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−不動産会社といえば、悪質な囲い込みや先般のかぼちゃの馬車事件での預金残高の改ざんなど一般消費者を食い物にするびっくりするようなニュースを見聞きします。
あのような不動産会社は氷山の一角なのか、それともごく一部の業者だけに見られることなのか、その実態について調査したいなと思っていたところに、大手不動産会社に10年ほど勤めて、その後独立して不動産会社を経営する社長さんから、大手の不動産会社の実態をうかがえる機会をいただきましたので、お話を伺ってきました。
業界のトップリーダーである大手がどんなものか皆さんにも知っていただきたいと思います。
センシティブな内容を含むため、インタビューには匿名を条件に応じていただいています。
お話は、あらかじめ伺った次の「ここが変だよ!5つのポイント」を中心にお聞きしていきたいと思います。
形だけの顧客第一主義、実質は売上至上主義
Q いわゆる大手と呼ばれる不動産会社の実態に関して、事前に伺った話の中で「形だけの顧客第一主義 実質は売上至上主義」というコトバが非常に印象的だったのですが、挙げていただいた問題点について、事例もいただきながら一つずつ詳しく事情をお聞かせいただけますでしょうか。
まず1点目ですが「毎月(会社によっては毎週)締めがあり、月末の営業マンは数字に追われる」とのことですが、これはこれだけ聞くと何も大手に限らず中小の不動産屋でも割と普通のことかなと思ってしまいますが、やはり大手と中小とでは違いがあるのでしょうか?
A やっぱり会社によるところが大きいんですけど、大手はどうしても予算や目標となる数字がとても高くて、「必達、必達」できますんで、どうしても売上至上主義に走りやすいんです。
会社のなかでは「どの物件売るんや!」 「どの客詰めてくるんや!」 「今月どないすんねや!」等々、言いだせばキリのない怒号が飛び交います。
目標が高いので、達成は容易ではありません。
そのせいでしょうね、お客様のことはお金にしか見えず、常に「この客はお金になるのか」を考えてしまいます。。。
Q 中小の不動産業者では、大手を経験した社長がそのような体制に嫌気がさして別のやり方をとるので、そのようなことにはならないということでしょうか?
A そうですね、そういうパターンももちろんありますし、大手から独立すると仲介から買取とかにシフトするケースも多いため、そうなるとケツを叩いてどうこうというのとは少し違ってくるパターンもありますね。
仲介っていうのはやっぱり営業マンを叩きやすいですから。
Q 社内で怒号が飛び交うというのは、いささか時代錯誤の感がありますが、今もそんな雰囲気なんですか?
A 今でもそうですね。日常的にそういうことはありますね。
計画を立てて、実行して、検証してっていうPDCAを回すやり方自体は問題ないんでしょうけど、その検証がおざなりで、ひたすら恐怖政治によって「Do」を強要されるようなところがあり、そこは大きな問題だと思いますね。
Q 先日のスルガ銀行やスマートデイズとその販売会社のやり方なんかは、同じ業界の人間としてどのように感じられましたか?
A そうですね、やっぱり他でもそういうところがあるよなという感じを受けました。
販売会社内では、ノルマ達成のために怒号が飛び交っていたと言いますし、実際は言葉だけでなくモノが飛んでくるとか、胸ぐら掴まれるくらいのことはやっぱりありますからね。
Q あの事件では、販売会社の営業マンが買主のサラリーマンの預金口座を改ざんして銀行に提出したりということも明るみに出ましたが、やはりノルマを達成するためにこのような不正を行ってでもという気持ちになってしまうのでしょうか?
A それは、融資がつかないと買ってもらえないですからね。
そういうような進め方をするようなケースがある、というかそういうことをやってしまう営業マンもいるでしょうね。
Q 2番目に挙げていただいた「『この売主はいける』と踏めば即不動産業者買取にもっていく」という問題ですが、もう少し素人の方にも分かりやすくご説明いただけますでしょうか。
A 普通はお預かりした物件については、広告なりインターネットに出して買主を探すというやり方をします。当然そうすると普通の相場で売れます。
しかし、「不動産業者買取」にしますと、当然買主が不動産業者になりますので、その不動産業者も利益を乗せて(エンドに)販売するわけですから、BtoBの業者買取の値段は、相場よりも安くなるんですね。
不動産業者目線で「不動産業者買取」のメリットを言うと、何といってもすぐに仲介手数料になる(取引がスピーディーなため)ということですね。
資金繰りを計算しやすいことは大きなポイントです。
Q それが顧客の利益を無視して業者の都合で決められてしまうことが問題だということですね?
安易に利益の薄い不動産業者買取に流してしまうということは、売主である個人からすると全然あり難くないですもんね。
A まさにおっしゃる通りですね。たまにスピード重視で顧客にとっても不動産業者買取の方がいいという場合もあり得るわけですが、大抵の場合は、業者の締めまでに成約したいというような都合のために「不動産業者買取」が選択されているわけです。
Q これは、お客さんからすると「不動産業者買取」にまわされることというのは事前に説明を受けられるものなんでしょうか?
A もちろん、説明は受けられます。
ただ、仲介業者の方は「いかに不動産業者買取の方が適しているか」ということの常套句のようなものをいくつも持っていて、やはり言いくるめてしまうようなことが多いように思います。
「解約もないですよ」「この金額はなかなかつかないですよ」
というようなプロのコトバを聞くとやっぱり素人である顧客はそうなのかなと思ってしまいますよね。
Q 素人にはなかなか本当の相場の価格帯というのが見えてこないですもんね。
そういう意味で、自分の物件を安く不動産業者買取に流されてしまわないようにしようと思うとどのような対策がとれるんでしょうか?
A それはやはり、複数の仲介業者に話を持って行った方がいいと思います。
そうして相場感を養ったうえで判断したほうがいいですね。
Q 複数の仲介業者に話を持っていっているというと、いやな顔をされたりしないかなということも気になりますがそんなことはないですか?
A ないことはないかもしれませんが、何も知らないですよという感じで行くよりは、ある程度相場も含めて知識があるよという感じで話をした方が、そうした被害にあうケースは少なくなるように思います。
Q そして3つ目ですが「両直を狙う」という話ですが、これは仲介(媒介)の手数料を売り手と買い手の両方からとるという意味ですよね?
A おっしゃる通りですね。
売主さんからこの物件を売ってほしいと依頼を受けて、売れれば当然手数料をもらいますね。
そして、自分で客付け(注:不動産売買に応じる顧客をみつけること)すると、買主さんからも手数料をもらうことができます。
不動産仲介業者としては、一つの取引で売上が2倍になるわけですから当然この両直を狙ってはいくものなんですが、ただそれを自社の都合のみでレインズに出さない、他社に情報を出さずにいるということは売主にとっては本来得られた利益を逸するというデメリットになることがあります。
過去にも世間を賑わせたことがありますが、この情報を他社に紹介せずに売却物件を抱え込むことを「囲い込み」といいますが、こういうことは一時期よりは減ったように思いますが、それでもやはり手数料は倍ほしいのですね・・・色々な方法で、他社には案内をさせない努力をしているようです。
Q 先ほどの不動産業者買取というのも、やはり買主となる業者から手数料はもらうものなんですか?
A はい、もらいます。
ですので、これも両直なんですね。
さらに買主である業者は、そこに自社の利益をのせて再販売するわけですから、当初の売主さんがいかに買い叩かれるか分かりますよね。
また、その再販売時に「もう一度ウチを通して売らせてくれ」というような取引をしているようなケースが一般的です。
そうなると、この仲介業者は、一つの取引でもう一度手数料を受け取ることができるんですね。
Q それは強力ですね。
その何度も乗せられた手数料分は、エンドの消費者にとっては原価増で買値に跳ね返ってくるわけですよね。
A もちろん、そういうこともありますが、やはりエンドの価格というのは相場がありますから、どちらかというとエンドでなく、最初の売主にしわ寄せがいくわけです。
Q 最初にその分安く買い叩かれているということですね?
A そうですね。
Q この囲い込みということに関しては、大手不動産会社では、「しっかり囲い込んでいけ」というようなことが上司やトップなりから圧力がかかるわけですか?
A 一時雑誌に取り上げられたりもして世間的に問題になったので、最近ではさすがに言葉にはださずに、暗に行われているようです。
Q なくなってはなくて、暗に見えない形で行われているということですね?
A そうですね。
入ってもない商談が入ってるように見せかけるとかいう露骨なことはやりにくくなっているんですが、相変わらず他社さんが案内したいと言っても、忙しいので無理ですとか、鍵がないので無理ですみたいなことは今もやってるみたいです。
どうしても自分で両直をとりにいく傾向はなくならないですね。
Q どうしても両直でまとまらないケースはどうするんですか?しばらくするとさすがにあきらめてレインズに載せたりするんでしょうか?
A そうですね。
これは本当に営業マンによる部分が大きいですが、ひどい営業マンは3か月(通常媒介契約の有効期間の上限が3か月)ずっと両直を狙って囲い込んだりする人間もいます。
その間、売主さんには「この物件なかなか売れませんね」「値段を下げましょうか」とか言いながら売主さんの利益をどんどん奪っていくわけです。
媒介(仲介)契約も有効期間があるとはいえ、更新はできますから、3か月でダメだったら、更新してやむを得ずレインズに載せるとかですね。。
ただ、この更新の際にも売主は囲い込まれているとは気づかず、営業マンにウマいこと言われて更新契約してしまうわけです。。
媒介(仲介)契約の種類と規制
Q 一般人である売主さんは、自分で自分の物件がレインズに載っているかどうかは確認できないんでしょうか?
A 今まではできなかったです。
ただ、この1~2年の間に囲い込みがクローズアップされたこともあって、レインズでもお客さんが確認できるシステムができたのはできました。
でも、上手い営業マンなんかは、ハナから一般媒介契約の未登録といって、レインズに載せないやり方を勧めて契約をする人間もいるようです。
(注:上図にあるように、一般媒介の場合は、規制がないため登録しても未登録でもどちらでも構わない。)
未登録がいい場合ももちろんあるんですけどね。
お客さんにメリットがないのにそれをするケースも多いですね。
Q 続いて4つ目の問題点です。「めんどくさいことを嫌う」ということを挙げていただいていますが、なんとも情けない話で、個々人の資質による部分も大きいのかなと思いますが、大手の社員に多くみられる傾向だということでしょうか?
A 大手はやはり無駄な業務が非常に多いです。
何をするにも承認が要りますから。
例えばチラシの1枚作成するのにも稟議を上げ、書類を作らなければなりません。
これは、もちろん上の人間が自分の身を守るためにですが・・・
ミーティングなんかもとても多くて、営業マンは成果を出すために基本的に時間に追われているので、お客様の為になることでも時間がかかることは嫌がります。
ミーティングやいろんな書類作成についても、お客様のためにというよりは、会社を守るためにこれだけやってますよという体裁をとるための形式的なものですね。
Q これもこの問題のせいで顧客がどんな不利益を被る可能性があるのか、過去の実例なんかを挙げながら伺えますか?
A 総じてお客様のために丁寧な資料を時間をかけて作ったりとかいうことができなくなりますね。
時間がなくて当然フットワークも重たくなります。
立ち合いに行かないとかですね。
ほかにも、売主さんにきちんとした報告をしないとか、広告も1個1個丁寧に作らなかったりというようなことが起こります。
Q いま仰った「立ち合いに行かない」というのは、買い希望の方が内見されるときに立ち会わないということですか?
A 空き家とかなら鍵を渡して済ましたりすることがありますし、「分かれ」の取引であれば、本来は買い希望の方と買主の仲介業者が内見されるときには売主の仲介業者が立ち合いをするんですが、それをせずに買主の仲介業者から内見後に報告だけ受けるというようなことをするケースもあります。
めんどくさいし、「分かれ」の取引のためにそこまでしてられないというような気持が働くんでしょうね。
当然、それによってまた売主さんの利益が逸してしまう可能性があるんですが。。
Q そして、最後の問題点が「トラブルを嫌う」ということです。これは何となく想像がつきますね。具体的にはどんな話があるんでしょうか?
A 気の利いた広告をださない。
万が一独占禁止法や景品表示法に触れるのを嫌ってありきたりのチラシだけで間に合わせるというようなことや、お客様のために聞いてあげればいいことも、めんどくさいとか、間違えたことを言ってあとでトラブルになるのが嫌だから聞かなかったりですとか。
あとは補修責任や瑕疵担保責任なんかについても、お客様のためにというより、自分がトラブルに巻き込まれるのが嫌だから、免責にして販売しようとしたりとかですね。
『瑕疵担保責任』・・・売買する不動産に傷や欠陥があった場合に売主が負う責任のこと
免責がつくということは、売主さんとしてもメリットになる話ではあるんですが、本当は免責にしなかったらもっと高く、もっと早く売れたりということがあるわけですからね、本来は仲介業者主導でなく、売主さんの希望で決められるべきですよね。
測量なんかも基本的にはするのを嫌がります。
面積の増減や越境等によって、万が一にも契約解除になったりすることがあるからです。
とりあえず現状有姿でみたいなことになることが多いです。
Q これは売主さんが売り出す前に、自身の負担で確定測量をしておいてもらうということでしょうか?その方がかかるコスト以上に高く売れるようになるんでしょうか?
A そうですね。
一概にはいいにくいですが価値が変わってきますね。
価格として得をすることがなくても、売りやすくはなるので、スピーディーに売れるようにはなると思います。
でも何か問題が見つかるのを嫌がって仲介業者本位でそういうアドバイスをしない傾向にあると思います。
自分に火の粉が飛んできそうなケースでは「測量をやってください」、自分に火の粉が飛んでこないようなら、例え売主さんにメリットがあるようなケースでもアドバイスしないという感じですかね。
Q 税金のことも挙げていただいていましたが、やはり売買の当事者からその取引による税金のことも聞かれたりするんですね?
A それは非常によく聞かれます。
これをちゃんと調べて答えてあげる営業マンも非常に少ないですね。
ちょっと調べるなり、代わりに税務署に聞いてあげるなりすればいいんでしょうが、間違えたことを言って後々トラブルになるのを嫌ってなかなかそこまでしないですね。
Q 実際にトラブルを起こすと会社から何らかのペナルティを受けることもあるのでしょうか?
A ありますね。
店長クラスが降格になったり、転勤させられたりというのは茶飯事です。
これもトカゲのしっぽ切りみたいなものかなと思っていますが。
Q トカゲのしっぽ切りという話がありましたが、大手の不動産会社では、営業マンが自ら辞めていくようなことも多いんでしょうか?
なんとなく離職率が高そうなイメージはありますが。お客さん目線で仕事がしたいというピュアな営業マンは良心が痛んで辞めていくとか?むしろ、良心はすぐにマヒして図太くなってそんな環境でも長年勤務できるようになっていくんでしょうか?
A そういう良心ということでは、間違いなくマヒしていますね(笑)
みんながそういう感じが当たり前になっていて、「決めたった~」「下げたったー」みたいな会話が日常的に飛び交ってます。
まぁそうはいっても離職率という意味では、営業マンの離職率はやはり高いと思います。
ぼこぼこ辞めていきます。
店長クラスまで行くつく人は、結構続いている人も多いですが、かなりマヒが進んでるんですね(笑)
それなりに稼げる人間は、固定給プラス成績に連動したボーナスを受け取るので、結構同年代と比べても高給取りになりますね。
Q すごい興味があるんですが、大手の営業マンのなかでも稼ぐ人間というのは、そうはいってもお客様目線でやっているから稼げているのか、真逆で徹底的にお客さん目線を無視して会社のエゴを押せる人間が稼ぐのかどちらなんでしょうか?
A もちろん両方あると思います。
でも稼ごうと思うとやっぱり、結構ドライにならないと稼げないかなと思います。
清濁併せのむくらいの器量がないとですね。
Q 大手不動産会社の闇をリアルに感じることができました。
そこで、一つ浮かぶ疑問があるのですが、これらの問題点は中小・零細の不動産屋では起こらない問題なのでしょうか?
A 当然会社によるんですが、やっぱり大手の方が圧倒的に数字に追われているイメージはあります。四半期ごとの締めだとかで数字、数字というのは、中小よりも大手の方が厳しいでしょうね。
そういうことに端を発して色々お話しした問題につながってるのかなと思います。
Q また、中小・零細でも同じような会社があるとしたら一般客である我々はどのようにして、自分たちのことを親身に考えてくれる不動産屋を見つければいいのでしょうか?
A むちゃくちゃ難しい問題ですね。
やっぱり、大手だからいいんだよっていう先入観を捨てて、中小も含めて何社か尋ねて、何人かの営業マンと話をすることが大事だと思います。
Q 手数料はどこでも同じですよね?
A 同じです。業法で定められた上限をとる仲介業者がほとんどです。
ただ、ウチは上限から30%オフでしています。大手は下げないですから、中小の方が安く済むことがあるかもしれません。
媒介報酬基本額(上限)
Q 大手の方が売ってくれやすいということもないんですか?
A 私はないと思います。
両直にこだわらず、レインズに載せたら、全国の不動産屋つながるわけですから、大手と中小で差異はほとんどないと思います。
また、今日お話したようなことを売主さんも少しは知っておいてもらう方がいいですね。
少なくともレインズのことくらいは。
そういうことを分かったうえで、お付き合いする業者を自分の目でみて選ぶということが大事ですね。
ーなるほど、ですね。
ありがとうございました。
不動産を売る際には、大手の方が安心かなという先入観・固定観念を捨てて、複数の不動産仲介会社を訪ねて、相場感も頭にいれて交渉すべし!ってことですね。
肝に銘じておきましょう!