月=10,800,000円
事業税:課せられない
手取り:10,800,000円
・1室10万円の居室が9室と1室1万円の居室が1室ある場合
100,000円×9室×12か月+10,000円×1室×12か月=10,920,000円
事業税:(10,920,000-2,900,000)×5%=401,000円
手取り:10,519,000円
※所得税、住民税等を考慮していない。
こんな極端なケースでは、5棟10室基準を満たすがために手取り額の逆転現象が起こり得るようですが、それでも事業的規模であることの先に述べたメリットを活かせばもっとその差が埋まるため、実質的には逆転現象は起こりえないと考えて問題ないかと思います。
メリットの取り漏れに注意!
実際、事業的規模と判定されていながら上記のメリットを使わずに申告されている確定申告書を目にすることがよくあります。
特に65万円控除の適用を受けずに10万円控除としているようなケースが多い。
10万円控除でなく65万円控除を受けるために必要な唯一のことと言えば、複式簿記により貸借対照表と損益計算書を作成することです。
そもそも、不動産所得の帳簿なんてものは仕訳の数もしれているし、貸借対照表と言っても何も難しく考えることはないです。
税理士を雇わずとも作成可能なくらいです。
もし税理士に報酬を払っているにも関わらず65万円控除を受けれていないのであれば、それは税理士の怠慢でしかないのでそんな税理士は早いうちにクビにしなければならないでしょうね。
今年もはや年の瀬、年が明ければあっという間に確定申告のシーズンです。
これまで65万円控除を受けられてこなかった事業的規模で不動産貸付業を行うオーナーは、他のメリットの取り漏れの確認とともにぜひご検討ください。
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知ってる人だけ得してる《ちょっとマニアックな》不動産オーナーのための相続・承継の話