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不動産の税金は××じゃ! – 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 https://hisohisofudosan.com Wed, 31 Jul 2019 01:20:05 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.3 民法(相続法)改正に伴う遺留分に関する課税関係の変更を整理する! https://hisohisofudosan.com/blog/1876 Mon, 08 Jul 2019 08:37:54 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1876 令和元年7月1日から施行されている民法(相続法)の改正点の重要なものに「遺留分」の取り扱いに関する改正があります。これと足並みを揃えて、相続税法(相続税法第32条第1項第3号)の改正についても同日以後に開始する相続に係る ...続きを読む

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令和元年7月1日から施行されている民法(相続法)の改正点の重要なものに「遺留分」の取り扱いに関する改正があります。これと足並みを揃えて、相続税法(相続税法第32条第1項第3号)の改正についても同日以後に開始する相続に係る相続税又は贈与税について適用されることとされています。まさにこれから実務で関係してくる新しい「遺留分」の取り扱いについて整理しておこうと思います。

 

 

これまでの遺留分減殺請求権

 

 改正点を理解する上で、従前の取り扱いを理解していないと話になりませんので、これまでの「遺留分減殺請求権」と呼ばれていたときの取り扱いをざっと確認しておきましょう。

 

 

 ちなみに改正後は、「遺留分減殺請求権」と呼ばずに「遺留分侵害額請求権」と呼ばれるので注意が必要です。

 

 

 税理士などの専門家がいつまでも「遺留分減殺請求権」と読んでいるとモグリだと思われます笑

 

 

 そもそも「遺留分」とは

 

 

 「被相続人の一定の近親者に確保されているところの、相続財産の一定割合」

 

 (※引用「図解民法 相続法に強くなる72の知識」大蔵財務協会編)

 

 

 のことであり、その遺留分権の根拠となるのは「扶養義務の死後への延長」や「潜在的持分の顕在化」であると同著で解説されています。

 

 

 とてもわかりやすい説明ですよね。

 

 

 具体的には、遺留分を有するのは、被相続人の配偶者(またはその代襲相続人)及び直系尊属であり、兄弟姉妹には遺留分権はありません。

 

 

 そして、その遺留分の算定についてもよく誤解されている部分がありますので、改めて下に図示しておきます。

 

 

 

 

 

 

 なんとなく、法定相続分の2分の1が遺留分だと理解している方が多いように思いますが、それは半分正解で、半分不正解です。いやほぼ不正解か。。

 

 

 実際には、ケースバイケースということです。

 

 

 ちなみに「上記以外の場合」には、

 

 

  • 配偶者のみ
  • 配偶者+直系卑属
  • 配偶者+直系尊属
  • 配偶者+兄弟姉妹
  • 直系卑属のみ

 

 

 のケースが当てはまりますが、例えば、配偶者のみであれば遺留分はそのまま2分の1ですし、配偶者と子ども1人の場合には、配偶者4分の1、子ども4分の1となります。

 

 

 複数の相続人がいる場合には、上の遺留分の割合法定相続分の割合を乗じて算定することとなります。

 

 

 

 

 

 「遺留分」がある程度理解できたところで、次のポイントが「減殺」です。

 

 

 普段耳慣れない言葉ですよね。

 

 

 卑近な例で恐縮ですが、上図のように被相続人に生前愛人や内縁の妻がいるようなケースでこの遺留分の減殺がよく問題になります笑

 

 

 相続人が配偶者1人だとすると、遺留分は2分の1です。

 

 

 相続財産が現預金 1,000万円と不動産9,000万円のみとすると総額で1億円ですから、遺留分相当額は5,000万円ということになりますね。

 

 

 しかし、遺言に書かれた配偶者が取得する財産が 1,000万円の現預金のみであったとすると、5,000万円という遺留分に相当する相続財産を受けることができません。(4,000万円の不足)

 

 

 このような場合に、遺留分を保全するためにその(愛人に対する)遺贈(や贈与)を否認することができるんです。

 

 

 このことを「減殺」と呼ぶわけです。

 

 

 

 

 上のようなイメージですね。

 

 

 ちなみに、減殺の意思を表示すれば直ちに減殺の効力が生じるものとされています。

 

 

 

 

 

 

 

 また、この事例で、愛人に対して不動産だけでなく他に定期預金なんかの遺贈もあった場合には、それぞれの遺贈についてその目的の価額の割合に応じて減殺されることとなります。

 

 

 ここで問題になるのは、現預金は金銭債権であるため遺留分の割合に応じて当然に分割されて遺留分権利者に帰属させることができますが、不動産については配偶者と愛人の共有関係が発生することとなるんですね。

 

 

 これでは、とんでもなく多方面にややこしい問題が残ることは安易に想像できますね・・・

 

 

 一旦、その問題は置いておくとして、税金についてみてみると、ポイントは下記の1点です。

 

 

 

 

 遺留分の減殺により新たに税金を課税されては、愛人の方も流石に気の毒ですね笑

 

 

 今日の本題からは少し逸脱しますが、改正前から、このようなケースにおいては、遺留分減殺請求を受けた受遺者(愛人)の側に、金銭を支払うことによって目的物の返還等を免れることができる権利が認められています。

 

 

 

民法 第1041条 (遺留分権利者に対する価額による弁償

1 受贈者及び受遺者は、減殺を受けるべき限度において、贈与又は遺贈の目的の価額を遺留分権利者に弁償して返還の義務を免れることができる。

 

 

 

 愛人・配偶者での不動産の共有なんて地獄ですもんね。。できることなら金銭による弁償で共有状態は回避したいものです。

 

 

 

 

 

 

 実際、実務においてもこのような合意を交わすことで金銭で解決しているケースをよく見かけますが、それが正解です。

 

 

 

改正後の遺留分の取り扱い

 

 

 では、民法(相続法)改正令和元年税制改正によりこの「遺留分」の取り扱いはどのように変わったのでしょうか?

 

 

 ポイントを理解するのに、相続税法(更正の請求が可能となる事由)の改正点から確認するのが良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 これまでの遺留分の減殺請求があれば、受遺者は財産を返還し、税金に関しては、更正の請求を行うことによって税務署から納付した税金の一部を還付してもらう必要がありました。

 

 

 ですので、通常の更正の請求事由に加えて特則が設けられていたわけですね。

 

 

 「減殺の請求」に基づき「返還」または「弁償」すべき額が確定したら、それらを知った日の翌日から4月以内に限り,納税地の所轄税務署長に対し,その課税価格及び相続税額又は贈与税額につき更正の請求をすることができるとされていたものが、「遺留分侵害額の請求」に基づき「支払うべき金銭」の額が確定したら同様に更正の請求が可能とされました。

 

 

 このポイントわかりますか?

 

 

 ポイントは「金銭」を支払うべきであるとされたことです!

 

 

 要は、遺留分について生じる権利が金銭債権化したわけです。(これまでは物権的に扱われてきました。)

 

 

 これまでも受遺者の意思により、金銭で弁償することはありましたが、あくまで例外的な取り扱いでした。

 

 

 それが、今後は金銭債権として取り扱われるので、原則金銭で支払わなければならないんです。

 

 

 

 

 

 とはいえ、受遺者の側で支払うべき金銭が用意できない場合というのも現実には考えられます。

 

 

 このような場合において、やっぱり遺贈を受けた不動産のうち遺留分侵害額相当の4/9を配偶者に譲ることで金銭の支払いに代えることとした場合、問題はないでしょうか?

 

 

 ここが、今回の改正による課税関係の要注意ポイントです。

 

 

 こうした不動産のような現物資産による解決は、金銭債権に対する「代物弁済」と考えられるんですね。

 

 

 では「代物弁済」と見なされると何がまずいんでしょうか?

 

 

 それは、譲渡所得の「譲渡」に当たるということなんです。

 

 

 税務の世界では、「譲渡」は、

 

 

有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれる(国税庁HP)

 

 

 とされているんです。

 

 

 ですので、この事例において、愛人が手持ちのキャッシュがないために遺留分侵害額相当の金銭の支払いができずに、遺贈により取得した不動産の一部により代物弁済した場合には、この不動産に係る取得費の金額に基づいて、譲渡損益を認識する必要があるということです。

 

 

 特に、取得費が不明な場合なんかは譲渡収入額の5%を取得費とみるわけですから、結構な税金が生じる可能性があります。

 

 

 これは痛いですよね。

 

 

 被相続人からしても良かれと思って愛人に不動産を遺してやったのに、配偶者との共有を強いられる上に譲渡所得に対する税金を取られるといったことが起こりうるわけです。

 

 

 正義・不正義の問題はさておき、このような愛人を抱えるお金持ちには、これまで以上に、後に無駄な税負担や遺恨を残さないように事前にしっかりと考えておいてほしいものです笑 

 

 

 とはいえ、相続発生前に対策するとなると大抵は本来の相続人よりも愛人に有利な遺言が作られてしまいそうですが。。。

 

 

 

 

 

 

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いろんな疑問の残る【所有者不明土地法】に関する税務の取り扱い https://hisohisofudosan.com/blog/1842 Fri, 14 Jun 2019 08:53:33 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1842 平成30年11月に一部施行されていた法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が令和元年6月1日に全面施行されました。これに先立って平成31年度税制改正大綱において、この略して「所 ...続きを読む

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平成30年11月に一部施行されていた法務省及び国土交通省が所管する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が令和元年6月1日に全面施行されました。これに先立って平成31年度税制改正大綱において、この略して「所有者不明土地法」絡みの税務の取り扱いが定められています。

 

 

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法とは?

 

 

 この法律が作られた目的は、増加する所有者不明土地利用の円滑化と土地の所有者の効果的な探索のためと言われています。

 

 

 背景には、誰の不動産かわからなくなって本来であればその不動産を買ったり、借りたりして使用したいなと思った人がいても、その所有者すら分からなくて利用も進まず放置されているといった不動産が増えているということがあるんでしょうね。

 

 

 実際、周りに結構ないですか?ぼろ家が建ってはいるものの、誰も手入れせず雑草も生え放題で「一体誰の土地やねん、ええ加減に手入れせんかい!」と突っ込みたくなる土地。。

 

 

 まぁそれはさておき、、この法律でいう「所有者不明土地」の定義を確認しておくと次の通りとされています。

 

 

 

 「所有者不明土地」

 相当な努力が払われたと認められる一定の方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一確知することができない一筆の土地

 

 

 そして、この所有者不明土地のうち一定のものを「特定」所有者不明土地と呼びます。

 

 

 「特定所有者不明土地」

 所有者不明土地のうち現に建築物(物置等の簡易なものを除く)が存せず、かつ、業務の用その他の特別の用途に供されていない土地

 

 

 

 なんでこんな状態の土地が増えてしまうのかというと、やっぱり人口減少や大都市への一極集中によって相対的に特に地方の土地の重要性が低下していることが原因なんだと思います。

 

 

 重要性が低下するとなんで所有者不明土地になるのかというと、引き金になるのは「相続」ですよね。

 

 

 土地所有者に「相続」が発生しても、相続人が「地方のそんな土地要らないよ」となるため遺産分割や相続登記をしないまま放置する。

 

 

 不動産を相続するとなると、相続税が発生するケースはもちろんですが、相続税が発生しないような相続の場合でも、司法書士の先生に相続登記の依頼をしないといけないし、当然それには報酬が発生しますし登録免許税もかかってきます。

 

 

 しっかり収益を生んでいる不動産ならまだしも、田舎の空き地や空き家なんか相続してもコストばっかりかかって大変なだけということがあるわけです。。

 

 

 そして、そのまま放置されて何代か経過するうちにいよいよ相続人=所有者の推定すら難しくなるというようなことが起こっているんでしょうね。。

 

 

 しかし、所有者不明といっても色々なケース(程度)があります。

 

 

 所有者不明土地に該当するかどうかの判断のポイントは、

 

 

 

相当な努力が払われたと認められる一定の方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない

 

 

 という点です。

 

 

 では、何をすれば「相当な努力」を払ったと認められるのでしょうか?笑

 

 

 政令において、次のような措置をとれば相当な努力を払ってその不動産お所有者を探索したと認めることが予定されているとのことです。

 

 

 

    1. 当該土地の登記事項証明書の交付を請求すること
    2. 当該土地を現に占有する者等の当該土地に係る土地所有者確知必要情報を保有すると思料される者(親族等)に対し、当該土地所有者確知必要情報の提供を求めること
    3. 1の登記事項証明書に記載されている所有権の登記名義人等が記録されている住民基本台帳等(戸籍簿、戸籍の附票、法人の登記簿等)を備えると思料される市町村の長等に対し、当該土地所有者確知必要情報の提供を求めること
    4. 登記名義人等が死亡等していることが判明した場合には、当該名義人等又はその相続人その他の当該土地の所有者と思料される者が記録されている戸籍簿等の書類を備えると思料される市町村の長等に対し、当該土地所有者確知必要情報の提供を求めること
    5. 1から4の措置により判明した当該土地の所有者と思料される者に対して、当該土地の所有者を特定するための書面の送付(又は当該土地の所有者と思料される者への訪問)等の措置をとること

     

     

    「えっ、そんなことでいいの??」

     

     

     って感じですが、これだけすれば相当な努力を払ってその不動産の所有者を探したねって認めてくれるみたいです。

     

     

     それだけ、国としては、そんな土地なら有効に使ってくれる事業者に特例的に使わせて国土(不動産)の有効活用を図りたい、ひいては地方経済の活性化を図りたいって考えてるってことなんじゃないかと思います。

     

     

     とはいえ、特例的に土地を活用させるわけだから、どんな事業に使ってもいいよというわけにはいきません。

     

     

     そこで、地域住民の共通の福祉福利に資する次のような事業(地域福利増進事業)に限り、特例的に土地を使用させますよとされています。

     

     

     

     「地域福利増進事業」

     特定所有者不明土地に対して、一定の土地使用権を設定し、地域住民その他の者の共同の福祉又は利便の増進を図るために次のような施設等を整備する事業

     

     

     具体的には、こんなものが想定されています。

     

     

    ・道路、駐車場 ・学校 ・公民館、図書館 ・社会福祉施設 ・病院、療養所、診療所、助産所 ・公園、緑地、広場、運動場 ・被災者住宅 ・購買施設、教養文化施設 

    その他適格収用事業に該当するもので一定のもの

     

     

     

    地域福利増進事業の手続きの流れ

     

     

     では、この地域福利増進事業として認められ、所有者不明土地を借受け、事業をスタートさせるまでの手続きの流れを見ておきましょう。

     

     

     国交省が出している「所有者不明土地法ガイドラインについて」を参照しています。

     

     

     

     

     

     ちょー簡単にいうと、土地を使用したい事業者は事前に都道府県知事に対して「裁定申請書」というのを提出して、裁定を受けなければならないということです。

     

     

     都道府県知事の側は、裁定申請が出されたら、その行おうとする事業が要件に満たすかどうか等を確認して問題なければ裁定(認可)を出すという流れです。

     

     

     裁定申請書の記載事項は次の通りとされています。

     

     

     

     

     

     ここで一つ疑問がわきませんか?

     

     

     この土地使用権なんですが、最長で10年しか存続できないんです。

     

     

     

     「地域福利増進事業」って具体的にどんな事業でした??

     

     

     道路や学校や病院です。

     

     

     こんな事業を延長可能とはいえ、10年の使用権を設定した土地で行うことなんてあるんかな??

     

     

     ちょっとどういうシチュエーションを想定しているのか、現段階で僕にはよくわかりません・・・

     

     

     また、事例も含めて色々と情報が出てくるんでしょうね、それを待ちましょう。

     

     

     ってことで先に進めます笑

     

     

     この裁定申請書には添付すべき書類が次の通りと定められています。

     

     

     

     

     

     「事業区域」と言われる地域福利増進事業を行おうとする区域の中には、当然所有者が不明な部分とそうでない部分があるケースも存在します。

     

     所有者がわかっている土地とその隣地にまたがって事業を行いたいが、その隣地の所有者が分からないので事業計画が進められないといったことがあって、これまではそこで事業計画がストップしてしまっていたんでしょうね。

     

     

     また、所有者不明土地について所有者を探索していて共有者の一人は確知することができたけど、残りの共有持分所有者が不明というようなケースもあり得ます。

     

     

     

     

     

     図にするとこんな感じでしょうか。

     

     

     

    所有者不明土地に関する課税の特例

     

     

     ここでようやく税金の話ですが、平成31年度税制改正により「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の税率の特例(措置法31条の2)」の適用対象に、

     

     

    所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する地域増進事業を実施する者に対する当該裁定申請書に記載された事業区域内にある土地等の譲渡(当該裁定に行われるものに限る)で、当該譲渡に係る土地等が当該地域福利増進事業の用に供されるもの

     

     

     が加えられました。

     

     

     ここまで読んでもらった方なら、どんな状況での土地の譲渡が特例の対象になるのかイメージできますね。

     

     

     最初税制改正大綱を読んだときは何をいっているのかチンプンカンプンでした。。笑

     

     

     しかし、繰り返しますけど、10年の土地使用権を前提にこんな事業を行うことってあるんでしょうか??

     

     

     ちなみに、この特例は令和元年6月1日以後の譲渡について適用されることとされていますのでもう適用が始まっています。

     

     

     そもそもこの「優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」をご存知ない方のために少し詳しくみておきます。

     

     

     

     

     先のイメージ図で言うと、顔が出ていたおじいさん二人、つまり確知所有者隣地所有者共に譲渡すればこの特例が使えるということですね。

     

     

     譲渡所得が生じる場合に2,000万円以下の部分10%(所得税)という優遇税率が使えますよってわけです。

     

     

     鋭い方は、この特例の適用期間が引っかかったんじゃないでしょうか?

     

     

    「平成31年(令和元年)12月31日」までってもうすぐやん!?

     

     

     あくまで既存の特例制度に所有者不明土地法にかかる土地の譲渡が組み込まれたので、期限が今年度末までと短いですが、次の改正にて延長されることになると思います。

     

     

     

    気になる補償金の計算と税務の取り扱い

     

     

     最後に少し枝葉の話ですが、実は、この法律を用いて土地使用権を設定するにあたり補償金が支払われることがあります。

     

     

     具体的にいうと確知所有者にはその持分に応じた補償金が払われ、依然として不明な者にかかる補償金については供託する必要があるんです。

     

     

     

     

     

     しかし、この補償金の額っていったいどのくらいの金額が相当なんでしょうか?

     

     

     難しいですよね。。

     

     

     確知所有者は受け取った補償金が、当該土地の時価の10分の5未満の場合には、その受領した補償金は譲渡所得の対象でなく単に不動産所得の対象として課税されることになるのではないかと思います。

     

     

     が、受領した権利金(補償金)がその土地の時価の10分の5以上のときは、どうなるんでしょうか?

     

     

     頭をよぎるのが、一定の金額を損金に算入する(原価となる)という法人税法施行令第138条の規定です。

     

     

     この適用となるようなものについて「譲渡」として取り扱われることもあるんでしょうか?

     

     

     そもそもそんな高額になることはあり得ないんでしょうか。。

     

     

     一応それも想定して補償金の課税関係をまとめるとこんな感じでしょうか。

     

     

     

     

     

     しかし、今のところは正直何ともいえません。

     

     僕が全く見当違いなことを言っていたらごめんなさい。。

     

     

     もう少し情報集めないと補償金どころかこの法律の運用自体がどんな感じでなされていくのか検討がつきません。

     

     

     通常のクライアントでこの特例について相談に乗ることはなさそうですが、また続報あれば記事にまとめようと思います。

     

     

     とにかく先祖代々相続してきたのか知りませんが、役に立たないどころか、放置することで人様にも迷惑をかけるような不動産なら、相続させる側の方で処理をしておく必要がありますよね。

     

     

     

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    都心でマンション売ったら・売るなら「取得日」のチェックが欠かされへんで! https://hisohisofudosan.com/blog/1802 Wed, 10 Apr 2019 05:48:51 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1802 先日とあるクライアントから法人で所有し、社宅として利用していたマンションの売却に関して相談を受けました。大阪市内のとあるタワマンの1室なんですが、数年前に買ったものがなんと1,000万円近く値上がりしていて譲渡益が出ると ...続きを読む

    投稿 都心でマンション売ったら・売るなら「取得日」のチェックが欠かされへんで!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    先日とあるクライアントから法人で所有し、社宅として利用していたマンションの売却に関して相談を受けました。大阪市内のとあるタワマンの1室なんですが、数年前に買ったものがなんと1,000万円近く値上がりしていて譲渡益が出るというのです。本業も順調な会社だったので、プラスで1,000万近い利益が出て税金を取られるのが辛いなということでのご相談でした。。

     

     

     

     

    忘れられかけている「特定の長期所有土地等の特別控除」

     

     

     そこで何か法人税を節税する方法がないかと考えていた時に思い出したのが、「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」の制度でした。

     

     

     はっきり言って長いこと忘れてました、こんな税制の存在を・・笑

     

     

     リーマンショックの文字通りショックが冷めやらん平成21年に創設された特例制度です。

     

     

     制度の概要は、一定期間内に購入した土地について、その譲渡をして譲渡益が出た場合に、年に1,000万円を限度として譲渡益相当額の特別控除(損金算入)を認めるという、他にあまり類を見ないざっくりとした制度です。

     

     

     平成19年のサブプライム危機からリーマンショックへ連なる世界の混乱と不動産市場の低迷への不安がいかに大きかったかということがわかります。

     

     

     不動産市場の低迷というと少し語弊がありますね。

     

     

     実際には、不動産の価格自体は株価の変動と比較すると大きく下落はしませんでした。

     

     

     しかし、銀行が不動産投資事業への融資を大幅に縮小したため、不動産取引が冷え込み、大手の不動産投資会社まで倒産するなど、不動産業界に大きな影響を与えたことは確かでした。

     

     

     

     

     

     上の適用要件を見たもらったらわかるように、その適用ルールはいたってシンプルです。

     

     

     とにかく、平成21年~平成22年の間に取得をした土地については、何年先、何十年先に売ろうが、譲渡益が出てもそのうち1,000万円は控除(損金算入)してくれるというんですから、上手く活用できればものすごい節税になります。

     

     

     

    特定の長期所有土地等の所得の特別控除の使用にあたっての注意点

     

     

     適用ルールはいたってシンプルと言いましたが、一つ気をつける必要があるのが、この制度でいう「取得」の概念についてです。

     

     

     どんな取得でもOKというわけではなく、一定の縛りがかけられています。

     

     

     

     上に掲げる事由による取得をした土地については、平成21年~平成22年の間に取得をしていても、この特例制度の適用は受けられません

     

     

     つまり、譲渡益が出るとしたら、そのすべてに対して税金が課せられることとなりますので、取得事由がどんなものであったのかは確認しておく必要があります。

     

     

     10年も前のことやと案外どこからどんな風に買ったか忘れてしまいますからね。

     

     

     実際、平成21年~平成22年頃というのは不動産市況も冷え込んで値が下がっていたこともあり、そして、この2019年の今の時点では特に都心においては多少の不動産バブルといってもいいほどの加熱を見せていることもあって、これらの時期に購入した不動産については、含み益を抱える不動産が多数存在しているものと思われます。

     

     

     僕が相談を受けたクライアントの物件なんかは、まさにそれで、この制度を思い出した時は「これや~!!」と心の中で喝采をあげましたが、な、なんと、マンションの取得が平成19年やったんです。。。

     

     

     購入されたのがリーマンショックのあたりやったし、いけるやろな~なんて思ってたんですが、その目論見は見事に外れました・・・汗

     

     

     適用できれば、ちょうど生じたであろう譲渡益の1,000万円を綺麗に消すことができて、クライアントにもむちゃくちゃ喜ばれるところやったんですが、残念でした。

     

     

     まぁこの件はいいとして、せっかくなんでこの制度の活用法についてもう少し考えてみましょう。

     

     

     

     

     

     上の図を見てください。

     

     

     僕が感覚で作ったいい加減なグラフです笑

     

     

     

     細かなことは無視して世の中の不動産すべてを大きく3つに分類するとしたら、こんな分類法もあるんじゃないでしょうか。

     

     

     リーマンショック後の平成20年頃(2008年)からみて、東京オリンピックが開催される2020年くらいまで価格がむしろ上昇する不動産、これを「都心タワマン型」と名付けます。

     

     

     そして、値上がりするほどではないですが、経年劣化に関わらずその価格はそれなりに横ばいといった不動産、これを「都心部マンション型」と呼びましょう。

     

     

     最後が、今の不動産プチバブルや東京オリンピック景気とは無縁の経年劣化とともにその価格が値下がりしている「郊外マンション型」の不動産です。

     

     

     この「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」制度が使えるのは、当然売却時に取得時より値上がりしている「都心タワマン型」の不動産です。

     

     

     

     僕のクライアントの物件も、まさにこの「都心タワマン型」のマンションで、4,000万円で購入したものが5,000万円近くで売れそうだという話でした。

     

     

     こんな不動産を所有している法人の方は、今一度その物件の取得時期取得事由を確認してみてください。

     

     

     忘れないうちに言っておきますが、これまで法人税の特例として話をしてきましたが、同様の制度が所得税の世界にも存在します。

     

     

     適用要件は同じと考えてもらえばいいです。

     

     

     ですので、個人の方も要チェックですよ。

     

     

     しかし、この特例の適用に当たってもう一つ忘れてはならんのが建物付き土地の物件(マンションもそうですが)を持っている方です。

     

     

     

     個人の譲渡所得で説明すると課税される譲渡所得金額は次のように計算されます。

     

     

     

    課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 -( 取得費 + 譲渡費用 )- 特別控除

     

     

     

     そして、一般の方が誤解されがちなのが、この算式中の「取得費」についてです。

     

     

     建物の取得費は、購入代金又は建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。

     

     

     

     この特例の話は、あくまで土地の話なんで、「都心部マンション型」に近い形で、土地についてはほんの僅かに譲渡益が出る程度で、特例適用して譲渡益課税を回避できたとしても、建物部分は譲渡益が出る可能性が残っているってことです。

     

     

     

     まぁ、建物についてはそこまで多額の譲渡益が出るケースって少ないとは思いますが、念の為注意してください。

     

     

     

     

    いつ誰にどのように売ってもこの特例が使えるのか?!

     

     

     ある程度この制度をご理解いただけたと思います。

     

     

     では、「都心タワマン型」の不動産、あるいは一部の「都心部マンション型」の不動産で平成21年~平成22年に取得したものを持っている個人・法人の皆さんは “いつ” “誰に” “どのように” 売ってもこの特例の適用を受けられるのでしょうか??

     

     

    取得」には一定の取得事由に縛りがありましたが、出口の「譲渡」の方はどうなっているんでしょうか。

     

     

     実は、取得と同様譲渡についても、この特例制度でいう「譲渡」に含まれない譲渡事由が存在します。

     

     

     

     

     

     しかし、これあんまり該当しなさそうですよね。。。

     

     

     

     一言で言うと、自分の意思で譲渡するんじゃないケースです。

     

     

     僕がこのブログでお伝えしたいのは、売ろうと思えばいつでも売ることのできる不動産オーナーの方に、この制度をトコトンうまく活用してもらうための知恵です笑

     

     

     逆にどんな「譲渡」が対象になるのかと言うのは、上の譲渡以外がすべて含まれると言うのが答えなんですが、あえて言っておかないといけないことがあります。

     

     

     条文で触れられているのが、土地の一部譲渡つまり借地権の設定なんかの場合の譲渡が含まれますよって言うことです。

     

     

     しかし、借地権の設定なんかもレアケースですから別の視点で考察しましょう。

     

     

     先に見た「取得」の場合に非該当として列挙した事由を思い出してください。

     

     

    • 合併等による取得
    • 所有権移転外リースによる取得
    • 代物弁済としての取得
    • そして、特殊の関係のある個人または法人からの取得

     

     

     がありました。

     

     

    「アレっ?」

     

     

     て、思いませんか?

     

     

     これをひっくり返して考えると、譲渡の方では「合併等による譲渡」、「代物弁済による譲渡」、そして「特殊の関係のある個人または法人への譲渡」は認められている?

     

     

     結論を言いますと下の通りです。

     

     

     

     

     ここで注目したいのは、何と言っても「特殊の関係のある個人又は法人への譲渡」が対象から外されていないと言うことです。

     

     

     

     条文でダメって書いてないってことはいけるってことです。

     

     

     とすると、どんなことが考えられるでしょう?

     

     

     例えば「都心タワマン型」の物件で、平成21年~平成22年に取得した不動産を個人で所有している社長さんがいてるとします。

     

     

     もちろん社長さんが家族で住んでいる物件です。

     

     

     東京オリンピックまでは値上がりが期待できるけれど、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、又5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎えると言われる2025年に向けては流石に価格が下がっていくだろうと見込まれるとします。

     

     

     いや、現にこんな物件は都心にゴロゴロとあると思います。

     

     

     すると、こんなことも可能です。

     

     

     2020年あたりに社長個人から法人へ譲渡し、以後は社宅として多少の家賃を法人に支払いながら社長家族が住み続けます。

     

     

     この場合の譲渡益は、この特例により1,000万円まではなかったことにできるんですから、社長の所得税は無税、あるいは、割安な税金の負担で、最も値上がりした価格相当額のお金を法人から引き出すことができます。

     

     

     

     場合によっては、給料でとるよりもよっぽど効率のいい資産形成になるでしょう。

     

     

     そして、このスキームの効果はその後2025年に向けて不動産の価値が下がっていった局面でも発揮されます。

     

     

     いよいよ社長も引退して、地方に引っ込むあるいは老人ホームにでも入ると言う時には、法人側で多額の売却損を作ることができますね。

     

     

     ある程度確度の高い見積もりを前提としてですが、将来的に生じるであろう高額な含み損を個人から法人に事前に移しておくということが可能なんですね。

     

     

     あくまで所得が出ている法人に限ってですが、法人税の節税効果は大きいものになるでしょう。

     

     

     

    セールアンドリースバック&代物弁済スキームと組み合わせると

     

     

     逆に、法人が社長の社宅用としてマンションを所有しているケースではどうでしょうか。

     

     

     前回セールアンドリースバックと代物弁済を組み合わせたら社長の相続税の節税になるって本当?!にて、セールアンドリースバック代物弁済を組み合わせたスキームにより、社長の法人への貸付金の清算ができるという話をしました。

     

     

     そして、その貸付金の清算が社長の相続税対策にもなるという話でしたね。

     

     

     では、この話と今回のテーマである「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」を組み合わせるとどうでしょう?

     

     

     さらに大きな効果が期待できます!

     

     

     法人所有の「都心タワマン型」の社宅マンションを、値上がりのピークである2020年あたりに社長個人に譲渡するんですが、その方法はもちろん社長からの借入金の代物弁済によるものとします

     

     

     ピーク時に代物弁済すると、より多くの社長借入が清算できて、決算書をスリム化することもでき、社長個人の相続税対策にもなるというわけです。

     

     

     その上で、法人側で譲渡益が損金算入により課税を受けないとなれば最高ですよね。

     

     

     所有する不動産の値動きを正確に掴んでうまくこの制度を活用することができれば、個人・法人の所得税・法人税の節税のみならず、法人から個人への資金還流、社長の相続税対策と一石二鳥にも三鳥にもなるわけです。

     

     

     

    最後に最高にラッキーなあなたに・・・

     

     

     最後に、この制度を活用できそうな不動産(土地等)を複数持っている最高にラッキーなあなたに一つだけ注意点です。

     

     

     それは、この「特定の長期所有土地等の所得の特別控除」、つまり1,000万円の損金算入の特例の制度で認められるのはあくまで「年に1,000万円」までの控除であるということです。

     

     

     確認ですが、この制度の適用に期限はありません

     

     

     今後何年先に譲渡があろうが、要件を満たすのであればその譲渡の年一年につき1,000万円の控除が認められます

     

     

     平成から令和に時代が移ろうが、その先の時代になろうがです。。

     

     

     そんなに長いこと含み益が生じる物件はそうはないと思いますが笑

     

     

     何が言いたいかというと、この特例を適用できる物件を2以上持っていたとしたら、急いで一気に売ることはないですよってことです。

     

     

     下の図を見てください。

     

     

     

     (※3月決算法人の場合のイメージです)

     

     

     

     CASE1では、700万円の譲渡益が出る売却と1,500万円の譲渡益が出る売却を同じ年度に行なっています。

     

     

     そうすると、2つ目の売却について損金算入できるのは、

     

     

     


    1,000万円-700万円=300万円


     

     

     

     になるということです。

     

     

     これを少し我慢して、CASE2のように2つ目の取引を年度をまたいでから行えば、1,000万円の損金算入が可能なんですね。

     

     

     たとえ、法人の事業年度が同じ年度やったとしてもです。

     

     

     あくまで、この特例制度でいう年度とは「暦年」のことなんです。

     

     

     もっとたくさんの該当する不動産を持っていたらどうでしょう?

     

     

     CASE3を見てもらえば分かる通り、法人の事業年度でいうと3期に分けて売却していてもあくまで暦年単位で1,000万円までの控除ということなんで、うまく活用しないと損することがあります。

     

     

     まぁこんなラッキーボーイはそうはいないでしょうけどね笑

     

     

     

     意図的に仕込んでいたとしたら凄いです。

     

     

     いやぁ、結果的に僕のクライアントをこの制度によって救うことはできなかったんですが、忘れかけていた制度に日の目を見させることができて良かったです笑

     

     

     何回も言いますが、適用期限が(今のところ)設けられていないので、今後何年先だろうが、譲渡益の出るような土地の売却の際には、絶対に忘れずにこの特例の適用の可否を事前に検討するようにしないといけません。

     

     

     平成21年~平成22年に相続により取得した土地は対象となりませんが、被相続人が平成21年~平成22年に取得したものを相続した相続人が譲渡する際にはこの特例が適用できる可能性があるわけですからね、要確認ですよ!

     

     

     自分の備忘録を兼ねて。。

     

     

     

     

     

    *****

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    投稿 都心でマンション売ったら・売るなら「取得日」のチェックが欠かされへんで!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    相続した同族会社株式を自己株買いしてもらう場合のみなし配当課税の特例と退職金の微妙な関係 https://hisohisofudosan.com/blog/1728 Fri, 15 Mar 2019 10:30:14 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1728 出資した金額以上の金額で株式を(自社に)買い取ってもらったり、資本の払戻しを受けたりすると、通常は利益を積み立ててきた部分に相当する金額は配当とみなされることとなります。しかし、相続により取得した株式を相続税の申告期限か ...続きを読む

    投稿 相続した同族会社株式を自己株買いしてもらう場合のみなし配当課税の特例と退職金の微妙な関係税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    出資した金額以上の金額で株式を(自社に)買い取ってもらったり、資本の払戻しを受けたりすると、通常は利益を積み立ててきた部分に相当する金額は配当とみなされることとなります。しかし、相続により取得した株式を相続税の申告期限から3年以内に買い取ってもらうような場合には、これを配当とみなさないとすることができる特例があります。先日この特例を巡ってあれこれ考えさせられることがあったのでまとめておきます。

     

     

    みなし配当課税の特例とはどんなものか?

     

     上で言ったように、通常は自己株買いの際には、譲渡価額から資本部分を差し引いた利益部分について、配当とみなされて配当課税を受けます。

     

     

     配当課税を受けるとはどういうことかというと、個人の所得税上扱いが総合課税となるということです。

     

     

     では、総合課税を受けると何か困ったことがあるのか?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、総合課税とは、この配当所得と給与所得、事業所得、不動産所得などを文字通り総合して課税するものです。

     

     

     その総合課税される所得に適用される税率表は下のようになっています。

     

     

     「所得税の速算表(H31.3時点)」

     

     そうなんです。

     

     

     所得が高くなればなるほど、より高率な税が課されるんですね。

     

     

     

     いわゆる累進課税ってやつです。

     

     

     普通に給与所得がある人間が、プラスアルファ配当を受け取ると合算した所得が思いのほか高額になり、びっくりするような所得税の負担を被ることにもなりかねません。

     

     

     では、この「みなし配当課税の特例」という制度を利用するとどうなるのか?

     

     

     

     答えは、「申告分離」の「譲渡所得」となるんです。

     

     

     まず、「申告分離」というのがミソです。

     

     

     

     ほかの所得と合算せずに税金を計算します。

     

     

     そして「譲渡所得」の税率ですが、所得税に限って言うと、所得の大小にかかわらず税率は一律15%です。

     

     

     要は、他に所得があろうとなかろうと、逆にとんでもなく給与所得や事業所得があったとしても、この配当部分に係る税金は配当に対する15%で完結するんです。

     

     

    「みなし配当課税の特例」はいつでも誰にでも有効か?

     

     

     こういうと、この特例を使うために何が何でも相続の申告期限後3年以内に買い取ってもらおうと思う方もいらっしゃるかもしれません。

     

     

     あ、ちょっと枝葉の話ですが、この特例の適用期間は、「相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間」とされています。

     

     

     ちょっと微妙な表現ですよね。

     

     

     期間の始点はいつでしょう?

     

     

     そうです。「相続の開始があった日の翌日」です。

     

     

     そして終点はいつですか?「相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日」です。

     

     

     申告期限を迎える前であっても適用が可能とされているため、実際に適用できる期間は3年間だけでなく3年10ヶ月となります。

     

     

     まぁ大した話ではありませんね、、ところで我々の業界の人間でもとにかく特例を適用させないと納税者に損をさせると勘違いしている人もいるかもしれません。

     

     

     例えば、同じように自己株買いをしてもらうことにより配当とみなされる部分の金額500万円を受け取ったAくんとBさんの場合を考えてみましょう。

     

     

     

     

     

     Aくんは常に特例を適用しない、Bさんは常に特例を適用するものと考えてください。

     

     

     

     そして上のイメージ図でいうと「取得価額=資本金等の額」という想定の下の話です。

     

     

     

     ですので、配当所得も譲渡所得も同じになるということです。

     

     

     

     実際そうならないケースももちろんあるんですが、同族会社では、創業者が創業時に出資して以来資本金等の額が変動していないことが多いでしょうから、中小企業の場合には、ほぼ同じように考えて問題ないでしょう。

     

     

     そうなんです。

     

     

     先の所得税の税率表をみても分かるように、所得税(総合課税)は累進制度をとっているんですが、所得の低いレンジでは、申告分離の譲渡所得に適用される税率を下回るため、特例を適用しない方が有利になるということもあり得るんです。

     

     

     そしてこの制度は相続の申告期限から3年以内の自己株買いに「強制的に」適用されるものではありません

     

     

     あくまで、使いたいんであれば所定の手続きを踏んで適用してもいいよという特例です。

     

     

     

     ちょっと、脱線しますが、この手続きも案外漏らしがちですので、確認しておきますが、「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」というやたらと長ったらしい届出書を、譲渡人は「譲渡の前までに」その発行会社に提出する必要があり、それを受け取った発行会社は必要事項をさらに記載し「当該譲り受けた日の属する年の翌年1月31日まで」に税務署に提出する必要があります。

     

     

     

     話を戻します。

     

     

     で、僕が最近遭遇した案件で何が困ったかというと、同族会社の株式を相続した相続人の一人から自社株買いをすることになったので税金はどうなりますか?と聞かれたんです。

     

     

     相続の申告期限からまもなく3年が経とうとしていた頃ですから、「あ~良かった、良かった、今であれば配当課税を受けることなく譲渡課税で所得税・住民税合わせて20%(正しくは20.315%)で済みますよ~」なんて軽く言ってしまったんです。。。

     

     

     譲受人の側で譲渡所得として低い税率で済むだけでなく、発行会社の方でも配当とみなされたとしたら必要となる源泉の必要もないし、上記の申告書の準備だけしておけばいいなと高をくくっていたんです。。。

     

     

     ところがどっこい、いざ確認してみると、なんとこの会社の株式、相続評価額がゼロ円やったんです。

     

     

     遺産分割協議書には確かに含まれていたし、何なら株価算定もしたので相続により取得したものということは頭に残っていたのですが、まさか株価がゼロやったとは覚えてませんでした。。。

     

     

     特に業績の悪い会社ではなかったので余計に頭から抜けていたのですが、被相続人である前代表者に対して死亡退職金を支給していたんですね。。。

     

     

     それにより株価がゼロになっちゃっていた。。。

     

     

     株価がゼロやと何が困るかって?

     

     

     ピンと来てはる人は、ほんまの税金のプロですね。

     

     

     答えは、この特例の条文の中にあります。

     

     

     

     ややこしいのでカッコ書きは全て省略しています。

     

     

     

    第9条の7  相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例

     

     

    相続又は遺贈による財産の取得をした個人で当該相続又は遺贈につき同法の規定により納付すべき相続税額があるものが、

     

    当該相続の開始があつた日の翌日から当該相続に係る同法第27条第1項又は第29条第1項の規定による申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までの間に当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された金融商品取引法第2条第16項に規定する金融商品取引所に上場されている株式その他これに類するものとして政令で定める株式を発行した株式会社以外の株式会社の発行した株式をその発行した当該非上場会社に譲渡した場合において、

     

    当該譲渡をした個人が当該譲渡の対価として当該非上場会社から交付を受けた金銭の額が当該非上場会社の法人税法第2条第16号に規定する資本金等の額又は同条第17号の2に規定する連結個別資本金等の額のうちその交付の基因となつた株式に係る所得税法第25条第1項に規定する株式に対応する部分の金額を超えるときは、

     

    その超える部分の金額については、同項の規定は、適用しない。(※つまり配当とみなさない。筆者注。)

     

     

     

     分かりますか?

     

     

    当該相続税額に係る課税価格の計算の基礎に算入された」というところがポイントです。

     

     譲受人に、最終的に負担した相続税が存在していないといけないのは言うまでもないし僕の頭にも入っていました。

     

     「しか~し!」

     

     

     そうなんです。

     

     

     「課税価格の計算の基礎に算入された」株式でないと特例の適用対象とならないんです!

     

     

     相続税評価額ゼロじゃ課税価格を構成しません。。。

     

     

     しませんよね?そらしないよ。。。

     

     

     

     と思いながら念のため税務署にも電話して確認しました。

     

     

     答えはやっぱり「ダメ」笑

     

     

     冷たいもんです。。。笑

     

     

     てなわけで急きょ、配当課税を受ける旨を説明するとともに、発行会社の方で源泉徴収の手間が生じることを説明し手続きをとっていただきました。

     

     

     説明が二転三転してクライアントに迷惑を掛けるとともに、自分にがっくりです。。。

     

     

     では、どうすればよかったのか?

     

     

     せっかく頂いた教訓なので、その後も悶々と色々考えました。

     

     

     

     そもそもこんなことなら無理して退職金を満額積んで株価をゼロにする必要があったのか?

     

     

     

     なんて考えたりもしました。

     

     

     役員の退職金については、前回のブログでも触れましたが、「最終報酬月額×役員勤続年数×功績倍率」という算式により支給額を決定することが多いですので、同族会社で支給額を決定する際には、ぶっちゃけ功績倍率を調整することでその支給額をある程度上げたり下げたりできるわけです。

     

     

     それこそ退職金を1億円にすることも1,000万円にすることも可能なケースだってあるでしょう。

     

     

     てことで、次の表をご覧ください。

     

     

     

     

     

     相続財産は非上場株式と死亡退職金のみという仮定のケースです。

     

     

     

     相続人は、配偶者と兄弟2人として計算しています。

     

     

     退職金を任意に設定できるとすると、やはり、非課税限度額(500万円 × 法定相続人の数 )以上は支給したほうがいいですよね。

     

     

     非課税限度額の枠を残すようだと相続税の税額が増えます。

     

     

     

     一番右の場合ですね。

     

     

     では、非課税限度額を超えるといくら出しても一緒なんでしょうか?

     

     

     一緒ですね。相続税は。。

     

     

     法人から個人に自由に使えるお金が移動するというメリットはさておき、相続税の税額は一緒なんです。

     

     

     退職金が1億円でも、5千万円でも相続税は4,125,000円です。

     

     

     

     配偶者の税額軽減とかは無視していますよ。

     

     

     でも、退職金の支給額を決める際に頭に入れておくべきラインは非課税限度額以外にありませんか?

     

     

     今回教訓を得た僕ならもう一つラインを考えます。

     

     

     そう、それはその金額の退職金を支給することで株価がゼロになるかどうかというラインです。

     

     

     こんな単純に考えられるケースは現実にはなかなかないでしょうが、例えば、この表のケースで退職金の額が9,999万円だったとしたらどうでしょうか?

     

     

     非上場株式の相続税評価額は1万円となり、きちんと「課税価格の計算の基礎に算入」されます。

     

     

     となれば、その後自己株買いがあった際に相続人に特例適用の余地が残るわけです。

     

     

     

     1億円支給してしまうと特例適用の余地はありません。

     

     

     特例を使えるかどうかにより税金がどれくらい変わるのかは、先にも確認した通りですが、その相続人のほかの所得が高ければ高いほど大きくなります。

     

     

     ん~、むずい。。

     

     

     正直そこまで見越すことが現実にできるかどうか、見越せたところで実際はどうなんかなってのもあります。

     

     

     ただそれでも、少なくともそういったことも頭に浮かんだうえで退職金の支給額の決定関してアドバイスできたらよかったなと思いますね。。

     

     

     

     

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    『退職金こそ株価対策の肝!』ってことで退職所得控除をおさらいする! https://hisohisofudosan.com/blog/1704 Thu, 14 Mar 2019 06:53:35 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1704 非上場株式とくに同族会社の株式の株価対策って頭悩ませますよね。業績のいい会社ほど株価が高くなり、相続発生時に苦労するだけでなく生前に親族内で株式を承継させようとする際なんかにもやはり高騰した株価がネックになったりします。 ...続きを読む

    投稿 『退職金こそ株価対策の肝!』ってことで退職所得控除をおさらいする!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    非上場株式とくに同族会社の株式の株価対策って頭悩ませますよね。業績のいい会社ほど株価が高くなり、相続発生時に苦労するだけでなく生前に親族内で株式を承継させようとする際なんかにもやはり高騰した株価がネックになったりします。事業承継税制にうまくはまる場合はいいですが、そうでない場合には、どのように株価を(一時的に)下げるかについてあの手この手で検討することとなります。

     

     

    なぜ退職所得控除が重要なのか

     

     株価対策において肝になるのはやはり退職金の活用かと思います。

     

     退職金の中でも特に役員に関するものは金額も大きくなりますので、株価対策という意味で効果が大きくなります。

     

     

     役員退職金と言えば、「最終報酬月額×役員勤続年数×功績倍率」という算式をご存知な方も多いのではないでしょうか。

     

     

     この算式を用いて、支給対象者の立場に応じた功績倍率を1~3倍くらいで計算した金額を支給しておけば、「不相当に高額な部分の金額」として税務署から否認されることはないと言われています。

     

     

     本当はココにも結構論点があるんですが、その話は色々なところでされ尽くしているので、ココではちょっと目線を変えて、退職金を受給する側の立場に立って「退職所得控除」についてまとめてみたいと思います。

     

     

     「退職所得控除」をしっかり理解しておくことで、退職金の支給により株価が下がって株式の承継はうまくいったけど、受給した人が思ってた以上に所得税・住民税を払う羽目になった・・とか、(役員)退職金規定をもっとこういう風にしておけばもっと退職所得控除を多くとれたのにとかいったことを防ぐことができます。

     

     もうひとつ言うと、退職所得控除額の計算の仕組みをきちんと理解していないと、「退職所得の受給に関する申告書」が書けません!

     

     

    「退職所得の受給に関する申告書」と聞いてピンと来ない方もいらっしゃるでしょうから説明しますと、これは退職手当等の支給を受ける人が、退職手当等の支払者に提出するもので、この手続きが行わなければ、その支払者は退職手当等の金額につき一律20.42%の税率による源泉徴収を行わなければならなくなります

     

     

     そのため通常は、支払者は受給者に対してこの申告書を必ず提出してもらうこととなります。

     

     

    退職所得控除の基本を押さえる

     

     それではさっそく「退職所得控除」について基本からみていきますが、予め言っておくと、今回は「特定役員退職手当等」および「特定役員退職所得控除額」には触れません。

     

     

     ここまで触れるととてもでないですが、一回のブログにまとまりきりません(笑)

     

     

     とういわけで、以下「退職金」というのは、特定役員退職手当等ではない「一般の退職手当等」のこととしてお読みください。

     

     

     所得税の計算における「退職所得」の金額は、原則として、次のように計算します。

     

     


    収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2


     

     

     ご覧いただいて分かる通り、退職所得は、所得控除がある上に最後に2分の1されるので非常に優遇された所得です。

     

     

     ですので、株価対策でも「退職金」が積極的に活用されるわけです。

     

     

     とはいえ、上の算式上の「退職所得控除額」の計算を正しく理解しているかどうかによって、得られるメリットの大きさがグンと変わることもありますので、以下じっくりご確認いただきたいなと思います。

     

     

    【退職所得控除の計算式】

     

     

    勤続年数(=A) 退職所得控除額

     

    ・20年以下・・・40万円×A

    ・20年超 ・・・800万円+70万円×(A-20年)

     

     

     この計算式は非常にシンプルなので理解できますね。

     

     

    退職所得控除の計算を事例で確認する

     

     

     

     基本的なパターンを図にすると上のようになります。

     

     

     

     先の【退職所得控除の計算式】と見比べながら眺めてくださいね。

     

     

     基本パターンから少し変化を加えて、一つの会社に勤務していた場合でも、一時勤務しなかった期間がある場合の退職所得控除額はどのように計算するでしょうか?

     

     

     

     

     
     上のように、一旦勤務しなくなった際に退職金を受給していないのであれば、今回の退職所得控除を計算する際には、前の勤続期間を加えた勤続年数により計算することができます。

     

     

     では、その勤務しなくなった期間単に休んでいたのではなく、関連会社などで勤務をしていたケースはどうでしょうか?

     

     

     

     

     

     この場合にポイントになるのは、退職金に関する規定です。

     

     

     そもそも退職金の支給額を計算するうえで、他社での勤続期間を含めることとされているのであれば、今回の退職金にかかる退職所得控除を計算する際の勤続年数は、その他社での勤続期間も加えて計算することができるんですね。

     

     

     上図のとおり、他社での勤続期間を含められるかどうかによって結構退職控除額が変わってしまいます。

     

     

     そうすると同じ金額の退職金を受け取ったとしても払うべき税金が全然違ってくるわけです。

     

     

     次に少しレアなケースですが、同じ年に2以上の退職金を受給する場合です。

     

     

     

     

     

     図の上段のケースは、使用人部分の退職金役員退職金を同時に受け取るような場合で、下段のケースは、2社兼務して働いていて同じ年にそれぞれから退職金を受給するような場合です。

     

     

     実は、いずれのケースも退職所得控除額の考え方は同じなんです。

     

     

     

     2回受け取るのであれば「いずれか長い勤続期間、3回以上受けるのであれば「そのうち最も長い勤続期間」を勤続年数として退職所得控除額を計算します。

     

     

     下図のパターンは、同じ年に2以上の退職金を受け取るのは同じですが、それぞれの勤続期間の全部が重複しないケースです。

     

     

     

     

     

     この場合には、単純に最も長い勤続期間に、その最も長い勤続期間と重複しない期間加算した期間を勤続年数として計算します。

     

     

     さらに複雑になりますが、次のパターンはいかがでしょうか?

     

     

     

     

     

     一旦勤務しなくなった際に退職金を受け取り、他社で勤務した後再度元の会社に戻ってきた場合です。

     

     

     図にあるように、あくまで原則は、戻ってきてからの勤続期間を勤続年数とする考え方です。

     

     

     例外として、退職金規定により、前の勤続期間も含めて退職金の支払額を計算することとされているときには、通常通り(トータルで)計算した退職所得控除額から前の退職手当等にかかる勤続年数を退職所得控除の計算式にあてはめて計算した金額を控除した金額を退職所得控除額とすることとされています。

     

     

     ちなみに他社での勤続期間も含めて退職金が計算される場合には、退職所得控除額の計算においてもその期間を勤続年数に含めることができます。

     

     

     ここまできたらもう頭の中ぐちゃぐちゃになってきますね(笑)

     

     

     

     でも、現実にはあり得るケースですよ。

     

     

     さらにこんなケースはどうでしょう?

     

     

     

     

     並行して勤務していた一方の会社で退職金の支給を受けていた場合です。

     

     

     この場合には、図の※印にあるとおり、その退職金にかかる勤続期間の一部が、その年の前年以前4年内に支払いを受けた退職手当等にかかる勤続期間と重複しているときに限り、退職所得控除額の計算にひと手間必要となります。

     

     

     ひと手間とは、通常通り計算した退職所得控除額から、その重複している期間を退職所得控除の計算式にあてはめて計算した金額を控除するというものです。

     

     

     いかがですか?

     

     

     

     図と算式をよーく眺めて理解してくださいね。

     

     

     

     とかいいながら、書いてる僕もこんがらがってきそうですが(笑)

     

     

     こんがらがってるところにダメ押しですが、パターン⑥のちょっと変形パターンでこんなケースも考えられます。

     

     

     

     これはパターン⑥と同じように考えれば答えは導き出せるはずです。

     

     

     ちなみに、重複期間に1年未満の端数がある場合には切り捨てることとなりますのでご注意ください。

     

     

     さらにイレギュラーなケースかもしれませんが、前の退職金額が、前の退職手当等の勤続年数に基づき退職所得控除の計算式にあてはめて計算した金額を下回る場合には、前の退職手当等の勤続期間は、その期間の初日から次表の算式により計算した数(1未満の端数切捨て)に相当する年数を経過した日の前日までの期間であったものとして重複期間を計算するというルールもあります。

     

     

    前の退職手当等の収入金額

    ・800万円以下の場合 ・・・ 収入金額÷40万円

    ・800万円を超える場合・・・ (収入金額-800万円)÷70万円+20

     

     

     とにかく、1年あたり40万円(20年超部分は70万円)の退職所得控除の枠は認めようということなんですね。

     

     

     しかし、ややこしいです。

     

     

     でも現実には、もっと頻繁に入退社やグループ企業間での出向・転籍なんかが行われているケースも存在します。

     

     

     退職金の支給額はあくまで規定通りというのが大原則ですが、同族会社の同族関係者への退職金の検討の際には、予め退職金規定から作りこむことができるはずです。

     

     

     しっかり理解して、優遇された退職所得の制度を最大限に利用して株価対策を行いたいものです。

     

     

     

     また後日まとめますが、ここに平成24年11月改正後は特定役員退職金という概念が加わっていますので本当に嫌になるくらい複雑です。

     

     

     今回は、半分僕の備忘録みたいになっちゃいました・・・

     

     

     

     読み物としてはつまんないですね(汗)

     

     

     でも理解して上手く活用できれば株価対策に活きてくるはずです。

     

     

     

     

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    住宅ローンの借換えや繰上げ返済をするときには、住宅ローン控除の償還期間10年ルールを忘れるな! https://hisohisofudosan.com/blog/1642 Mon, 14 Jan 2019 11:27:34 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1642 年末年始というのは、我々税理士業界の人間は年末調整に追われるものです。年末調整が終わってそうこうしているうちに今度は確定申告のシーズンがやってきます。この年末調整、確定申告でたくさんレビューをしていると、住宅ローン控除に ...続きを読む

    投稿 住宅ローンの借換えや繰上げ返済をするときには、住宅ローン控除の償還期間10年ルールを忘れるな!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    年末年始というのは、我々税理士業界の人間は年末調整に追われるものです。年末調整が終わってそうこうしているうちに今度は確定申告のシーズンがやってきます。この年末調整、確定申告でたくさんレビューをしていると、住宅ローン控除に関するあるルールを知らないばっかりに損をしてしまっているケースに出くわすことがあります。。

     

     

     

    住宅ローン控除に関する平成31年度税制改正大綱による改正点

     

     本題に入る前に、先日公表された平成31年度の税制改正大綱の中で、「住宅ローン控除」に関する改正点がありましたので、その内容を確認しておきましょう。

     

     

     個人が、住宅の取得等(その対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る。)をして平成31 年10 月1日から平成32 年12 月31 日までの間にその者の居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する。

     

     

    この特例は、適用年の11 年目から13 年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額を、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用ができることとする。

     

    一般の住宅(認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅以外の住宅)の場合

     

    次に掲げる金額のいずれか少ない金額

     

    (イ)住宅借入金等の年末残高(4,000 万円を限度)×1%

     

    (ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-当該住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等〕(4,000 万円を限度)×2%÷3

     

    (※一般の住宅以外の場合については、省略)

     

     

     

     

     要は、消費税率が10%に引き上げられることにより、それ以後の住宅購入が控えられる可能性があるため、その需要変動の平準化を目的として、消費税率10%が適用される住宅の取得等について、住宅ローン控除の適用期間を通常の10年から13年に延長するということです。

     

     

     そして、その延長される11年目以降の3年間については、消費税の2%引き上げ分の負担に着目した控除がなされることとなります。

     

     これは、非常に大きな控除となりますね。

     

     上手く住宅ローン控除を適用できれば、実質的には消費税の増税に係る負担を回避することができます。

     

     

    住宅ローンの借換え・繰上げ返済とその効果

     

     

     さて、話を今日の本題に戻しますが、住宅ローン控除は当然ながら、ローンを組んで住宅を購入した場合に適用される特例制度です。

     

     

     ただ、特例が適用できて所得税の節税になるとはいえ、やはりその金利負担は結構大きなものになります。

     

     

     ここでちょっとだけ脇道にそれますが、所得税の節税と言っていますが、平成21年度税制改正以降、所得税から控除しきれなかった額を個人住民税において税額控除されることとなっています。

     

     

     それまではあくまで所得税においてのみ適用される特例であったわけです。

     

     

     それが、平成21年度の税制改正において改正された背景には、リーマンショック後の「厳しい経済状況を踏まえ、住宅投資を活性化し、景気浮揚の突破口にしようという狙い(引用:総務省HP)」があったわけですね。

     

     

     僕的には、フルローンで不動産の価値としてはイマイチな住宅を買う人が増えたことは、長い目で見たときにどうだったのかなと思わなくもないですが。。

     

     

     話を戻して、住宅ローンを組んで住宅を購入したのちに繰上げ返済借換えをすることによって金利負担を少しでも低減しようとする方も多いのではないでしょうか?

     

     

     ファイナンシャルプランナーの方や銀行マンも借換えや繰上げ返済を積極的に奨励していたりします。

     

     

     その繰上げ返済ですが、実は2つのパターンがあります。

     

     

     一つは「償還期間短縮型」と言われるもので、繰上げ返済した分償還期間を短縮するパターンと、もう一つが「月返済額軽減型」と言われる繰上げ返済しても償還期間はそのままで月々の返済額を小さくするパターンのものです。

     

     

     それぞれのパターンを図に示すとしたのようなイメージです。

     

     

     

     

     

     
     それぞれ、トータルの利息の支払額(黄色部分の面積が小さくなっています)が圧縮されているのが直感的に分かりますね。

     

     

     では、同額繰上げ返済するとしたらどちらのパターンの方が利息の支払額をより小さくできるのでしょうか?

     

     

     具体的に、借入総額3,000万円(年利1%、元利均等払い、償還期間20年)として、簡単にシュミレーションしてみましょう。

     

     

     年に約160万円の支払いをして8年間支払ったところで、500万円を繰上げて返済したとします。

     

     

     そうすると、下図のように「償還期間短縮型」であれば、当初の予定では約325万円利息を支払わなければならなかったところが、約270万円で済むこととなり、約55万円金利負担が軽減します。

     

     

     

     

     一方で、「月返済額軽減型」はどうでしょうか?

     

     こちらも同様に8年間支払ったところで500万円を繰上げ返済したとします。

     

     

     

     

     

     
     「月返済額軽減型」でも、当初の予定よりは金利負担が軽減するものの、その軽減額は約33万円となり、「償還期間短縮型」と比べて、随分その負担軽減額が小さいことが分かりますね。

     

     

     そうなんです!

     

     

     トータルの利息の支払額を小さくするということを目的とするならば、繰上げ返済をする際に選ぶべきパターンは「償還期間短縮型」ということになります。

     

     

     結構これは周知のことで、ファイナンシャルプランナーや銀行の営業マンも「償還期間短縮型」を薦めてくれることが多いようです。

     

     

     

    繰上げ返済と住宅ローン控除の関係

     

     

     ちなみに当然と言えば当然ですが、繰上げ返済借換えをした場合にも原則として住宅ローン控除は継続して適用できます

     

     

     借換えの場合は、租税特別措置法関係通達41-16に次のように規定されています。

     

     

     

    措置法通達41-16

    (借入金等の借換えをした場合)

     

    新築等(敷地の取得を含む。)又は増改築等に係る借入金又は債務(以下「当初の借入金等」という。)の金額を有している場合において、当該当初の借入金等を消滅させるために新たな借入金を有することとなるときは、当該新たな借入金が当初の借入金等を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、当該新たな借入金を新築等又は増改築等のための資金に充てるものとしたならば措置法第41条第1項第1号又は第4号に規定する要件を満たしているときに限り、当該新たな借入金は同項第1号又は第4号に掲げる借入金に該当するものとする。

     

     

     

     つまり、その借り換えをした新たな借入金も住宅ローン控除の対象となる借入金に該当するということです。

     

     

     また、繰上げ返済についても、租税特別措置法関係通達41-19の前段に次のように規定があります。

     

     

    措置法通達41‒19 前段

    (繰上返済等をした場合)

     

    措置法第41条第1項各号に規定する借入金若しくは債務、同条第6項の規定の適用を受ける場合の住宅借入金等又は同条第10項の規定の適用を受ける場合の住宅借入金等の金額に係る契約において、その年の翌年以後に返済等をすべきこととされている住宅借入金等の金額につき、その年に繰り上げて返済等をした場合であってもその年12月31日における現実の住宅借入金等の金額の残高については、同条第1項、第6項又は第10項の規定の適用があるのであるが、(以下、省略)

     

     

     基本的には、住宅ローンの借換えや繰上げ返済を行ったとしても、引き続き住宅ローン控除の適用を受けることができることが分かります。

     

     

     しかし、案外盲点なのが、上の措置法通達41-19の後段に書かれている内容です。

     

     

     以下、ご確認ください。

     

     

     

    措置法通達41‒19 後段

    (繰上返済等をした場合)

     

    例えば、その年の翌年以後に返済等をすべきこととされている住宅借入金等の金額の全額につき、その年に繰り上げて返済等をした場合など、当該繰上返済等により償還期間又は割賦期間が10年未満となる場合のその年についてはこれらの規定の適用はないものとする。

     

     

     

     先に、繰上げ返済をする場合、そのトータルの金利負担を圧縮するために「償還期間短縮型」を選択することが多いと書きました。

     

     

     
     そうなんです!

     

     

     この「償還期間短縮型」による繰上げ返済をする場合には、トータルの償還期間が10年未満にならないように注意が必要なんです。

     

     

     見落としがちですが、そもそも住宅ローン控除について定めた措置法41条において、住宅ローン控除の対象となる住宅ローンは、

     

     

     

    「契約において償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの」

     

     

     

     とされているんです。

     

     

     例えば、次のようなケースで考えてみてください。

     

     

     今度のケースは、借入総額2,000万円(年利1%、元利均等払い、償還期間12年)で、5年間返済した後500万円繰上げ返済をするというイメージです。

     

     

     この繰上げ返済を「償還期間短縮型」で行うとすると、トータルの償還期間が9年となります

     

     

     

     

     そうなると、借換え以後6年目~10年目は住宅ローン控除の適用を受けることができなくなるんです!

     

     

     ココが、今回のトピックですが、繰上げ返済によりせっかく30万円分も金利負担を低減することができたとしても、その繰上げ返済のせいで、本来繰上げ返済しなければ6年目~10年目に受けられたはずの住宅ローン控除の規定による節税額約35万円の控除が受けられなくなり、いわゆる逆ザヤとなってしまうことがあるということなんです。

     

     

     

     

     ファイナンシャルプランナーや銀行マンも良かれと思って、繰上げ返済や借換えを提案してくれるんでしょうが、その中途半端な知識のせいで損をさせられるとたまったもんじゃないですよね(笑)

     

     

     ここで、誤解があるといけませんが、繰上げ返済をしたことによって「償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの」に該当しなくなったとしても、住宅ローン控除を受けることができないこととされるのは、その該当しなくなった年以後についてのみであるということにも注意が必要です。

     

     

     借り入れ当初に遡って住宅ローン控除の適用を取り消されるわけではありません。

     

     

     適用関係をまとめておくと次のような感じです。

     

     

     

     今は超低金利時代ですし、結構こうした逆ザヤになるようなケースもありえます。

     

     

     住宅ローン控除の適用については結構細かな論点が多いですからきっちり制度を確認して申告する必要がありますね。

     

     

     くれぐれも中途半端なアドバイスに便乗して知らずしらず損をさせられる事のないようにしてくださいね。

     

     

     不動産の知識があっても税金の知識がなかったり、税金の知識があっても不動産の知識がなかったりという専門家がほとんどですから。。

     

     

     

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    駐車場用地について小規模宅地特例の適用を判定する際に確認すべき3つのポイント https://hisohisofudosan.com/blog/1627 Tue, 08 Jan 2019 12:00:29 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1627 先日同業者である税理士さんからとある質問を受けました。「マンションを所有する祖母から子が主宰する法人にその建物のみ譲渡した場合、その土地については小規模宅地等の特例を受けられるのか」という内容でした。これは相続税の節税対 ...続きを読む

    投稿 駐車場用地について小規模宅地特例の適用を判定する際に確認すべき3つのポイント税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    先日同業者である税理士さんからとある質問を受けました。「マンションを所有する祖母から子が主宰する法人にその建物のみ譲渡した場合、その土地については小規模宅地等の特例を受けられるのか」という内容でした。これは相続税の節税対策の一環でよくとられるスキームですがみなさんいかがでしょう?

     

     

    小規模宅地特例の適用の可否

     

     結論から言うとこれだけの情報では小規模宅地の特例が使えるとも使えないとも判断ができません(笑)

     

     建物を法人に譲渡する前の状態、つまり建物も土地も祖母(被相続人となる前提)が所有している状況であれば、その土地(貸家建付地)については小規模宅地特例が使える可能性が高そうですね。

     

     では、建物を譲渡してしまった場合には、その土地についての小規模宅地特例の適用の可否をどのように考えればいいのでしょうか。

     

     せっかくなんで条文だけでなく、判例も確認したり、周辺知識もアップデートしておこうと思ってあれこれ調べていると面白いテーマになりそうやなって盛り上がってきたんでここで取り上げました。

     

     調べていくなかで出くわした興味深い裁決事例をご紹介しておこうと思います。

     

     国税不服審判所HPで平7.1.25裁決、裁決事例集NO.49 428頁を確認ください。

     

     

     非常に示唆に富んでいて勉強になります。

     

     この裁決事例では、駐車場用地が小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当する否かが争われたものでしたので、先のマンションの話とは少し外れますが、駐車場用地に的を絞って特例の適用の可否についての考え方をまとめていきたいと思います。

     

     いきなりですが、これさえあれば一目で確認できるというこれまでありそうでなかった非常にあり難いフローチャートを作成しましたのでこちらをご覧ください(笑)

     

     

     

     

     

     

     この「駐車場用地の小規模宅地特例適用の可否判定フローチャート」から分かるように、小規模宅地特例の適用の可否を判定する上で重要なポイントは3つです。

     

     

    意外に見落としがちな第1のポイント

     

     まずは、小規模宅地特例を規定した措置法第69条の4を確認しておきましょう。

     

     

    第69条の4  1項

    (小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)

     

    個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるものがある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係る全ての特例対象宅地等のうち、当該個人が取得をした特例対象宅地等又はその一部でこの項の規定の適用を受けるものとして政令で定めるところにより選択をしたものについては、限度面積要件を満たす場合の当該選択特例対象宅地等に限り、相続税法第11条の2に規定する相続税の課税価格に算入すべき価額は、当該小規模宅地等の価額に次の各号に掲げる小規模宅地等の区分に応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額とする。

     

    一 特定事業用宅地等である小規模宅地等、特定居住用宅地等である小規模宅地等及び特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等 100分の20

     

    二 貸付事業用宅地等である小規模宅地等 100分の50

     

    (※カッコ書き省略)

     

     

     

     これがまさに小規模宅地特例の規定なんですが、ここに見落としがちな第1のポイントが潜んでいます。

     

     
     そうです、上の赤字の部分です。

     

     案外さらっと読み過ごしてしまっているんじゃないでしょうか。

     

     

     そうなんです、駐車場の話で考えると、例えば青空駐車場のようなものや、地面に白線やロープだけを備えた駐車場はハナから対象宅地とならないんです。

     

     

     構築物の敷地の用に供されていなければ、例え100台規模の駐車場であろうとダメなんです。

     

     

     実際には、100台も停められるような広い土地をそんな状態でほっておくことはないでしょうけど。。

     

     

     ちなみに、アスファルト敷きのほか、砂利敷きなんかも構築物に該当するとされています。

     

     先にご紹介した裁決事例においても、この第1のポイントに引っかかって特例は適用できないとされた駐車場用地がでてきます。

     

     この事例では、実際異議審理庁の所属職員がご丁寧に現地に出向いて確認したところ、

     

     

    「かつて砂利を敷設したであろうこん跡は認められるものの、相当程度の面積において砂利が消滅しており、一部雑草が繁茂している部分もあって、当該砂利は既に地中に埋没して土地の一部とみられる状態になって」

     

     

     いたという理由で、当該砂利敷きは、特段の事情の無い限り構築物とは言えない状態にあったものと推認されています。

     

     そして、当該物件は、相続開始直前において構築物の敷地の用に供されていなかったと認定されるので事業の用に供されていたかどうかの判断をするまでもなく、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しないと結論づけられています。

     

     これって、結構怖くないですか?

     

     アスファルトや砂利敷きの現況を確認せずに、「小規模宅地特例が使えるね」って判断してしまっている税理士先生も多いんじゃないでしょうか。

     

     やっぱり現況の確認って大事ですね!

     

     アスファルトが捲れてたり、砂利が埋没してたりってのは現場で対象の土地を自分の目で見ないと分かりませんもんね。。

     

     

     

    第2のポイント 事業的規模で行われているか否か

     

     

     第2のポイントは、その駐車場用地の貸付が事業的規模で行われているかどうかということです。

     

     事業的規模の論点については、貸付事業用宅地に関する小規模宅地特例の改正をぐっと掘り下げて考えてみた!確定申告で不動産貸付業の『事業的規模の判定』を間違えるな!でも見てきた割とベタな論点ではありますが、実際の判定は割と悩ましいものがあります。

     

     戸建てやマンションの際に形式的に判定するための「5棟10室基準」を援用して、およそ50台分以上の駐車場であれば、形式的に事業的規模と判定できる可能性もあるのですが、基本的には「営利性・有償性」「継続性・反復性」「自己の危険と計算における事業遂行性」「精神的・肉体的労力」「人的・物的設備」「目的」「事業者の職歴・地位」という7つの項目を総合的に勘案して事業と言えるかどうかを判断することになるかと思います。

     

     敷地内に管理人室なんかがあり、管理人が車の入出庫を差配しているような駐車場であれば可能性もあるのでしょうが、普通の月極駐車場なんかで事業として行っていると判断できるものはあまりないのではないでしょうか。

     

     そうすると、駐車場用地については、小規模宅地特例の適用はほとんど無理なのかというとそんなことはありません。

     

     そこで登場するのが次の第3のポイントです。

     

     

     

    第3のポイント 相当の対価を得て継続的に行われているか

     

     第3のポイントを確認する上で確認しないといけない条文が次の措置法施行令第40条の2の1項です。

     

     

     

    措置法施行令第40条の2 

    (小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)

     

    法第69条の4第1項に規定する事業に準ずるものとして政令で定めるものは、事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの(第6項及び第16項において「準事業」という。)とする。

     

     

     

     

     そうなんです。

     

     事業的規模であることは、小規模宅地特例の適用対象となるための必要条件ではないんです。

     

     例え事業と称するに至らない規模の駐車場用地であっても「相当の対価を得て」「継続的に」行われてさえいればOKなんです!

     

     しかし、この「相当の対価」というのがまた相当にやっかいなんです(笑)

     

     特例適用の可否判定において非常に重要なポイントであるにも関わらず、「相当の対価」が条文のどこを探しても定義されていないんです。

     

     はっきりとした定義がないもんで、いろんな人が自分の都合の良いように解釈していたり、誰が言い出したのか都市伝説化している考え方があったりと魑魅魍魎です(笑)

     

     

     

    「相当の対価」にまつわる3つの誤解

     

     

     

     この「相当の対価」に関しての一つ目の誤解は「固定資産税を賄えるくらいの対価を得ていればOK」というものです。

     

     飛んでもない間違いなんですが、実は、この間違いには間違えるだけの根拠があります(笑)

     

     

     変な話ですが笑

     

     次の措置法通達37-3(一部抜粋)をみてください。

     

     

    (2) 「相当の対価を得て継続的に行う」とは、相当の所得を得る目的で継続的に対価を得て貸付け等の行為を行うことをいう。

     

    この場合には、次のことに留意する。

     

    イ 相当の所得を得る目的で継続的に対価を得ているかどうかについては、次による。

     

    (イ) 相当の対価については、その貸付け等の用に供している資産の減価償却費の額(当該資産の取得につき措置法第37条第1項(同条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けているときは、措置法第37条の3第1項の規定により計算した取得価額を基として計算した減価償却費の額)、固定資産税その他の必要経費を回収した後において、なお相当の利益が生ずるような対価を得ているかどうかにより判定する。

     

     

     

     「えっ??」

     

     「相当の対価についてちゃんと定義されてますやん!?」

     

     

     て、なりますよね(笑)

     

     

     


     「固定資産税その他の必要経費を回収した後において、なお相当の利益が生ずるような対価」

    =「相当の対価」


     

     

     

     なんですね・・・

     

     しか~し、これが使えないんですよ(笑)

     

     これは、所得税における特定事業用資産の買換特例制度において用いられる「相当の対価」の定義であって、小規模宅地特例の適用対象となるかどうかの判定の際の「相当の対価」ではないんです。

     

     固定資産税を賄えるくらいの金額でOKと言ってる人はおそらくこの規定と混同してるんでしょうね。

     

     同じ不動産の賃借料の話なんですが、ややこしい話です。。

     

     次の誤解が「固定資産税の3倍」が「相当の対価」というものです。

     

     

     これはHP上でもかなり言われているようですが、結論から言いますとそれでOKな場合もあればダメな場合もあります。

     

     例えば、土地の所有者=建物・構築物の所有者である場合土地の所有者≠建物・構築物の所有者である場合(地主は単に土地を賃貸しているだけのケース)では当然に受け取るべき対価が変わることは感覚として分かると思いますが、その違いが、単に固定資産税の3倍とすると考慮されないこととなります。

     

     また、固定資産税の税額自体単純に「評価額×税率」で計算されるものでなく、様々な特例が適用されて計算されることがあることからも、単純に「固定資産税の3倍」を「相当の対価」と考える危険性が理解できると思います。

     

     最後の「相当の対価」=「相当の地代」という誤解は、単にコトバだからなんでしょうか笑

     

     「相当の地代」も得ていればたいていの場合確かに十分「相当の対価」と言えるんでしょうけどね。

     

     親族間で極力賃料を抑えたい場合などでは、むしろ必要以上にもらいすぎということにもなりかねませんからふさわしい考え方とは言いにくいですね。

     

     また、2つ目と同じく土地の所有者=建物・構築物の所有者である場合と土地の所有者≠建物・構築物の所有者である場合の違いがやはり考慮されません

     

     

     

    結論のでない「相当の対価」の考え方

     

     長々と世間で誤解されている「相当の対価」の考え方をダメ出ししてきましたが、「じゃあどう考えたらいいねん!」とそろそろ突っ込まれそうですね。

     

     答えは「分かりません」(笑)

     

     いや、はっきりとした数式で表せるものではない。というのが結論の一つです(笑)

     

     しかし、何かしらの見解を示しておかないとこのブログの意味がありません。

     

     そこで参考になるのが、先の裁決事例です。

     

     この事例では、実は、得ていた賃料が「相当の対価」と認められずに、小規模宅地特例の適用不可と判定された土地も登場するんです。

     

     では、審判所は何をもって「相当の対価」といえないと判断したのでしょうか?

     

     何のことはない、近隣事例との対比によって判断したんです。

     

     

     

     

     

     被相続人が得ていた4,825円/㎡が「相当の対価」と言えるか否かが、この駐車場用地について小規模宅地特例が適用できるかどうかの分水嶺です。

     

     

     が、審判所は、土地の所有者である被相続人が得ている賃料が、近隣事例の13,447円/㎡、18,181円/㎡、そして土地の使用者である親族が月極駐車場として第三者に賃貸している賃貸料14,537円/㎡と比較して「著しく低廉」と認められるため、この賃貸借(被相続人と親族の間の賃貸借)は、「相当の対価」を得て行われたものとはいえないと結論付けています。

     

     この事例では、被相続人と親族との間で当該賃貸借について契約書が存在せず賃貸借期間の定めもなかったから、その賃貸借が「継続的に行われていた」ものとも認められないとさらにダメ出されています(笑)

     

     

     審査請求人の完敗ですね・・・

     

      ちなみに賃貸借が「継続的に行われていた」かどうかの判断については、

     

     

    「単に貸付開始の時から相続開始時までの貸付期間の長短により判断するのではなく、原則として、その貸付に係る契約の効力の発生したときの現況において、当該不動産の貸付けが相当期間継続して行われることが予定されているものであるかどうかにより判断」(引用:[小規模宅地等の課税特例の実務]清文社・笹岡宏保先生)

     

     

     することとされているので、親族間の賃貸借の場合でもきちんと契約書を作成しておくことが、特例適用の否認リスクを回避する意味でとても重要ですね。

     

     

    「相当の対価」についての一応の結論は・・・

     

     

     というわけで、小規模宅地特例の適用の可否判定でいうところの「相当の対価」というのは、「通常の世間相場」であるというのが結論です(笑)

     

     

     通常の世間相場をどのように確認したらいいのかという点は、また、簡単でない問題ですが、不動産屋に取引事例を確認したり、不動産鑑定士に適正賃料の鑑定を依頼したりすることが手段の一つですね。

     

     

     最後に、話を初めの同業者からの質問に戻しますと、どうでしょうか?

     

     

     マンションと駐車場で少しケースが異なりますが、フローチャートに沿ってみてみると、被相続人が建物を親族の会社に譲渡したとはいえ、対象土地が建物の敷地の用に供されていることから第1ポイントはクリアです。

     

     

     第2ポイントはどうでしょう?

     

     

     譲渡前の、被相続人がマンションも所有している状況であれば、形式基準ないし実質基準にて「事業的規模」に該当するかどうかを判定するところですが、譲渡後は、被相続人は単に土地の賃貸借を行っているだけですから、事業の用に供しているとはいえませんね。

     

     

     そうすると、小規模宅地特例を適用するためには、地代として「相当の対価」を得て継続して賃貸借が行われていることが条件となります。

     

     

     ですので、その地代の金額次第で適用の可否が変わりますよというのが答えでした。

     

     

     いや~、難しいですね~笑

     

     

     実務的に「相当の対価」をどのように考えているのか、色々同業の税理士先生の意見も聞いてみたいですね。

     

     

     弁護士や不動産鑑定士など他士業の先生方の意見も聞いてみてもいいかもしれませんね~。

     

     

     不動産の賃借料は、特に同族間においては任意にいくらにでも設定できてしまうのですが、現実には裁判などでその賃借料が低すぎる(あるいは高すぎる)がゆえ様々な問題が起こっているのも事実です。難しいですね。。

     

     また、情報収集しておきます。

     

     

     

     

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    期限後申告と小規模宅地特例および配偶者の税額軽減の関係は、実は・・・ https://hisohisofudosan.com/blog/1599 Sat, 05 Jan 2019 15:27:37 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1599 先日実務で久々に申告期限を過ぎてしまっている相続税の申告業務に遭遇しました。そして、その相続財産にはマイホームも含まれていたわけですが、果たして、この相続人である依頼者は相続税の期限後申告において小規模宅地の特例制度を適 ...続きを読む

    投稿 期限後申告と小規模宅地特例および配偶者の税額軽減の関係は、実は・・・税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    先日実務で久々に申告期限を過ぎてしまっている相続税の申告業務に遭遇しました。そして、その相続財産にはマイホームも含まれていたわけですが、果たして、この相続人である依頼者は相続税の期限後申告において小規模宅地の特例制度を適用することができるんでしょうか・・・

     

     

     

    小規模宅地特例の原則と例外

     

     

     相続税の計算において節税を考えるときに、最も重要なことが小規模宅地特例および配偶者の税額軽減の活用ですね。

     

     

     この小規模宅地特例と配偶者の税額軽減のいずれの特例も使わない相続税申告の方が珍しいくらいかと思うほどメジャーな特例ですので、一般の方でもなんとなく概要をご存知の方は多いんじゃないでしょうか。

     

     

     ここで制度の詳細は説明できませんが、ある程度周知のこととして小規模宅地特例の適用の可否に論点を絞ってみていきたいと思います。

     

     

     小規模宅地特例の適用の可否について規定したのが措置法第69条の4ですが、これも割と有名な規定ですね。

     

     

    措置法第69条の4

     

    4 第1項の規定は、同項の相続又は遺贈に係る相続税法第27条の規定による申告書の提出期限(以下この項において「申告期限」という。)までに共同相続人又は包括受遺者によつて分割されていない特例対象宅地等については、適用しない

     

    ただし、その分割されていない特例対象宅地等が申告期限から3年以内(当該期間が経過するまでの間に当該特例対象宅地等が分割されなかつたことにつき、当該相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合において、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、当該特例対象宅地等の分割ができることとなつた日として政令で定める日の翌日から4月以内)に分割された場合(当該相続又は遺贈により財産を取得した者が次条第1項の規定の適用を受けている場合を除く。)には、その分割された当該特例対象宅地等については、この限りでない

     

     

     わかりやすくまとめるとこんな感じでしょうか。

     

     

     

     この原則と例外、いかがですか?

     

     

     皆さんの認識は、

     

     

    「本当は、申告書の提出期限までに分割されてなかったら適用できないけど、なんかの書類を出しておけば3年以内に分割された場合には特例使えるんだよね~」

     

     って感じ、じゃないですか?(笑)

     

     

     いや、我々税理士だって普段はこんな感じかもです・・・

     

     

     そして、少しレアなケースとして実は例外の『例外』も用意されてるんですね。

     

     

     先の条文で言うとただし書きのカッコ書きの部分です。

     

     

     ここは少し脇道にはそれますが、説明が必要かと思います。

     

     

     

    例外の『例外』が使える「一定のやむを得ない事情」

     

     

     さて、その例外の『例外』規定ですが、「一定のやむを得ない事情」があれば認められるというものです。

     

     

     

     条文では、「相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の政令で定めるやむを得ない事情」とされている部分ですが、具体的にはどのような場合が該当するのでしょうか。

     

     

     簡潔にまとめると次のような場合となります。

     

     

    その相続又は遺贈に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日において、

     

     

    ⅰ その相続又は遺贈に関する訴えの提起がされている場合

     

    ⅱ その相続又は遺贈に関する和解、調停又は審判の申立てがされている場合

     

    ⅲ その相続又は遺贈に関し、民法第907条第3項(遺産の分割の協議又は審判等)若しくは第908条(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)の規定により遺産の分割が禁止され、又は民法第915条第1項ただし書(相続の承認又は放棄をすべき期間)の規定により相続の承認若しくは放棄の期間が伸長されている場合

     

    ⅳ ⅰ~ⅲに掲げる場合のほか、相続又は遺贈に係る財産がその相続又は遺贈に係る相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに分割されなかったこと及びその財産の分割が遅延したことにつき税務署長がやむを得ない事情があると認める場合

     

     

    において、納税地の所轄税務署長の承認を受けたとき

     

     

     

     

     

     つまりは、揉めにもめて弁護士やら裁判所やらにお世話になって、解決にかなりの時間がかかるようなケースってことですね。

     

     
     このような場合には、それぞれに定められた「その分割できることとなった日の翌日から4か月以内」まで適用期限が伸びるんです。

     

     

     

    で、今回の依頼者のケースでは?

     

     

     ここまで確認したところで、ようやく本題です。

     

     今回の相談者のケースはというと、相談があったのが平成30年の某月です。

     

     相続開始年月日は、なんと平成28年の某月。。。

     

     

     
     しかも、相談があった時点でまだ遺産の分割すら決まっていません!

     

     そして、相続財産にはやっぱりマイホームが含まれてます。。。

     

     ここで一瞬嫌なことが頭をよぎりました。。。

     

     

     

     
     「例のアレ?」

     

     

     そうです。

     

     

     「申告期限後3年以内の分割見込書」のことです。

     

     

     

     小規模宅地特例について定めた措置法第69条の4の第6項に、次のようにその手続きが規定されています。

     

     

    措置法第69条の4

     

    6 第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする者の当該相続又は遺贈に係る相続税法第27条又は第29条の規定による申告書第1項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

     

     

     第1項の規定がまさに小規模宅地特例のことですが、その規定の適用を受けたければ「申告書の記載」と「書類の添付」が必要ですよって書かれています!

     

     

     ここまでは頭にありました。

     

     

     で、直感的にこんな風に考えました。。。

     

     

     

     

     上の「申告書の記載書類の添付が必要」というのが、なんとなく「期限内申告期限内申告書への分割見込書の添付が必要」という変な理解をして頭に残っていたようです。

     

     

     「未分割なら未分割としてでもとにかく期限内の申告がいるんだ。そして、その時には分割見込書を添付しておかないといけないんだ」と。。

     

     

     そうなんです。

     

     

     これは、大いなる誤解です。

     

     

     

     思い切り誤った解釈です。

     

     

     実は、あえて伏せておいたのですが上の措置法第69条の4の第6項の「申告書」には、大事な大事なカッコ書きが隠されているんです。

     

     

     いや、隠れてない、僕が忘れていただけです(笑)

     

     

    申告書(これらの申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。)

     

     

     いや~、参りました!

     

     

     そう、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付すべき申告書というのは、期限内申告書に限らないんです!

     

     

     そもそも、小規模宅地特例の適用要件に期限内申告とは定められていません

     

     

     期限後の申告となる場合、添付が必要な「申告期限後3年以内の分割見込書」は期限後申告書に添付すれば足りるんです

     

     

     これだけは期限内に提出しておかなければいけない、というようなものではないんです。

     

     

     しっかり条文を確認すれば分かることですね。。

     

     

     結果的には、この依頼者についても無申告のまま申告期限を過ぎていましたが、期限後申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出することができました。

     

     

     近々分割が確定して、改めて小規模宅地特例を適用して更正の請求をすることになりそうです。

     

     

     今回きちんと調べたことで、ようやく頭が整理できました。

     

     

     

    「小規模宅地特例の適用については、期限内申告は必要条件ではない。」

     

     

    「要件とされているのは、期限内に分割がされているということ。」

    →ただし、これには例外規定があり、申告期限後3年以内に分割される場合はOK

    →弁護士やら裁判所を巻き込んで分割に長時間を要するときはさらに延長される場合あり

     

     

    「分割見込書は、期限後申告も含む申告書に添付していればよい」

     

     

     いや~すっきりしました。

     

     

     調べもせずに「特例適用できませんわー」って適当なこと言って申告していたら飛んでもないことになるところでした。。。

     

     

     世の中、こんな大事故も明らかになってないだけで結構起きてるんでしょうね。

     

     

     それとも僕があまり実務で未分割案件を扱ってこなかったからなんでしょうかね。。。笑

     

     

     あっ、全然触れませんでしたが、配偶者の税額軽減の場合も同じような話ですので。

     

     申告期限をすぎて相談が来て期限後申告をすることとなっても焦らず対応しましょうね!

     

     

     

     

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    投稿 期限後申告と小規模宅地特例および配偶者の税額軽減の関係は、実は・・・税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    確定申告の作成時には《雑損控除》の適用の検討を忘れるな! https://hisohisofudosan.com/blog/1535 Thu, 29 Nov 2018 03:31:41 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1535 平成30年は、本当に日本全国災害が多かったですね。災害により住宅や家財に大きな損害を受けた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。「平成30年7月豪雨に大阪府北部地震、台風21号など大災害が続いていますが、被災事業 ...続きを読む

    投稿 確定申告の作成時には《雑損控除》の適用の検討を忘れるな!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    平成30年は、本当に日本全国災害が多かったですね。災害により住宅や家財に大きな損害を受けた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。平成30年7月豪雨に大阪府北部地震、台風21号など大災害が続いていますが、被災事業者の方は税法等の特例についてご注意ください!でも一部取り上げましたが、被災者の方に対しては、様々な税金の優遇規定が用意されています。もちろん、それによってすべてが救われるわけではありませんが、せめて有効に活用したいものです。そんな規定の中でも今回は、平成30年度の確定申告で最も多くの質問が寄せられそうな「雑損控除」をテーマにお話したいと思います。

     

     

     

    雑損控除が受けられるケースとは

     

     所得税法に「雑損控除」という所得控除が規定されていまして、災害盗難横領による損失が生じた場合に、確定申告において一定の金額をその者の総所得金額等から控除することができるという内容になっています。

     

     大災害により特に甚大な被害を受けた場合には、災害減免法による税金の軽減免除を受けられることがありますので、その場合は、所得税法に定める雑損控除を受けることとどちらか有利な方法を納税者が選択することができます。

     

     この2つの規定の違いが国税庁HPの「災害により被害を受けられた方へ(平成30年6月)」によくまとまっていたので引用しておきます。

     

     

     ポイントは、次の2つです。

     

    • 災害減免法は「災害」による損失に限られるのに対して、雑損控除の方は「災害」のほか「盗難」「横領」による損失も対象となる
    • 災害減免法は、損害金額が住宅又は家財の1/2以上と甚大な被害を受けたケースが対象であるのに対して、雑損控除の方は、住宅、家財のほか車や墓石などもOKと生活に必要な資産に広く適用される

     

     今回は、僕の身の回りにもたくさんいますが、台風によって屋根が飛んで行ったとか、車が水没したといったレベルの被害者の方のために「雑損控除」に絞って手続きを詳しく見てみようと思います。

     

     というのも、税理士である僕もかれこれ10年以上確定申告の実務に携わっていますが、雑損控除の確定申告をお手伝いしたのはたった1件だけです。

     

     しかも盗難のケースだったので、「災害」による損失について雑損控除を受ける申告はしたことがありません・・実際には、該当事由は至る所で発生しているけれども、それが確定申告において雑損控除という制度によって幾らかでも救われるということを誰も知らないので相談にすらならないと言ったところでしょう。

     

     

     

    雑損控除って実際どうすりゃいいの・・?

     

     改めて雑損控除の規定を見返したりしていたんですが、これをどうやって分かりやすくまとめようかなと考えていたところ、そういえばうちの実家も平成30年台風21号の被害に遭っていたなということを思い出しまして、うちの親の雑損控除の確定申告をやってみて皆さんの参考としていただこうということにしました(笑)

     

     

     実際、暴風雨によって、屋根の一部がめくれ上がってしまい危険な状態でした。

     

     

     業者の見積もりによると復旧するのに547,800円かかるとのこと。(実際の見積書参照)

     

     

     

     

     現実には、全額保険がおりるようなのですが、ここでは、保険はないものとして雑損控除を適用するならどんな手続きが必要かを見てみたいと思います。

     

     

     まずは、雑損控除の対象となる損害金額についてですが、次の算式により計算されます。

     

     


    雑損控除の対象とされる損失の金額

    =(資産についての損失の金額災害関連支出)−保険金等により補填される金額


     

     

     この損失額を計算して具体的には、「雑損失の金額の計算書」を所得税の確定申告書(ないしは、修正申告書又は更正請求書)と一緒に提出することとなります。

     

     

     

     また、住宅、家財等の個々の損失額を計算することが困難な場合には、(というかほとんどのケースがそうだと思うんですが(笑))「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」を作成し、ここで一定の算定方式により損失額を計算することとなります。

     

     

     

     

     

    り災(被災)証明書を申請してうまく活用しよう

     

     先にご紹介した国税庁のリーフレット「災害により被害を受けられた方へ」によると雑損控除を受けるのであれば、り災証明書あるいは被災証明書の写しを用意するように書いていますが、国税局の方に尋ねるとそれがないと適用できないというものではないようです。

     

     ただし、後で説明する被害割合が「全壊・流出・埋没・倒壊(倒壊に準ずるものを含む)」なのか「半壊」なのか「一部破損」なのか、それとも一部破損にすら該当しないのかを判定する際に、このり災証明書での認定を参考にするといいと思うので、雑損控除を受けたい方はぜひ役所でり災(被災)証明書の発行を申請しておいてください。

     

    ちなみに大阪市HPによると、

     

    《被害の程度は「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」に分類されます。(調査の結果「被害なし」となる場合があります。)》

     

    とのことです。

     

     実際、大阪市の担当部署の方に電話で聞いてみたんですが、この度の台風21号の被害については、瓦1枚の破損でも「一部損壊」と認定していることが多いですので是非認定を受けてくださいとのことでした。

     

     確定申告を作成するにあたって、本当に自分の被った被害が雑損控除の適用を受けるに足るものかどうか判断に悩むことがあるかと思いますが、り災証明書において「一部損壊」とされたケースにおいては、雑損控除の計算上その被害区分を「一部破損」としていいのではないかと考えます。

     

     

     私見ですが。

     

     

    ~り災証明書の取得に必要なモノ~ (大阪市HP参照)

     

    ・被害の状況がわかる写真

     

    • 建物全景(原則として外周4面)のわかるもの
    • 表札等所在地などの情報がわかるもの
    • それぞれの損傷部位の分かるもの

     

    ・本人確認ができる書類(運転免許証、健康保険証など)

     

    ・住宅の図面の写し(あれば)

     

     

     

     これらを役所に持参のうえ、役所に備え付けの申請書にて申請をすれば、2-3週間で認定がおりるとのことです。

     

     確定申告シーズン前は、納税者の方も役所も何かとバタバタするでしょうから、余裕をもって申請されることをお薦めします。

     

     

     

    雑損控除の申告書を作る〜実践編〜

     

     そして、いよいよ「雑損失の金額の計算書」の作成ですが、まずは雑損控除の対象とされる損失の金額がどのようなものかを理解しておく必要があります。

     

     再掲となりますが、

     

     


    雑損控除の対象とされる損失の金額

    =(資産についての損失の金額災害関連支出)−保険金等により補填される金額


     

     

     この「災害関連支出」をまずは計算する必要があります。

     

     

     その支出の定義の説明が必要ですが、所得税法施行令第206条において次のように規定されています。

     

     

    所得税法施行令第206条

     

      雑損控除の対象となる雑損失の範囲等

     

    法第72条第1項(雑損控除)に規定する政令で定めるやむを得ない支出(=災害関連支出※筆者注)は、次に掲げる支出とする。

     

    一 災害により法第72条第1項に規定する資産(以下この項において「住宅家財等」という。)が滅失し、損壊し又はその価値が減少したことによる当該住宅家財等の取壊し又は除去のための支出その他の付随する支出

    二 災害により住宅家財等が損壊し又はその価値が減少した場合その他災害により当該住宅家財等を使用することが困難となつた場合において、その災害のやんだ日の翌日から1年を経過した日(大規模な災害の場合その他やむを得ない事情がある場合には、3年を経過した日)の前日までにした次に掲げる支出その他これらに類する支出

     イ 災害により生じた土砂その他の障害物を除去するための支出

     ロ 当該住宅家財等の原状回復のための支出(当該災害により生じた当該住宅家財等の第3項に規定する損失の金額に相当する部分の支出を除く。第4号において同じ。)

    ハ 当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出

    三 災害により住宅家財等につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、当該住宅家財等に係る被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出

    四 盗難又は横領による損失が生じた住宅家財等の原状回復のための支出その他これに類する支出

     

     

     どのようなものが「災害関連支出」に該当するかどうかは、これを読めばイメージできると思います。

     

     

     少しややこしいのが、災害等により損壊した資産について支出する金額のうち資本的支出とみなされる部分(使用可能期間を延長させる部分、価額を増加させる部分)については、「災害関連支出」に含まれる原状回復のための支出額に該当しないため、支出金額を資本的支出部分と原状回復部分に区分する必要があるということ、そして、資産についての損失の金額と災害関連支出の関係です。

     

     これについては、言葉で説明してもなかなか理解できないと思うので、次の図をみて理解してください。

     

     

     

     

     

     対象となる損失の金額のイメージが湧きますか?

     

     

     大事なポイントは次の点です。

     

     

     

     原状回復費用から資産の損失額を控除した残りが災害関連支出となる

     

     

     正直、ここさえ理解できれば雑損控除はマスターしたようなものです(笑)

     

     国税の方も、実際この部分の計算間違いが多いということを仰ってました。

     

     「原状回復部分資本的支出部分とに分けることができないよ!」という声もあるかと思いますが、これについては所得税基本通達において次のような特例が定められています。

     

     

    所得税基本通達

    37-14  資本的支出と修繕費の区分の特例(抄)

     

    一の修理、改良等のために要した金額のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合において、継続してその金額の30%相当額とその修理、改良等をした固定資産の前年12月31日における取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を修繕費の額とし、残余の額を資本的支出の額としてその業務に係る所得の金額を計算し、それに基づいて確定申告を行っているときは、これを認めるものとする。

     

     

     

     例えば、今回のうちの実家のケースでは、どうでしょうか。

     

     

     改めて、上の工事の見積書をみてください。

     

     

     ① のフラットルーフ笠木取替工事は、めくれたものを戻しているだけですから完全な原状回復工事と言えそうですね。

     

     ② の雨漏り養生については、ちょっと判断に悩みますね。

     

     

     上の災害関連支出の規定のなかの「当該住宅家財等の損壊又はその価値の減少を防止するための支出」として全額災害関連支出でもよさそうな気がしますが、ここはあえて区分が困難なものとしましょう(笑)

     

     

     そうするとこの特例を適用して計算することとなります。

     

     

     原状回復のための支出と資本的支出の区分が困難な33,000円(※)については、その30%である9,900円(33,000円×30%)を原状回復のための支出とできるということですね。

     

     

    (※)諸経費49,800円については、①(330,000+120,000+18,000)=468,000と②30,000の比で按分している。結果①は514,800円、②は33,000円となる。

     

     

     
     このケースでは、514,800+33,000×30%=524,700円が原状回復のための支出額となります。

     

     次に考えないといけないのがそもそもの損害額です。。

     

     

     どうやって損害額を測ります??

     

     

     ほとんどの場合個々に損失額を計算することは不可能かと思います。

     

     そんなときに使うのが「被災した住宅、家財等の損失額の計算書」です。

     

     

     

     

     

     
     これに倣って計算すればむちゃくちゃ簡単に損失額が計算できてしまいます。

     

     今回のケースで計算してみましょう。

     

     

     住宅の取得は平成15年1月、床面積は仮で200㎡とさせてください。

     

     当時の取得価額が分かればいいですが、分からなくても大丈夫!

     

     「表1:平成30年分地域別・構造別工事費用表」を参考に、大阪の鉄骨造で㎡あたりの工事費用が219,000円となります。

     

     

     

     

     

     

     これに床面積を掛けて、219,000円/㎡×200㎡=43,800,000円を住宅の取得価額とすることができます。

     

     そして、ここから減価償却相当額を差し引いて被災直前の時価相当額を計算します。

     

     償却費の計算についても、ほぼ自動でできます。

     

    「表4:耐用年数表」にて、金属造(骨格材の肉厚3㎜超4㎜以下)であれば償却率は0.025とされていますので、43,800,000円×0.9×0.025×16年(経過年数)=15,768,000円が償却費と計算できます。

     

     

     

     

     差引28,032,000円(43,800,000円-15,768,000円)が被災直前の時価相当額です。

     

     そして、肝心の損害額ですが、ここで最初に話した被害区分の判定が必要になるんですね。

     

     「表3:被害割合表」をみてください。

     

     

     

     

     全壊半壊一部破損の区分はなんとなくわかりそうですが、特に判断しにくいのが、一部破損に該当するのか、そもそも一部破損にすら該当しないのかということじゃないでしょうか(笑)

     

     実際、僕もそこの判断は自信がないです(笑)

     

     なので、役所にり災証明書を申請してそこで「一部損壊」と認定を受けておくことで、ここで堂々と「一部破損」として雑損控除の適用を受けられますね!

     

     今回一番言いたかったのはココです!

     

     ちなみにこのケースでは、28,032,000円×5%=1,401,600円が損害額となります。

     

     簡便的に導き出された損害額ですが、まぁ遠からずといった印象はあります。

     

     あとは、この損害額を「雑損失の金額の計算書」に転記すればほぼ完成です。

     

     

     

     

     

     

     

     

     

     所得金額を1,000万円とすると、1,401,600円-10,000,000円×10%=401,600円が雑損控除額となります。

     

     

     いかがでしょうか?

     

     

     結構簡単に作成できましたね。

     

     これに税率を掛けた分が節税になるわけですが、正直損害の割に大した優遇ではないなというのが実感です。。

     

     

     ただし、全壊、半壊と判定できるような大きな被害を受けられた方には大きな助けとなるでしょうからぜひ面倒がらずに確定申告の際に雑損控除を適用してください。

     

     

     ここだけの話、普段確定申告が必要のない給与所得者の方の場合、雑損控除を受けたいという相談を近所の税理士さんにしても相手にしてもらえない可能性があります。

     

     

     よくわからん、あるいは、どうせ金にならん的な感じで・・・

     

     逆にいうと納税者の方にとっても税理士に報酬を払って申告してもらうほどのものではないので、ぜひ調べながら、税務署で聞きながら申告してほしいものです。

     

     

     

     

     

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    絶対知っておきたい《取得日》と《事業供用日》の使い分けについてまとめてみた! https://hisohisofudosan.com/blog/1469 Sun, 21 Oct 2018 05:58:53 +0000 https://hisohisofudosan.com/?p=1469 法人でも個人事業主でも減価償却費を計算するときには、その資産の「取得日」と「事業供用日」を確認する必要があります。実務では、この2つを同日として扱ってほぼ問題がないのですが、それでも厳密に判定しないとイタイ目にあうことが ...続きを読む

    投稿 絶対知っておきたい《取得日》と《事業供用日》の使い分けについてまとめてみた!税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。

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    法人でも個人事業主でも減価償却費を計算するときには、その資産の「取得日」と「事業供用日」を確認する必要があります。実務では、この2つを同日として扱ってほぼ問題がないのですが、それでも厳密に判定しないとイタイ目にあうことがあります。改めてこんなベタな論点をまとめておこうと思ったのは、グリーン投資減税の適用に関してド派手にやってしまった裁決事例をみたからです。

     

     

    解釈の誤りから特別償却が認められないケースも・・

     

     

     まずは、請求人がド派手にやってしまった平成30年3月27日の裁決についてご紹介したいと思います。

     

     

     

     概要は、

     

     

    • 請求人が平成26年3月27日に取得した太陽光発電設備について、平成26年3月期において普通償却費+特別償却費を損金算入して申告した
    • 税務調査により、平成26年3月期においては事業の用に供されていないとの指摘があり、上記償却額について償却超過額として所得金額を加算して修正申告した
    • 上記修正申告に合わせて、平成27年3月期には事業の用に供されたとして上記償却額を損金に算入すべきであるとし、その分欠損金が増えるものとして平成27年3月期、平成28年3月期の法人税について更正の請求を行った
    • これに対し、税務署は更正すべき理由がない旨を通知し更正の請求を認めなかった

     

     というものです。

     

     これは一体どういうことなんでしょうか。

     

     結果は恐ろしいものです!

     

     平成26年3月期に損金経理した普通償却額については、当該事業年度に否認されただけでなく、翌期にその認容も認められませんでした。

     

     これは、なぜなんでしょうか?

     

     減価償却における損金経理額には、前期以前の償却超過額が含まれるため、通常は27年3月期に償却不足額があれば、その範囲内で26年3月期の償却超過額が損金算入されるはずです。

     

     しかし、それが認められなかったのです。

     

     その答えを探るためのkeyが「事業供用日」です。

     

     この裁決において償却超過額の損金算入(認容)が認められなかったロジックを図にすると次のようになります。

     

     

     分かりますか?

     

     平成26年3月期末において事業の用に供されていない太陽光発電設備は、この時点では減価償却費を計上することができる減価償却資産に該当しないわけです。

     

     そうすると、この平成26年3月期に計上された償却費は、減価償却資産に該当しない資産について計上されたものであり、修正申告において損金不算入額として平成26年3月期の所得金額に加算すべきものではあるが、あくまでもそれは平成26年3月期における法人税法上の減価償却資産に係る償却超過額には該当しないというわけですね。

     

     そして、もう1点、特別償却のほうはどうでしょうか?

     

     太陽光発電設備の取得ですから、ある程度この早期償却(特別償却)を利用した節税が目的にあったのではないかと推測できます。

     

     しかし、この特別償却費については、もっと悲惨な結果となっています。

     

     そもそもグリーン投資減税制度とは、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの期間内に取得等して、その日から1年以内に事業の用に供した場合事業の用に供した日を含む事業年度において特別償却ができるというものでした。

     

     繰り返しになりますが、事業の用に供した日の属する事業年度に限って適用できるものだったんです!

     

     この事案の場合の事業の用に供した日の属する事業年度はいつでしたか?

     

     そう、平成26年3月期ではなく、「平成27年3月期」です!

     

     では、この平成27年3月期に特別償却費の損金経理はありましたか?

     

     「ない、、、ないんですよ。」       

     

     当然、平成26年3月期に誤って計上した特別償却額については、上の普通償却額と同じロジックにより償却超過額として翌期以降償却不足額の範囲内で損金算入されるものではありません

     

     いや~、これは悲惨ですよ、本当笑。当事者は、全く笑えませんが。。

     

     そもそもこの裁決の請求人が本当に太陽光発電事業をやりたくて始めたのならまだしも、節税ありきで設備の購入をしていたとしたら目も当てられませんよね。多分そうなんですが笑。

     

     それでも実際は、冷静に考えればそんなに難しい話ではないんですよ。

     

     顧問税理士は一体何をしていたんでしょうね(笑)

     

     税務調査で否認されるのもマヌケな話ですが、平成27年3月期以降に償却超過額の認容が認められるはずとして更正の請求までしてるんですよね、そして、それが認められないと国税不服審判所へ持ち込んでこの争いまで起こしたわけです。

     

     どんな勝算があったのか僕には皆目見当がつきません。

     

     制度を使うために対象資産を取得すべき期間とその資産を事業の用に供すべき期間をごっちゃにしたのでしょうか。

     

     はたまた、単に「事業の用に供する」ということが、どのような状況をいうのかということに関する認識が甘かったのでしょうか。

     

     いずれにしても、ちょっときついですね、これは。

     

     

     

    事業供用日とはいつのことをいうのか

     

     

     上の裁決事例をみると、事業の用に供した日の認識の重要性が分かりますよね。

     

     しかし、実は、これについて条文ではっきりと答えは示されていないんです。。

     

     判定の指針となるのは、国税庁のタックスアンサーの次のものです。

     

    「事業の用に供した時期とは」

     

     

     Q3 減価償却資産を事業の用に供した時期はどのように判定しますか?

     

     A3 減価償却資産を事業の用に供したか否かは、業種・業態、その資産の構成及び使用の状況を総合的に勘案して判断することとなります。

     

    事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産の持つ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいますので、例えば、機械等を購入した場合は、期間を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。

     

     なお、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、現実に入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられます。

     

     

     
     実務においては、その判定に結構頭を悩ませることがあります。

     

     ですので、このタックスアンサーはもちろん、裁判所や審判所の判断、業界の通説、大先生の見解などできる限り頭に入れておきたいものです。

     

     ここでは、あまり色々ご紹介できませんが、2018年5月21日号の税務通信で紹介されていた事例をご紹介しておきます。

     

     

    「すぐに本格生産に入らず、まずは試作品を作るというケースにおける[事業供用日]の判定」

     

     

    →機械を導入する目的が、顧客からの使用に沿った製品を生産することにあり、試作品を生産して、顧客から了解を得た上でなければ本格生産に入れないというような場合には、最初の試作品を生産した日が[事業供用日]に該当する

     

    →試作品の生産であっても、それが機械装置の検収や調整を目的としたものであるような場合本格生産を開始した日が[事業供用日]に該当する

     

     

     いかがでしょうか。なんとなくイメージを持ってもらえれば嬉しいです。

     

     説明されれば納得はできますが、いざ個別に特殊な事案に当たった場合はなかなか難しい判定をしなくてはなりませんね。。

     

     

     

    事業供用日をしっかり認識すべきケースとは

     

     

     そんな判断の難しい「事業の用に供した日」ですが、基本的には、固定資産の引渡を受けた「取得の日」とイコールになることが多いです。

     

     

     
     注意しなければならないのが、図のように「取得の日」と「事業の用に供した日」がずれる場合であり、さらにその間に事業年度末を迎えるようなケースは細心の注意が必要です。

     

     

    (先の裁決事例がまさにそれです!)

     

     

     
     

     特に特別償却等の特例税制の適用において、この「事業の用に供した日」が重要になることが多く、「取得の日」がいつであるべきか「事業の用に供した日」がいつであるべきかをそれぞれ認識が必要となります。

     

     上の裁決例では、平成27年3月期に事業の用に供していますので、この事業年度で特別償却額を損金経理していれば当然に認められていたんですが、それができていなかったために大事故につながったんですね。

     

     

     例えば、平成29年3月31日で終了した生産性向上設備投資促進税制では、平成29年3月31日までに取得だけでなく事業供用していることが要件とされていました。

     

     このような場合に、安易に「取得日=事業供用日」と考えて特例の適用を受けていると、税務調査を受けた際に、「平成29年3月末までに事業供用されていないんじゃないの?」なんて指摘を受けたら最悪です。

     

     

     

     また、事業供用日が重要になるのは、何も租税特別措置法の特例税制を使う場合に限られません。

     

     取得価額が10万円未満の資産を、少額の減価償却資産としてその取得価額の全額を損金算入できるのは、事業の用に供した事業年度においてその取得価額の全額を損金経理している場合に限られています。

     

     いったん資産に計上したものをその後の事業年度で一時に損金経理をしても損金の額に算入することはできません

     

     一括償却資産の損金算入の規定についても同様のことが言えます。

     

     その期中に取得をしただけで、事業の用に供していない資産については、上記の規定は使えないんですね。

     

     この辺も結構ノーマークで適用してたりするんじゃないでしょうか。

     

     

     

    相続があった場合の取得日と事業供用日とは

     

     

     最後に、ちょっと目先を変えて、「取得の日」に関して誤解しがちな論点を一つご紹介しておきたいと思います。

     

     シチュエーションとしては、相続により減価償却資産を取得したような場面の話です。

     

     相続案件に慣れた税理士だと次の規定は割と頭に入っています。

     

     

    贈与相続(限定承認に係るものを除く。) 又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)、低額譲渡により取得した減価償却資産の取得価額は、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなした場合における当該減価償却資産の取得価額に相当する金額とする。

     

     
     また、当該減価償却資産を取得した者が引き続き所有していたものとみなされるということは、その取得価額そのもののみならず、取得時期未償却残高もそのまま引き継ぐものと解されます。

     

     例えば、譲渡所得の計算においては、その取得時期は本来の(被相続人の)取得時期を引き継ぎます

     

     しかし、事業所得等において、相続した減価償却資産の減価償却の計算においては注意が必要です。

     

     ここで見逃しがちで重要な通達が次のものです。

     

     

    所得税基本通達
    49-1(取得の意義)

     

     令第120条第1項及び令第120条の2第1項に規定する取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれることに留意する。

     

     

     減価償却費に関する度重なる税制改正のせいで、減価償却資産の取得日により法定償却方法が変わったり償却費の計算方法が異なったりします。

     

     この通達は、その減価償却方法の選定時に用いる「取得」とは、相続や遺贈・贈与による取得ついても含まれるんだよってことを言ってるんですね。

     

     具体的には、国税庁のHPにおいて紹介されている「平成19年4月1日以降に相続により減価償却資産を取得した場合」という質疑応答事例をみればよく理解できると思います。

     

     

     

     

     平成19年3月31日以前に取得した一定の減価償却資産で、平成28年度までにその償却累計額が償却可能限度額に達したため、相続がなかったとすると平成29年分以後の所得税の計算において1円まで5年均等償却が行われるところ、平成29年度中において相続が発生した場合には、その相続人はこの均等償却を引き継ぐのではなく、定額法(事例は建物のケース)により計算すべきであるという事例です。

     

     このケースでは、「償却方法」まで引き継いでしまっていたとしたら、正しく計算した場合と比べて259,000円も償却費が少なくなります。

     

     

     この金額は償却月数の違いは考慮していませんが、相続人が被相続人の償却方法まで引き継いだ場合とそうでない場合で大きく償却額に差がでるのは容易に理解できますよね。

     

     また事例では触れられていないですが、この年度以降の償却のペースも全く違ったものとなります

     

     勘違いや無知のために早期償却できるチャンスを無駄にしないようにしたいものです。

     

     取得日と事業供用日の重要性がよーく分かってもらえたかと思います。

     

     

     ちょっと怪しい時にはしっかり専門家と相談すべきですね。

     

     

     

     

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