投稿 不動産を売る前に読んでほしい!『ここが変だよ、大手不動産会社』 は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
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あのような不動産会社は氷山の一角なのか、それともごく一部の業者だけに見られることなのか、その実態について調査したいなと思っていたところに、大手不動産会社に10年ほど勤めて、その後独立して不動産会社を経営する社長さんから、大手の不動産会社の実態をうかがえる機会をいただきましたので、お話を伺ってきました。
業界のトップリーダーである大手がどんなものか皆さんにも知っていただきたいと思います。
センシティブな内容を含むため、インタビューには匿名を条件に応じていただいています。
お話は、あらかじめ伺った次の「ここが変だよ!5つのポイント」を中心にお聞きしていきたいと思います。
Q いわゆる大手と呼ばれる不動産会社の実態に関して、事前に伺った話の中で「形だけの顧客第一主義 実質は売上至上主義」というコトバが非常に印象的だったのですが、挙げていただいた問題点について、事例もいただきながら一つずつ詳しく事情をお聞かせいただけますでしょうか。
まず1点目ですが「毎月(会社によっては毎週)締めがあり、月末の営業マンは数字に追われる」とのことですが、これはこれだけ聞くと何も大手に限らず中小の不動産屋でも割と普通のことかなと思ってしまいますが、やはり大手と中小とでは違いがあるのでしょうか?
A やっぱり会社によるところが大きいんですけど、大手はどうしても予算や目標となる数字がとても高くて、「必達、必達」できますんで、どうしても売上至上主義に走りやすいんです。
会社のなかでは「どの物件売るんや!」 「どの客詰めてくるんや!」 「今月どないすんねや!」等々、言いだせばキリのない怒号が飛び交います。
目標が高いので、達成は容易ではありません。
そのせいでしょうね、お客様のことはお金にしか見えず、常に「この客はお金になるのか」を考えてしまいます。。。
Q 中小の不動産業者では、大手を経験した社長がそのような体制に嫌気がさして別のやり方をとるので、そのようなことにはならないということでしょうか?
A そうですね、そういうパターンももちろんありますし、大手から独立すると仲介から買取とかにシフトするケースも多いため、そうなるとケツを叩いてどうこうというのとは少し違ってくるパターンもありますね。
仲介っていうのはやっぱり営業マンを叩きやすいですから。
Q 社内で怒号が飛び交うというのは、いささか時代錯誤の感がありますが、今もそんな雰囲気なんですか?
A 今でもそうですね。日常的にそういうことはありますね。
計画を立てて、実行して、検証してっていうPDCAを回すやり方自体は問題ないんでしょうけど、その検証がおざなりで、ひたすら恐怖政治によって「Do」を強要されるようなところがあり、そこは大きな問題だと思いますね。
Q 先日のスルガ銀行やスマートデイズとその販売会社のやり方なんかは、同じ業界の人間としてどのように感じられましたか?
A そうですね、やっぱり他でもそういうところがあるよなという感じを受けました。
販売会社内では、ノルマ達成のために怒号が飛び交っていたと言いますし、実際は言葉だけでなくモノが飛んでくるとか、胸ぐら掴まれるくらいのことはやっぱりありますからね。
Q あの事件では、販売会社の営業マンが買主のサラリーマンの預金口座を改ざんして銀行に提出したりということも明るみに出ましたが、やはりノルマを達成するためにこのような不正を行ってでもという気持ちになってしまうのでしょうか?
A それは、融資がつかないと買ってもらえないですからね。
そういうような進め方をするようなケースがある、というかそういうことをやってしまう営業マンもいるでしょうね。
Q 2番目に挙げていただいた「『この売主はいける』と踏めば即不動産業者買取にもっていく」という問題ですが、もう少し素人の方にも分かりやすくご説明いただけますでしょうか。
A 普通はお預かりした物件については、広告なりインターネットに出して買主を探すというやり方をします。当然そうすると普通の相場で売れます。
しかし、「不動産業者買取」にしますと、当然買主が不動産業者になりますので、その不動産業者も利益を乗せて(エンドに)販売するわけですから、BtoBの業者買取の値段は、相場よりも安くなるんですね。
不動産業者目線で「不動産業者買取」のメリットを言うと、何といってもすぐに仲介手数料になる(取引がスピーディーなため)ということですね。
資金繰りを計算しやすいことは大きなポイントです。
Q それが顧客の利益を無視して業者の都合で決められてしまうことが問題だということですね?
安易に利益の薄い不動産業者買取に流してしまうということは、売主である個人からすると全然あり難くないですもんね。
A まさにおっしゃる通りですね。たまにスピード重視で顧客にとっても不動産業者買取の方がいいという場合もあり得るわけですが、大抵の場合は、業者の締めまでに成約したいというような都合のために「不動産業者買取」が選択されているわけです。
Q これは、お客さんからすると「不動産業者買取」にまわされることというのは事前に説明を受けられるものなんでしょうか?
A もちろん、説明は受けられます。
ただ、仲介業者の方は「いかに不動産業者買取の方が適しているか」ということの常套句のようなものをいくつも持っていて、やはり言いくるめてしまうようなことが多いように思います。
「解約もないですよ」「この金額はなかなかつかないですよ」
というようなプロのコトバを聞くとやっぱり素人である顧客はそうなのかなと思ってしまいますよね。
Q 素人にはなかなか本当の相場の価格帯というのが見えてこないですもんね。
そういう意味で、自分の物件を安く不動産業者買取に流されてしまわないようにしようと思うとどのような対策がとれるんでしょうか?
A それはやはり、複数の仲介業者に話を持って行った方がいいと思います。
そうして相場感を養ったうえで判断したほうがいいですね。
Q 複数の仲介業者に話を持っていっているというと、いやな顔をされたりしないかなということも気になりますがそんなことはないですか?
A ないことはないかもしれませんが、何も知らないですよという感じで行くよりは、ある程度相場も含めて知識があるよという感じで話をした方が、そうした被害にあうケースは少なくなるように思います。
Q そして3つ目ですが「両直を狙う」という話ですが、これは仲介(媒介)の手数料を売り手と買い手の両方からとるという意味ですよね?
A おっしゃる通りですね。
売主さんからこの物件を売ってほしいと依頼を受けて、売れれば当然手数料をもらいますね。
そして、自分で客付け(注:不動産売買に応じる顧客をみつけること)すると、買主さんからも手数料をもらうことができます。
不動産仲介業者としては、一つの取引で売上が2倍になるわけですから当然この両直を狙ってはいくものなんですが、ただそれを自社の都合のみでレインズに出さない、他社に情報を出さずにいるということは売主にとっては本来得られた利益を逸するというデメリットになることがあります。
過去にも世間を賑わせたことがありますが、この情報を他社に紹介せずに売却物件を抱え込むことを「囲い込み」といいますが、こういうことは一時期よりは減ったように思いますが、それでもやはり手数料は倍ほしいのですね・・・色々な方法で、他社には案内をさせない努力をしているようです。
Q 先ほどの不動産業者買取というのも、やはり買主となる業者から手数料はもらうものなんですか?
A はい、もらいます。
ですので、これも両直なんですね。
さらに買主である業者は、そこに自社の利益をのせて再販売するわけですから、当初の売主さんがいかに買い叩かれるか分かりますよね。
また、その再販売時に「もう一度ウチを通して売らせてくれ」というような取引をしているようなケースが一般的です。
そうなると、この仲介業者は、一つの取引でもう一度手数料を受け取ることができるんですね。
Q それは強力ですね。
その何度も乗せられた手数料分は、エンドの消費者にとっては原価増で買値に跳ね返ってくるわけですよね。
A もちろん、そういうこともありますが、やはりエンドの価格というのは相場がありますから、どちらかというとエンドでなく、最初の売主にしわ寄せがいくわけです。
Q 最初にその分安く買い叩かれているということですね?
A そうですね。
Q この囲い込みということに関しては、大手不動産会社では、「しっかり囲い込んでいけ」というようなことが上司やトップなりから圧力がかかるわけですか?
A 一時雑誌に取り上げられたりもして世間的に問題になったので、最近ではさすがに言葉にはださずに、暗に行われているようです。
Q なくなってはなくて、暗に見えない形で行われているということですね?
A そうですね。
入ってもない商談が入ってるように見せかけるとかいう露骨なことはやりにくくなっているんですが、相変わらず他社さんが案内したいと言っても、忙しいので無理ですとか、鍵がないので無理ですみたいなことは今もやってるみたいです。
どうしても自分で両直をとりにいく傾向はなくならないですね。
Q どうしても両直でまとまらないケースはどうするんですか?しばらくするとさすがにあきらめてレインズに載せたりするんでしょうか?
A そうですね。
これは本当に営業マンによる部分が大きいですが、ひどい営業マンは3か月(通常媒介契約の有効期間の上限が3か月)ずっと両直を狙って囲い込んだりする人間もいます。
その間、売主さんには「この物件なかなか売れませんね」「値段を下げましょうか」とか言いながら売主さんの利益をどんどん奪っていくわけです。
媒介(仲介)契約も有効期間があるとはいえ、更新はできますから、3か月でダメだったら、更新してやむを得ずレインズに載せるとかですね。。
ただ、この更新の際にも売主は囲い込まれているとは気づかず、営業マンにウマいこと言われて更新契約してしまうわけです。。
Q 一般人である売主さんは、自分で自分の物件がレインズに載っているかどうかは確認できないんでしょうか?
A 今まではできなかったです。
ただ、この1~2年の間に囲い込みがクローズアップされたこともあって、レインズでもお客さんが確認できるシステムができたのはできました。
でも、上手い営業マンなんかは、ハナから一般媒介契約の未登録といって、レインズに載せないやり方を勧めて契約をする人間もいるようです。
(注:上図にあるように、一般媒介の場合は、規制がないため登録しても未登録でもどちらでも構わない。)
未登録がいい場合ももちろんあるんですけどね。
お客さんにメリットがないのにそれをするケースも多いですね。
Q 続いて4つ目の問題点です。「めんどくさいことを嫌う」ということを挙げていただいていますが、なんとも情けない話で、個々人の資質による部分も大きいのかなと思いますが、大手の社員に多くみられる傾向だということでしょうか?
A 大手はやはり無駄な業務が非常に多いです。
何をするにも承認が要りますから。
例えばチラシの1枚作成するのにも稟議を上げ、書類を作らなければなりません。
これは、もちろん上の人間が自分の身を守るためにですが・・・
ミーティングなんかもとても多くて、営業マンは成果を出すために基本的に時間に追われているので、お客様の為になることでも時間がかかることは嫌がります。
ミーティングやいろんな書類作成についても、お客様のためにというよりは、会社を守るためにこれだけやってますよという体裁をとるための形式的なものですね。
Q これもこの問題のせいで顧客がどんな不利益を被る可能性があるのか、過去の実例なんかを挙げながら伺えますか?
A 総じてお客様のために丁寧な資料を時間をかけて作ったりとかいうことができなくなりますね。
時間がなくて当然フットワークも重たくなります。
立ち合いに行かないとかですね。
ほかにも、売主さんにきちんとした報告をしないとか、広告も1個1個丁寧に作らなかったりというようなことが起こります。
Q いま仰った「立ち合いに行かない」というのは、買い希望の方が内見されるときに立ち会わないということですか?
A 空き家とかなら鍵を渡して済ましたりすることがありますし、「分かれ」の取引であれば、本来は買い希望の方と買主の仲介業者が内見されるときには売主の仲介業者が立ち合いをするんですが、それをせずに買主の仲介業者から内見後に報告だけ受けるというようなことをするケースもあります。
めんどくさいし、「分かれ」の取引のためにそこまでしてられないというような気持が働くんでしょうね。
当然、それによってまた売主さんの利益が逸してしまう可能性があるんですが。。
Q そして、最後の問題点が「トラブルを嫌う」ということです。これは何となく想像がつきますね。具体的にはどんな話があるんでしょうか?
A 気の利いた広告をださない。
万が一独占禁止法や景品表示法に触れるのを嫌ってありきたりのチラシだけで間に合わせるというようなことや、お客様のために聞いてあげればいいことも、めんどくさいとか、間違えたことを言ってあとでトラブルになるのが嫌だから聞かなかったりですとか。
あとは補修責任や瑕疵担保責任なんかについても、お客様のためにというより、自分がトラブルに巻き込まれるのが嫌だから、免責にして販売しようとしたりとかですね。
免責がつくということは、売主さんとしてもメリットになる話ではあるんですが、本当は免責にしなかったらもっと高く、もっと早く売れたりということがあるわけですからね、本来は仲介業者主導でなく、売主さんの希望で決められるべきですよね。
測量なんかも基本的にはするのを嫌がります。
面積の増減や越境等によって、万が一にも契約解除になったりすることがあるからです。
とりあえず現状有姿でみたいなことになることが多いです。
Q これは売主さんが売り出す前に、自身の負担で確定測量をしておいてもらうということでしょうか?その方がかかるコスト以上に高く売れるようになるんでしょうか?
A そうですね。
一概にはいいにくいですが価値が変わってきますね。
価格として得をすることがなくても、売りやすくはなるので、スピーディーに売れるようにはなると思います。
でも何か問題が見つかるのを嫌がって仲介業者本位でそういうアドバイスをしない傾向にあると思います。
自分に火の粉が飛んできそうなケースでは「測量をやってください」、自分に火の粉が飛んでこないようなら、例え売主さんにメリットがあるようなケースでもアドバイスしないという感じですかね。
Q 税金のことも挙げていただいていましたが、やはり売買の当事者からその取引による税金のことも聞かれたりするんですね?
A それは非常によく聞かれます。
これをちゃんと調べて答えてあげる営業マンも非常に少ないですね。
ちょっと調べるなり、代わりに税務署に聞いてあげるなりすればいいんでしょうが、間違えたことを言って後々トラブルになるのを嫌ってなかなかそこまでしないですね。
Q 実際にトラブルを起こすと会社から何らかのペナルティを受けることもあるのでしょうか?
A ありますね。
店長クラスが降格になったり、転勤させられたりというのは茶飯事です。
これもトカゲのしっぽ切りみたいなものかなと思っていますが。
Q トカゲのしっぽ切りという話がありましたが、大手の不動産会社では、営業マンが自ら辞めていくようなことも多いんでしょうか?
なんとなく離職率が高そうなイメージはありますが。お客さん目線で仕事がしたいというピュアな営業マンは良心が痛んで辞めていくとか?むしろ、良心はすぐにマヒして図太くなってそんな環境でも長年勤務できるようになっていくんでしょうか?
A そういう良心ということでは、間違いなくマヒしていますね(笑)
みんながそういう感じが当たり前になっていて、「決めたった~」「下げたったー」みたいな会話が日常的に飛び交ってます。
まぁそうはいっても離職率という意味では、営業マンの離職率はやはり高いと思います。
ぼこぼこ辞めていきます。
店長クラスまで行くつく人は、結構続いている人も多いですが、かなりマヒが進んでるんですね(笑)
それなりに稼げる人間は、固定給プラス成績に連動したボーナスを受け取るので、結構同年代と比べても高給取りになりますね。
Q すごい興味があるんですが、大手の営業マンのなかでも稼ぐ人間というのは、そうはいってもお客様目線でやっているから稼げているのか、真逆で徹底的にお客さん目線を無視して会社のエゴを押せる人間が稼ぐのかどちらなんでしょうか?
A もちろん両方あると思います。
でも稼ごうと思うとやっぱり、結構ドライにならないと稼げないかなと思います。
清濁併せのむくらいの器量がないとですね。
Q 大手不動産会社の闇をリアルに感じることができました。
そこで、一つ浮かぶ疑問があるのですが、これらの問題点は中小・零細の不動産屋では起こらない問題なのでしょうか?
A 当然会社によるんですが、やっぱり大手の方が圧倒的に数字に追われているイメージはあります。四半期ごとの締めだとかで数字、数字というのは、中小よりも大手の方が厳しいでしょうね。
そういうことに端を発して色々お話しした問題につながってるのかなと思います。
Q また、中小・零細でも同じような会社があるとしたら一般客である我々はどのようにして、自分たちのことを親身に考えてくれる不動産屋を見つければいいのでしょうか?
A むちゃくちゃ難しい問題ですね。
やっぱり、大手だからいいんだよっていう先入観を捨てて、中小も含めて何社か尋ねて、何人かの営業マンと話をすることが大事だと思います。
Q 手数料はどこでも同じですよね?
A 同じです。業法で定められた上限をとる仲介業者がほとんどです。
ただ、ウチは上限から30%オフでしています。大手は下げないですから、中小の方が安く済むことがあるかもしれません。
Q 大手の方が売ってくれやすいということもないんですか?
A 私はないと思います。
両直にこだわらず、レインズに載せたら、全国の不動産屋つながるわけですから、大手と中小で差異はほとんどないと思います。
また、今日お話したようなことを売主さんも少しは知っておいてもらう方がいいですね。
少なくともレインズのことくらいは。
そういうことを分かったうえで、お付き合いする業者を自分の目でみて選ぶということが大事ですね。
ーなるほど、ですね。
ありがとうございました。
不動産を売る際には、大手の方が安心かなという先入観・固定観念を捨てて、複数の不動産仲介会社を訪ねて、相場感も頭にいれて交渉すべし!ってことですね。
肝に銘じておきましょう!
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]]>投稿 大家さん必見!『資産価値と利回りをアップするリーシングの秘訣』についてセミナーで話を聞いてきた! は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
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「リーシング」つまり所有する賃貸不動産を他人に貸し付けることで得られる収益を最大化するにはどうすればいいでしょう?
小学生でも分かりそうなこの問いですが、、
答えは、この3つにつきますね。
こんなことに関して大家さんをサポートしてくれる業務が、いわゆるプロパティマネジメント(PM)と言われるものですね。
今回話を伺ったのが、このプロパティマネジメントに強みを持つ大阪の不動産会社バイリンク株式会社の誠実対応がモットーの小泉社長のセミナーです。
大家さんにとっての生命線であるリーシングについて、その秘訣はたったの2つだということを仰ってそのセミナーがスタートしたのですが、1時間のセミナーを聴いたあとには、大家でもない僕も思わず「ふむふむ、そらそうだろうな。」とむちゃくちゃ納得させられたわけです。
そんなわけで、このブログの読者の大家さんにも是非ともお伝えしたいと思い、社長にセミナーで伺った話を当ブログ上で公開してもいいかと伺ったところ速攻でOKをいただいたのでここにその内容が日の目を見ることになった次第です。
不動産取引の世界には様々なプレーヤーが登場します。
不動産屋と一言で言っても、不動産の賃貸仲介メインの会社もあれば売買の仲介をメインに行う会社もあれば、管理をメインに行う会社もあるわけですが、およそほとんどの会社が賃貸の仲介業を行わないことはありませんね。
不動産業界の不思議なところは、不動産業社同士が、一つの取引に関する仲介(媒介)業務を奪い合うライバルになることもあれば、貸主サイドの仲介会社と借主サイドの仲介会社が協力して一つの取引をまとめる仲間になることもあるということです笑
大家さんにとって、「仲介業社との関係づくり」が大事ですよというのは、自身の所有する不動産のPM業務を委託しているのであれば、その受託会社がどれだけ良い(他社の)不動産仲介会社とのネットワークを持っているかが大事と言い換えることができますね。
大家さんが自身で管理する場合においては、直接仲介業社さんとの関係性を構築する必要があります。
小泉社長いわく、仲介業社が嫌がる大家・家主は次の3パターンだとのことです。
ご自身も長年仲介業務を行ってきたうえでおっしゃられることなので説得力があります。
これを逆に考えると、あるべき姿が見えてきますね!
そうです。
「よく知っていて」
「取引したことがあって」
「信用できる」
大家さん(管理会社)とは、取引がしたいわけですよね笑
そうすると、自ずと大家さんのとるべき行動もはっきりします。
仲介業社さんに頻繁に顔を出し、社長さんなり担当者さんなりと何度も何度も顔を合わすことが大事ですよね。
場合によっては、ランチしたり飲みに行ったりして交流を深めておくといいかもしれません。
小泉社長は、セミナーの中で
「名刺交換した仲介業社をリスト化しろ」
ということを強く仰っていました。
リスト化すると、会うべき人間がはっきりするし、この業者さんとは最近ご無沙汰してるなとかいうことが一目瞭然となるんですね。
なんかこれだけ聞くとオーソドックスすぎて目新しい手法でない気もするんですが、例えば一サラリーマン大家さんがここまでやるかというとなかなかできませんよね。
かといって、PMを依頼している管理会社が果たして、こんなこときっちりやってくれているでしょうか??
もし、委託されている大家さんは一度受託会社の担当の方にさり気なく聞いて見られるといいんじゃないでしょうか?
不動産の世界に限らず、こんな成果に直結する当たり前のことを淡々と日々繰り返すことのできる人間って実はほんの一握りですよ!
これは、いろんな業界の人と話をする立場の僕からするとはっきり言えることです。
そして顔見知りになったら、まずはなんらかの取引をし、こちらが信用できる人間あるいは会社であることを知らしめる必要があるということですね。
売り込みをしながら、当然こちらも相手が信用できるかどうかを見定めるわけです。
そうして、信用できる仲介業社をたくさん抱えていれば、本当に様々な生きた情報が入ってくるとのことです。
そら、そうですよね笑
そして、空きテナントを埋めたいときも相談すればすぐに借主の情報を集めてくれたり、後で触れますが、家賃の値上げ交渉なんかをしようとするときに、近隣の取引事例の情報を共有してくれたりと、何につけ協力体制が敷けるというわけです。
セミナーの中で小泉社長が、聞きに来られていた大家さんたちに質問されていました。
質問に対する反応として、挙手された方はまばら・・・・
僕はちょっと意外でしたが、大家さんは一々内見に立ち会わないことが多いんだなと妙に関心しました。
そういや、自分の会社の入ってるビルの大家さんも顔見たことないわ・・・笑
しかし、小泉社長は次の3つの理由から、必ず内見には立ち会ったほうがいいと言います。
この3点は全てものすごく腑に落ちました。
というか、これを聞いていて、こんな有効なことをなんできちんとしない大家さんがいるんや?!と腹がたったくらいです笑
1つ目に関しては、説明するまでもないことですが、特に借主からすると大家さんがどんな人かを知ること、もっと言うと変な人、恐い人じゃないよなってことを確認することは借りるに当たって重要なポイントですよね。
あとあとややこしい大家さんと揉めることになったら嫌ですもんね。
大家さんとしても、店子さんがどんな人か見ておくことに越したことはないのは言うまでもありませんよね。
2つ目の結論が早くなる、テンポが良くなるということを小泉社長は特に強調していたように思います。
やっぱり、業者任せにして、内見の様子をあとで電話やメールなりで聞いて、検討してまた業者にその結果を伝えてってしていると単純にその間時間がどんどん経過するわけで、その間に店子さんが逃げちゃう可能性だってあるわけですよ。
例えば、飲食店始めたいっていう店子さんが物件を探すとき、普通は複数の仲介業者に声をかけますよね。
内見の後に時間が掛かっていると、自分は審査で落とされるのかなとか不安を感じることもあるでしょうし、その物件を気に入っていたとしても、他の仲介業者から別のいい物件情報がでてきたら後出しだったとしてもそちらに目移りしたりすることもあり得るわけですね。
直接、聞きたいことをぶつけ合って、話をして人間性も多少なりとも確認できれば貸す・借りるの決断を双方スピーディーにできるというわけです。
そして、最後の3つ目ですが、内見に立ち会っていると生の情報が収集できるということです。
本来、これは業者が収集して報告してくれればいいのでしょうが、やはり自分が店子さんと話をして直接耳にする、あるいは、店子さんが内見時にどこで表情を曇らせたかとか、どこを気に入っていたかということを自身で感じることが重要だということでした。
内見の結果が芳しくなさそうだとした場合に、大家として次にとるべき行動は
この店子のニーズとはマッチしなかっただけだから、別の店子を探そう
なのか
家賃に不満がありそうだったから少し下げたほうがいいな
なのか
トイレが和式ってことにひっかっていたからいよいよ洋式トイレを入れようか
なのか
フリーレントをつけてもう一押しすれば借りてくれそうだな
なのか。。。
シャ乱Qの歌のワンフレーズに「女なら感じろ〜」というのがありましたが、「(現場で見て、聞いて)大家なら感じろ〜」ということですよ!笑
そして、内見時の対応方法についてもざっくばらんに面白い話をされていました。
要約すると次のような感じでしょうか。
所有する賃貸物件に競争力がどのくらいあるかによって対応時の態度を変化させる必要があるとのことです。
なんとなく、どんな場合にも笑顔で愛想よく、親切にして、賃料その他諸条件についても譲歩の余地も見せながら対応するのがいいのかななんて、僕は素人ながらに考えていましたがそうではないようですね。
こちらの物件に競争力がない、つまり不人気物件の場合には、より親切な対応を心がける必要があるとのことでした。
具体的には、案内前に空調を効かしておいて快適な温度で出迎えるといったことが重要みたいです。
そして、案内中もサービス精神をもって気配り、心配りが大事で、場合によっては、家賃の減額交渉にも応じますよといった態度で望むこと。
では、こちらの物件に競争力がある物件で同じようにするとどうなるのか、逆に店子さんがガツガツしたこちらの姿勢をみて不安になることがあるとのことです。
あくまで強気に、入って欲しいなと思う人を相手にする時でもそれをおくびにも出さず、余裕たっぷりの感じで、人気物件なんで条件交渉には応じられないよという態度で望むべきだと言います。
そうすることで、相手が勝手にいいブランドイメージを持ってくれて返って交渉がうまく行くとのことでした。
なるほどな〜。ふむふむ。
話は少しかわって、次のテーマは家賃の増額により不動産の資産価値と利回りをあげるお話でした。
一昔前、家賃の減額交渉というのは確かに流行りました。
僕のクライアントでも何社も減額交渉をしてコストダウンを実現しました。
ところが、小泉社長いわく物件のエリアや物件自体にもよるが、今は逆に増額交渉が可能だとのことでした。
大家さんにとって、こんなにありがたいことはないですよね。
賃料があがれば、目先の利回りが上がるだけではなく、いざ売却する際の資産価値も上がることになるわけです。
でも、僕も含めて大体の大家さんからすると下げられることはあってもあげることは難しいんじゃないの?っていうのが正直な気持ちなんじゃないかと思います。
しかし、小泉社長は「それは当然の権利なんですよ」とおっしゃいます。
小泉社長が仰るように、通常不動産賃貸契約書には次のような条項が盛り込まれています。
大事な部分を抜き出して改めて書きます。
これら2つの場合には、借主からでも貸主からでも協議の上賃料の改定を行うことができる。
確かに契約書にはっきりとそう書かれています。
物件エリアの人口増加、公示地価の上昇等の経済事情により、今貸している賃料が明らかに安い、あるいは、近隣の同じようなレベルのビルの最近の賃貸取引の相場と比較して、今貸している賃料が明らかに安いということであれば堂々と賃料の増額交渉をすればいいんですね。
実際いま、東京や大阪の都心部では賃料相場が上昇局面を迎えているエリアが多いと聞きます。
実際物件をお持ちの方はぜひ確認してみてください。
ひょっとしたら賃料の上昇余地があるかもしれませんよ!
しかし、経済事情や近隣取引事例についての資料を大家さん独りで収集するのはなかなか難しいことかもしれません。
そんなときこそ顔見知りの信用できる仲介業社なんかをうまく活用すればいいわけですね。
それなりの物件で定期的にフィーを払ってPM会社とお付き合いしているのであれば、そのPM会社がやってくれることとなります。
小泉社長の会社では、常にそのような情報をお金を出して買っていると言います。
ずばり情報料として支払う場合もあれば、接待の席でそれとなく探りを入れたり、硬軟織り交ぜ欲しい情報を集めているとのこと。
それはそれは頼もしいですよね笑
やっぱりどんな世界でも情報弱者は食い物にされてしまいます。
特に普通のサラリーマンや医師で不動産投資に手を出す人間や、もともとの地主さんで金を持っているような高齢者にそういう方が多くて、だからこそ僕がこういうブログでちゃんとした情報を発信したいと思ったわけですが、やっぱりちゃんとした情報をもって、ちゃんとした業者なり人と付き合って、慎重かつ大胆に取り組む必要がありますよね、不動産というのは。
なんか、そんなことを改めて感じさせられたいいセミナーでした。
小泉社長、ありがとう!
[小泉’sMaxim]
リーシングの秘訣は次の2つ
・仲介業者との関係づくり
・内見の立会い業務
【会社紹介】
バイリンク株式会社
所在地:大阪市北区梅田1丁目3−1 大阪駅前第1ビル7F 3-C
TEL:06-6347-8681
WEB:https://0082.jp/
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知ってる人だけ得してる《ちょっとマニアックな》不動産オーナーのための相続・承継の話
投稿 大家さん必見!『資産価値と利回りをアップするリーシングの秘訣』についてセミナーで話を聞いてきた! は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
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]]>-今回のインタビューのお相手は、店舗付き住宅の賃貸・売買情報サイト「商い暮らし」を運営する株式会社G.Ustyleの小薬さんです。
よろしくお願いいたします。
まず、出会いのきっかけは、僕が面白い不動産業にまつわるサイトがないかなと探しているときに目についたのが「商い暮らし」というワードでした。
なんともほっこりするワードでありながら聞きなれない、興味の惹かれるものですぐにお話を伺いたいと思いました。
−サイトで「商い暮らし」とは「商い」の場で暮らし、「暮らし」の場で商うことであると紹介されていますが、改めて「商い暮らし」とはどのようなコンセプトのもので、小薬さんが提供あるいは提案されようとされているサービスとはどのようなものか教えていただけますでしょうか。
GU) お問い合わせ頂きありがとうございます。ほっこりとしたい人が反応するようなサイトにしたかったので、反応頂き嬉しいです。
約6年前の起業したての頃、シャッター商店街によくある店舗付き住宅(1階が店舗、2階が住宅のような建物)を見ていて、自分がそんな場所で暮らし、1階で商いをしたら、友達が集まったり、知り合いが増えたり、きっと面白いコトが起きるに違いない!と思ったのがきっかけです。
自分と同じような環境で職住近接を望んでいる人や、新しいことを始めたい、実はやりたいことがある、と考えている人は絶対多いはず、と考えました。
そこで、そういう店舗付き住宅という不動産だけの紹介サイトをつくりました。
賃貸、売買を問わず物件紹介をしています。
また、楽しそうに商い暮らしをしている人を「商い暮らしびと」と呼び、物件を探している方の具体的なイメージの参考になれば良いなと思ってます。
-「商い暮らしびと」ですか。これまたほっこりすワードですね笑
昔はそんな人がたくさんいて小さいながらも商売をしながら生き生きと生活していたと思うんですが、いつの間にか都会から姿を消しましたね。。
具体的にはいつからサービスを始められて、これまでどれくらいこのサービスを通じて商い暮らしを始められた方がいらっしゃるのでしょうか。面白い事例があれば、それも交えて教えてください。
GU) 2016年の夏に正式オープンしました。まだまだマッチングの数は少ないですが、ニーズは確実にあると感じております。
休みの日に趣味のコーヒーをお客さんに提供したい、写真スタジオ兼作業場が欲しいカメラマン、銅製品の制作・販売したいので音を出して良いアトリエなど、皆さんがやりたい「商い+暮らし」のアイデアを既に持っているのです。
-なるほどですね。
日本国中、都心部を除いてどんどん空き家が増えています。
そしてこれからもどんどん増えていくことが予想されます。
そんな空き家のオーナーあるいはその相続人にとってもメリットのある話となるのでしょうか?
GU) どうせ貸せない、と思っている物件も見る人によっては宝物ということも多いのをオーナー様にわかって欲しいです。
壊して建て直すだけがすべてではなく、建築コストを掛け過ぎなくても、アイデアや使い手によって建物が生き返るケースが多々あります。
-僕が子供のころには、例えば1Fが駄菓子屋さんや文房具屋さんでその店主であるおばあちゃんは2Fを生活の場にしているようなケースが町のあちらこちらでみられました。
ただ、時代の変化の中でこのような小規模な店が商売を成り立たせることが難しい時代となり随分このようなお店は閉店に追い込まれ、お店部分にはシャッターを閉めて、生活はその奥のスペースで継続しているようなケースが増えたのではないかとおもいます。
小薬さんは、このような状況が今後は好転していく、あるいは全く違うものを組み合わせることでこのような不動産を蘇らせることができるとお考えなんでしょうか?
GU) はい!
立地が悪く、裏通りにあるショップでもSNSなどで集客はできます。
人口が減っているのに大量生産なモノはナンセンスですし、誰がどんな想いでつくったモノなのか、どこのどんなお店で買ったのかなどストーリ性のあるモノが好まれる時代です。
東日本大震災を境に大切なものは何かを皆が気付き、優先順位が変わってきたのでしょう。
副業がOKな大手会社があったり、リモートワークができたり働き方も変わってきています。
その余裕ができた時間を自分コトに費やしたり、諦めかけていて本来やりたかったコトを始動したり、と何かのきっかけになる可能性にもなります。
例えば自宅の1階に余白のスペースがあったとして、そこで好きなことをして良いとしたら、、、と妄想すると、皆さん何かしらあると思うんです、やりたいことが。
本業ではなく、小商いや、趣味に使ってもよいスペースがあったら、もっと豊かな生活が送れるのではないでしょうか。
自己表現の場であったり、コミュニケーションの場として考えれば、すべての人において稼業や商売として成り立つ必要がないのです。
−いや、これは本当にその通りだと思います。
ともすれば拝金主義傾向が強まりすぎて厭世感に満ちたいまの世の中において、明らかにこれまでとは異なる価値観が増幅してきていますよね。
最近の人気の書籍を読んでいると、経済・金融・お金よりも価値・信頼・コミュニケーションがより重要になってくるというような文脈をよく目にします。
-話を戻して、無理やり税金の話につなげて考えますと、お店と住居がセットになったいわゆる併用住宅については、その居住用割合が2分の1以上であれば「固定資産税の住宅用地の課税標準の特例」を100%受けることができます。
(居住用割合が4分の1以上2分の1未満の場合は50%適用可)※地上4階建て以下の場合
自宅とお店を別々の場所で所有するより、固定資産税の負担を軽減することができ、このような観点でみると「商い暮らし」は非常に理に適っていると言えます。
また、最近の税制改正により中古不動産の活用を意図した減税制度がたくさん整備されてきています。
具体的には、バリアフリー改修工事、多世帯同居改修工事、省エネ改修工事、耐震改修工事、耐久性向上改修工事について、それぞれ細かな要件があるものの所得税が減税される制度があります。
海外に比べて日本の中古住宅市場は大きく遅れていると言われますが、もっともっと税制面からのバックアップがあれば、中古住宅を安く買ってきて自分のニーズに合わせたリフォームをするということがもっと拡がりを見せるんだと思います。
そのほか、「商い暮らし」のメリットを教えてください。
GU) 無理やりですね(笑)
税金の話ではないですが、1階で将来的にカフェを営もうとしていた方が自宅として店舗付き住宅を購入し、現在は1階部分を賃貸することで、住宅ローンのほとんどをまかなっているとのことです。
無料で家に住んで、その間に出店資金を貯める、理想的な話です。
既に「商い暮らし」をしている人に共通していることは、皆さん生活を楽しんでいることです!
仕事とプライベートの境が無いという方もいますが、自分が好きなことをやっているのですから、楽しくないはずはありません。
そのような暮らしをする人が増えれば、街のシャッターが開き、その通りが、行き交う人が、元気になると信じています。
−最近注目をあつめる、民泊やゲストハウスについても自分自身もそこに住みながら営業するスタイルで可能かと思いますがいかがでしょうか?
GU) 自然と世界中に友達ができて、毎日が楽しそうですね!
宿泊に来る外国人も、そういった日本人とのコミュニケーションは欲していると思います。
実は、台東区で「商い暮らし」を体験できるような、民泊のようなプロジェクトを進めているのでお楽しみに!
−もうプロジェクトが動き出してるんですね。
また詳細が決まれば教えてください!
しかし、実際築年数が相当経った店舗付き住宅を民泊やゲストハウスにするには、物件に検査済み証がなかったり、古くて基準を満たさない等の障害もやはりあるんでしょうか。
GU) その障害はほとんど無いと思います。
違法増築をしてしまっている物件などはそもそも…ですが、
本来の建物用途が住宅、店舗となっている物件がほとんどだと思いますし、用途を変更する部分が100㎡以下であれば建築基準法に基づく手続きも不要です。
−なるほど、そうすればそのような活用の途もありそうですね。
民泊新法のスタートを間近に控え、忘れ去られた店舗付き住宅にもスポットライトが当たる可能性がありますね。
最後に、店舗付き住宅のイメージを持ちにくい方のために、いま実際G.U.styleさんで売り出し中の店舗付き住宅をご紹介していただけませんか?
(ご紹介いただいた物件)
※販売図面が小さいので興味のある方はぜひ直接お尋ねください。
ちなみに間取りが驚異の「7LDDK+店舗」︎!
こんな間取り初めて聞きました笑
店舗スペースも20帖ありますので小商いするには十分なスペースです。
たしかに、ここで趣味と実益を兼ねて「あんなことをしよう、こんなこともできるかな」と妄想するだけで楽しいですね。
不動産のオーナー側は、「こんな物件どうせ売れない、貸せない」と考えることなく色んな活用を考えればいいですよね。
そして、ご自身で活用できなくてもきっと活用してくれる新しい感覚を持った人がいるんで諦めずにG.U.styleさんのような不動産屋さんに相談してほしいと思います。
本日は、お忙しい中本当にありがとうございました。
[小薬’sMaxim]
・店舗付き住宅は活かせる人に活かしてもらえ!
・職住同居・職住近接を望むなら店舗付き住宅が面白い!
・面白い中古物件を購入して自分流にカスタマイズすれば、所得税の優遇規定が使えることもある!
【会社紹介】
株式会社G.U.style
所在地:東京都大田区東雪谷2-21-1
TEL:03-6425-7283
投稿 『商い暮らし』古くて新しい不動産の活かし方について G.U.styleさんに聞いてきた! は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
]]>投稿 生産緑地の2022年問題に朗報!税制改正でますます注目を集める「貸農園サービス」について株式会社アグリメディアさんに聞いてきた! は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
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今回のインタビューのお相手は株式会社アグリメディア農園開発部の岩本さんです。よろしくお願いいたします。
アグリメディアさんのおしゃれなHPをみているとなんだかワクワクさせられます。
早速ですが、アグリメディアさんの会社とその事業内容について教えてください。
岩本:当社は「農業の活性化・効率化する優れたプラットフォームの提供により日本の農業の発展に貢献する」をミッションに、農業の収益改善につながるプラットフォームサービスを展開する“日本一のアグリカンパニー”を目指しています。
現在は、遊休農地を活用したサポートつき市民農園の「シェア畑」のほか、収穫体験付きBBQ「ベジQ」や、自治体と連携した農業関連施設(「アグリパーク伊勢原」「里山シェア」など)の運営なども行っています。
2017年4月には、農業特化の人材サービス会社を子会社化するなど農業関連ビジネスを多角化しています。
-僕は、税理士として農地をお持ちのいわゆる資産家の方と普段からお付き合いしています。
僕自身普段の活動拠点が大阪であるため、接する資産家の方々も都市部あるいはその周辺市に土地をお持ちの方が多く、所有する農地について生産緑地の指定を受けられている方が多いです。
この生産緑地については、最近はメディアでも伝えられ始めている通りいわゆる「2022年問題」という大きな問題が目前に迫っており、資産家の方をサポートする専門家の端くれとして僕自身も非常にこの問題に関心を持っています。
そこで、アグリメディアさんとしてこの生産緑地の「2022年問題」をどのように捉えられているのか教えていただけますか?
岩本:シェア畑事業の拡大の追い風になると考えています。
2022年が近づくことで、今ある農地を今後どうしようかと考えるきっかけになり、その結果、農地のまま残す方法の一つとして「シェア畑」を選ぶ方もいらっしゃると考えています。
また2022年問題に絡んで、シェア畑が開設しやすくなる「税制改正」(注:平成30年度税制改正。現時点では大綱段階)が予定されています。
これまで生産緑地で「相続税の納税猶予」を受けている方は、シェア畑にすると、それが受けられなくなり、これまで猶予された分も含めて、相続税を支払わなくてはなりませんでした。
それが今回の税制改正で、納税猶予を受けたままでも、シェア畑にできるようになる見通しです。
【生産緑地に関する平成30年度税制改正大綱について】
1、生産緑地を貸した場合も相続税の納税猶予を適用
2、特定生産緑地(生産緑地の指定から30年経過した後再度指定をうけたもの)の固定資産税、都市計画税を現行と同様に扱う。
※18年度に創設される「特定生産緑地」は、現行の生産緑地と同じ税制特例とする。
3、都市農地など固定資産税の上昇幅を抑える措置を20年度まで継続
※都市農地の固定資産税を宅地並みの額に向けて徐々に引き上げる負担調整措置の継続
実際に「税制改正後にシェア畑にしたい」との意向を固めている地主さんもかなりいらっしゃるため、税制改正を機に更にシェア畑の開設数は増えると想定しています。
-それでは、実際2022年に買取の申出が可能となる生産緑地をお持ちの方が、いまから取り得る対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
岩本:生産緑地をお持ちの地主様の中には、すでに2022年問題に向けてのセミナーや相談に動いている方がいらっしゃいます。
しかしながらそういった地主様はまだ少数です。
2022年直前には生産緑地の活用を提案する企業への問い合わせが急増することが予想されますが、企業もすべての生産緑地に活用方法を提案できるとは限りません。
一方で、2022年に一斉に、自治体へ買取申し出がなされても、自治体にそれらを買取る財政的余裕があるとも考えられません。
早めに2022年に向けたセミナーや相談をすること、そして様々な選択肢を持つことが第一と考えられます。
-御社の貸農園サービスはこの対策となり得るのでしょうか?
御社の「シェア畑」(貸農園)サービスの詳細と現在の普及状況と合わせて教えていただけますか?
岩本:「シェア畑」は生産緑地の活用方法の1つとなるので、2022年問題の対策となります。
直近でも、当社が上記のようなセミナーを主催しており、地主さんを集めて説明も行っているので、そうしたセミナーに足を運んでいただくことは、いますぐできることの1つだと思います。
ーなるほど。
岩本:シェア畑のサービスについて説明します。
現在、約70農園を開設し、利用者は1.5万人を突破しています。首都圏を中心に展開し、昨年関西エリアにも進出し、右肩上がりで拡大を続けています。
-生産緑地でありながら貸農園化することは行政にも認められるのでしょうか?
岩本:認められます。
弊社の貸農園は、すべて自治体との事前協議や農業委員会の許可を経てから開園しております。
ケースに応じて税務署とも協議した上で開園のサポートを行っています。
-実際に生産緑地の指定を受けながら御社のサービスを利用して貸農園化された方がいらっしゃれば、その事例について詳しく教えてください。
岩本:神奈川県川崎市でシェア畑を開園された方がいらっしゃいます。
その方はお父様がなくなり1000坪ほどの農地を相続しましたが、平日は仕事があるため農業をつぐことはできませんでした。
しかし、先祖代々の土地なので売却に抵抗があったそうです。
そこで農地のまま活用する手段を探していたところ弊社に行き着いたとのことです。
地主様インタビューを弊社HPに掲載しております。
地主様には、「管理をすべてアグリメディアが行うことに魅力を感じている」と声をいただいております。
-同じような境遇の方は、日本全国にたくさんいらっしゃるでしょうね。
農地を貸農園にするにあたって気になる点は、やはり貸農園にしても生産緑地のメリットを享受し続けることができるかどうかということだと思います。
特に「固定資産税の評価・課税」と「相続税の納税猶予」の2点について、享受し続けられるケースとそうでないケースについて教えてください。
岩本:「固定資産税の評価・課税」に関しては、引き続き生産緑地として課税されます。
一方で、「相続税の納税猶予」を受けている生産緑地に関しては、現行制度では「貸農園」は開園することができません。
弊社では「体験農園」という方法での開園を提案しております。
(※ご提案の可否は地域により異なるとのこと。)
簡単に説明すると、貸農園は利用者が自由に野菜の作付けを決めることができます。
一方、体験農園は地主様が利用者に農作業を手伝ってもらうという整理でおこなうものなので、作付は地主様が指定されるもののみです。
体験農園は農業委員会の許可は必要ありませんが、弊社では事前に自治体や税務署に相談をしております。
ただ、先ほども述べたように「税制改正」後に、納税猶予を受けている生産緑地でも貸農園の開園が可能になります。
生産緑地だからと諦めず、まずはご相談をいただければと考えております。
-農地の所有者目線を離れて考えると、やはり都市部に緑が維持されること、農業に触れ合う機会が身近に存在すること、今後ますます空き家の増加が懸念される現状でさらなる宅地開発を防ぐといった意味合いからも「シェア畑」サービスは非常に有意義だと感じています。
御社のこれからの取り組みや他のサービスについても簡単に教えていただけますか?
岩本:はい、今後も「都市と農業をつなぐ」を事業コンセプトに、都市住民を対象にした農業ビジネスを展開していきます。
直近では、2018年4月に神奈川県清川村から「道の駅 清川」の指定管理者に選定され、道の駅の運営を開始します。
道の駅をハブにして、都心からの来場者や地元の農産物が流通する仕組みをつくって、そのモデルを他の農産物直売所や同じような道の駅でも展開していきたいと考えています。
ーなるほど。これからの新しい農業の形が少し垣間見えたように思います。
本日は貴重なお時間を頂戴しまして誠に有難うございました。
・生産緑地の指定を受けながら貸農園化することができる!
・貸農園にした後も固定資産税のメリットは受けることができる!
・平成30年度税制改正により、貸農園化した生産緑地についても相続税の納税猶予を受けられる途が開ける!
【会社紹介】
株式会社アグリメディア
所在地:東京都新宿区西新宿2丁目6–1 新宿住友ビル41階
TEL(本社):03-6302-0023
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]]>投稿 自分の土地について知っておくべき3つのこと ~不動産オーナーにとって不動産鑑定士活用法とは~についてFCS不動産鑑定さんに聞いてきた! は 税理士と不動産のプロ達による不動産相続のヒソヒソ話 に最初に表示されました。
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米倉:よろしくお願いします。
-僕と先生の出会いは遡れば随分古いですね。僕が独立開業前に勤めていた税理士法人に先生が営業に来られたのがきっかけだったかと思います。当時は不動産鑑定士の先生がこんな営業するのかと驚いたのを覚えています(笑)最近では、先生が主宰されておられた不動産に関する勉強会で色々なことを学ばせていただきました。
本日のテーマですが、「自分の土地について知っておくべき3つのこと~不動産オーナーにとって不動産鑑定士活用法とは~」と題して、不動産オーナーがどのような場面で、どのように不動産鑑定士の先生を活用することができるのかといったことを中心に伺いたいと思います。 不動産鑑定士というと文字通り不動産に関するお仕事をされておられるにも関わらず、実は不動産オーナーにとって身近な存在ではないのではないかなと感じられます。
不動産鑑定士と不動産オーナー及び我々税理士との接点っていうと、やっぱり財産評価のところの「財産評価基本通達第6条」(この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する。)の規定を適用できるような案件が頭に浮かびます。
具体的には、財産評価基本通達に則って評価をしたらこれはどう考えても時価より相当高いよねっていうような土地が出てきた時に、不動産鑑定士の先生にその土地の鑑定評価をお願いして、その鑑定評価額をもって申告するというようなケースかなと思うんですけどいかがですか?
米倉:そうですね。ただ、分量的には財産評価基本通達に則った評価額(以下、「通達評価額」)が時価より高いよねっていうのを税理士さんが気づいて鑑定してよって依頼が来るのは、僕らの税務に関わる仕事の中では少ない。
-少ない?それは、我々税理士サイドがその土地の時価を把握してないからでしょうか?
米倉:時価を把握してないからということもありますし、基本的には土地の相続税評価って財産評価基本通達の則ってやればとりあえず答えは出るじゃないですか。
- はい。
米倉:あれ(注:通達評価額)って、時価よりちょっと低く設定されてるので、ほとんどの物件がそれでOKなんですよ。大体の物件はそれで評価できちゃうので、すごくよく出来た仕組みなんですね。 だけど、何割ぐらいあるか数字はわからないですけど、ごく少量通達評価額が時価より高くでる。その割合が多分非常に少ないんですね。なので、そもそもそういうことによほど意識をしていないといざそういう物件に出くわしても、深く検討しようということにならない。
-例えば、無道路地なんかは通達評価額が時価よりも高くでる代表格的なものとして言われてるじゃないですか。 広大地に比べても減額の割合が少ないので、無道路地って接道義務満たして無くて基本的には家も建てれないから実勢価格的にはほとんど値段がつかないけども、評価の減額幅に下限があって、それなりの通達評価額が出て時価と大きく乖離してしまう。
米倉:そうですね。無道路地もそうです。ただ、僕の感覚としては、一番の財産評価基本通達の弱点は「規模の感覚」が抜け落ちているということです。土地のすべてが単価×面積で計算するもんだから、そこに総額感っていうのが影響しないんですよ。広大地補正が唯一それをカバーしてくれるものですが。
-それは、土地が大きすぎることに関しての減額補正がかからないっていうことですね?
米倉:そうそうそう。不動産マーケットは、必ずそのエリアによる総額のリミットみたいなのがあって、ほとんどのエリアでは総額による頭打ちがあるんですよ。 大阪市内のすごいマンションが建つとかビルが建つっていうところは、その総額が増えたことによってプレーヤーが減って減額になるっていうよりは、希少やから、競合してより単価が跳ね上がるっていうことが起こり得るんですけど、それは全国的に見てもものすごく限られたエリアの話なんです。 現実の不動産マーケットでは、例えばちょっと郊外にいくと1億の物件って売れないよねって絶対になる。だけど、財産評価基本通達では、面積が大きければどんどん掛け算して評価があがる仕組みになっているので、一番の弱点はそこですよね。
-それに関していうと、先ほども話に上がりましたが広大地補正が唯一その弱点をカバーしていますね。しかし、その広大地補正の要件を満たさないけれどもとても地積の大きな土地で不動産鑑定士の先生に評価を依頼してその鑑定評価額で税務署を通すことが出来るんですか?
米倉:すごく有効です。わかりやすい例で言うと、調整区域の山を何千平米、もしくは何万平米って持っていられる方がいて、固定資産税評価額×倍率(注:財産評価基本通達に則った評価)をしたら何千万円、何億円になりますよね。でも、売ろうとしたら0円でも買ってもらえないって言う土地は、やっぱり億単位の評価額がついて課税されたらかわいそうじゃないですか。それは僕ら不動産鑑定士の評価がすごく活きる場面です。 そこを不動産オーナーや顧問の税理士の先生が気づくかどうかですが。
-なんとなく調整区域に関してはそういうことがあり得るんかな、まぁあり得てしかるべきかなと思うんですけど、それ以外の調整区域外や非線引の地域でもあり得ますか?
米倉:全然あり得ますね。広大地がそれじゃないですか。広大地補正の適用要件を満たすとその評価を路線価の半分にしていいよっていうふうにやってるじゃないですか。今度変わりますけど(注:平成29年度税制改正により、平成30年1月1日以後の相続、贈与によって取得する土地に関して財産評価する際にはその取扱いが大きく変わることが決まっている)。それって結局規模による減額をみましょうっていうのがこの補正の主旨ですよね。それが使えそうだけど使えない物件、例えば地積はとても大きいけど羊羹切りって言って、開発道路付けずに開発できるような土地には広大地補正は使えない。
-広大地補正の適用要件満たさないですよね。
米倉:でも、絶対時価は低いんです。それって気付ける?っていう話になるんです。僕らがやってるのは、中に税理士さんが「これ時価の方が低いよね。だからチェックしてよ」って言ってくれる場合ももちろんあるんですけど、多いのは広大地のチェック、無料の診断の依頼を受けます。そこで、広大地補正の適用の可否のチェックをするとともに、広大地補正は使えないけど時価は下がりますよっていうのもチェックもするんですよ、実は。そして診断の結果、時価が通達評価額よりも低いと分かれば、鑑定評価でいきましょうかっていう提案をします。なので、そういう入り口で広大地補正の適用のない土地について鑑定評価で申告っていうのは結構お手伝いしてますね。
-話それますけど、そういうケースに関しては、当初申告からその鑑定評価を使う?
米倉:これも諸説あるんですけど、僕がこうやなと思っている説は、広大地に関しては当初申告でいくか、ちょっとリスクが高かったら更正の請求で行くか、リスクの度合いで提案を変えますね。ただ、鑑定評価については、全部当初申告でいきましょうっていうふうに言っています。その理由は、更正の請求って間違っているから更正じゃないですか。で、鑑定評価で申告って財産評価基本通達で申告してしまうとそれが地価を下回っていても、地価のほうが下回っていても最初のほうが間違いではないじゃないですか。なので、それって更正になるの?っていったらならない。
-そうですね。明確に広大地補正を適用して申告の場合と通達評価に変えて鑑定評価を用いて申告する場合の違いを理解しておく必要がありますね。
米倉:そうです。一旦通達評価額で申告してしまうと、仮にそれが時価を上回っていても間違いではないじゃないですか。なので、それって更正になるの?っていったらならないっていうことです。
-更正の請求の要件には合致しないですよね。
米倉:はい。という言う説が有力なので、(注:鑑定評価で)いくなら最初からいきましょうっていう言い方をしていますね。
-翻って、広大地補正に関しては、当初申告では補正を適用してなかったのを実は適用出来ましたねっていうのは、更正の請求要件に合致するというお立場なんですよね?
米倉:そうそう。今まではそうやって通達評価よりも時価が低い土地を見つけることができたんですよ。広大地補正の適用の可否を心配して、税理士の先生ないし不動産オーナーさんがうちに診断に来ていただいていたんで。去年なんかは年間500件とかきましたね。
-すごい数ですね。
米倉:その中から、いやこれ広大地補正は使えないけど、時価(注:時価=鑑定評価)行けますよっていう話をしていたんですけど、今後は(注:税制改正により)広大地の心配がなくなったんで、そういう案件が不動産鑑定士に持ち込まれない可能性がある。なので、僕がいま皆さんに言ってるのは「きちんと時価で申告できないかどうかのチェックしてくださいよ」ってことですね。
-チェックしてほしいっていうのは、今後も変わらず不動産鑑定士に依頼して欲しいっていうことですか?
米倉:依頼して欲しい。まぁ僕らの会社的にも依頼して欲しいですし、税理士さんにしたらそのお客さんのためにって思っているんだったら。
-単に通達評価して終わりでなくてそこまでやるべきだよねっていうことですね。
米倉:一手間ですけど、路線価評価(注:=通達評価)出ました。出ましたけど時価下がらんかっていうチェックをもう一手間。
-その時価下がらんかなっていうチェックは具体的に言うと、税理士としてはどんなことが出来るんでしょうか?不動産鑑定士の先生に依頼する以外にやりようってあるんですか?
米倉:(注:税理士が)自分でするって意味でですか?自分でするには、不動産業者にヒアリングすれば大体の答えは出ますよね。でも、それよりは僕らに渡すほうが早いですよ。多分。
-ですね。そりゃそうですよね。
米倉:そうですし、相続税の財産評価を鑑定評価で申告するってあんまりやっている人が少ないので、それなりの特有のやり方、ノウハウってあるんですよ。例えば言ったら、収益還元(注:不動産の鑑定評価に用いられる3つの評価方法の1つである「収益還元法」のこと。その他「原価法」と「取引事例比較法」がある)を国税は好まないので、収益還元が低いから時価が低いよっていう論法は通じないんです。そのロジックで行くのは良くないので、別のやり方で規模の補正はやっぱり通用すると思うので、そこを見つけるのが僕らの作業ですよね。
-その不動産鑑定士の先生にお願いするとしたらどんな不動産鑑定士の先生にお願いすればいいのかっていう話については後ほどお伺いすることにして、話を戻して、この財産評価通達の6条に関して、相続税について取り組み始めたての税理士や素人である不動産オーナー自身がこの通達を読んだら、この「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」って、課税局側が適用できる規定であって、税理士サイドは使うことが出来ない。とか、あるいは鑑定評価でいくなら事前に国税庁長官の承認を受けないといけないっていうふうに読んでしまいがちじゃないですか?
米倉:そう読めちゃいますね。
-僕も最初読んだ時はそういうふうに思ったんで、あんまり6条の規定って引っかかってなかったんですけど、実際には税理士サイドも適用することができるという解釈でいいんやみたいなことは実務をやるうちに知るようになりました。それは先生の理解あるいは実績としても、間違いなく納税者サイドも場合によっては鑑定評価を用いての申告っていうのは認められているということでよろしいんですよね?
米倉:はい。不服審判所の裁決の事例なんかもチェックしていて、鑑定評価が是認も否認もどっちもされていますけど、それが否認されるかOKになるかの線引は「特別な事情」があるかどうかを国税不服審判所が判断しているんですよ。いっつも。その「特別な事情」ってなんだっていったら、結局通達評価の数字と時価との間に著しい乖離があるかどうかなんですよ。
-ものすごくざっくりいうと、「著しい乖離」っていうのは感覚的にどれくらいなんですか?
米倉:はっきりわかんないですけど。僕らは一応2割ぐらいを目安としていますね。
-2割?2割ぐらいでも著しい乖離があると言える?
米倉:何パーセントかは、はっきりしてないですね。はっきりしてないですけど、お客さんに提案する時に、(注:通達評価額に対して)10何パーセント鑑定評価は下がりますというような場合には、これくらいならやめときましょうっていう話し方をしますね。
-その20パーセント以上の乖離があるかどうかというような目利きもあんまり申告実務になれてない税理士は出来ないと思うんですけど、次の質問にも関わりますけど、一般的に言って先に話が出た無道路地や地積の大きな土地以外に6条の規定を用いることが出来そうな物件って言うとどんな物件がありますか? たとえば、僕らがセミナーとか勉強会とかで話を聞いていると、奥行価格補正にしても、その他のいろんな補正にしても定められた補正率表の中で減額幅に下限があるじゃないですか。もう100メートル以上は一律0.8とかって。実は、奥行が100メートルの土地と150メートルの土地が同じ減額幅でいいのかみたいな論点もありますよね。そこっていうのは、実際不動産の売買実務で言うと当然加味されるでしょうから、通達評価と時価が乖離するポイントなのかなっていう気はするんですけど。
米倉:そうですね。それもありますね。だけど、僕が思うのは、今の話って補正率の話じゃないですか。補正率が財産評価基本通達だとマイナス30パーセントだけど、本来はマイナス50パーセントでしょっていうのって、いったらもう主観でしかない部分があって、あんまりロジカルじゃないんですよ、そこの議論って。あまりしたくないんですよ。どちらかというと、そもそもこの場所って路線価があって、路線価で売れてないよねっていうエリアのほうが話を展開させやすいですね。本当にカバーすべきは、田舎の大きな土地なんですよ。まさに広大地のような物件のほうが時価と路線価が乖離するんだと思いますね。田舎で面積が大きい。
-なるほど。田舎っていっても調整区域ほどではない?
米倉:もう全然。戸建てが建つようなところですね。普通に田舎っていっても大阪とか阪神間でもちょっと駅から遠かったりするところってエリアによって全然路線価で売れませんみたいなところもありますからね。(注:地積が)大きくなったら時価下がるよっていうそっちのほうがいいかなと思いますね。
― さっきのその20パーセントぐらいの乖離でやっと著しい乖離と見るという話ありましたけど、そもそも相続税評価っておよそ時価の8掛けになるように路線価が設定されていますよね?
米倉:そうそうそう。
― ある意味20パーセントのバッファーを持たせてるじゃないですか。
米倉:そうですね。
― その20パーセントっていうのは、その中で(注:多少の時価と通達評価額の乖離は)吸収されるべきやっていう考え方でもあるわけですよね?
米倉:そうですね。基本は、時価の方が2割高いのが多いですね。実際には、大阪市内とかやったら時価が路線価の倍とか2.5倍とかしてますけど。もうちょっと離れた多くのエリアは路線価かと同等かちょっと上ぐらいで時価が形成されていて、そこで減額補正率が30パーセントじゃなくて50パーセントでしょっていう議論をしても、そもそも時価より(注:通達評価額を)2割低くしている以上って言う部分があるんですよ。結局は、財産評価基本通達ってようできてるなって言うような感じに僕は思ってしまう。ただ、規模に関しては財産評価はカバーしてないので、それは絶対やったほうがいいと思います。今度広大地の補正が、改正によって分かりやすくなるんですけど基本的に補正率は弱まりますよね。そうすると。。
―もっと時価と(注:通達評価額との)乖離ができるということですね?
米倉:乖離しますよね。大きい土地は。新たな規模格差補正を適用した物件に関しては、「いや、これこの値段でいい?」っていうふうに思ってほしいですよね。だって、広大地の補正(注:を適用できたこれまでと比較して)から2、3割上がるわけですよ、通達評価は。
-これまで広大地補正を適用できる物件で広大地補正を適用しても、まだ時価と(注:通達評価額に)乖離がある物件があったってことですか?
米倉:広大地補正が適用できたら大体カバーできてます(注:通達評価と時価が近づいている)。それより下がるっていうのは超特殊な例で、今計算すると路線価の半分ぐらいになるじゃないですか。それより時価のほうが下がるっていうのはかなりレアケースです。なので広大地が使えたらそれでOKって僕は思いますけど、改正後の新しい補正では路線価の8掛けになりますと。それって多分(注:減額の補正が)足りてない物件がたくさんあると思います。
―これまでの広大地補正の問題点っていうのは形状のきれいな広大地の評価がむしろ下がりすぎてたということですよね?
米倉:そうそうそう。それはありますね。
―って課税庁側は考えているわけですね?
米倉:そうですね。そうですね。
―だから、形状の悪い広大地に関してはその他の補正をした後に規模格差補正を考えるんで、これまでとロジックは違うけど同じような評価額になる可能性はあるわけですよね?
米倉:いや、物件によりますけど、それでも(注:評価減が)弱いと思います。
―それでも弱い?
米倉:弱いと思いますけどね。また時価の話になるんですけど、今不動産マーケットが良いので、人気のあるエリアは路線価の2割増しじゃないんですよね、時価が。路線価の1.5倍とか2倍とかしてるわけですよ。東京圏とか特に。
―今すごく人気があるエリアでは、その路線価の評価が要は時価の上昇に追いついていない?低すぎるわけですよね?路線価が。一応路線価の見直しって毎年やってるんで時点修正みたいなものをかけてるじゃないですか。そんなのでは全然カバーできてない?けれども、それも不動産鑑定士の先生がやってはるんですよね?路線価の基になる評価って(笑)
米倉:そうですね。路線価の基になる標準宅地の評価は不動産鑑定士がやってます。でも、マーケットの上がり下がりをそのまま追っかけないっていう特性があるんです。なぜか(笑) その理由としては、例えば、今大阪市内のマンションとかビルになるような商業地はリーマンショックの後ばーって値段が上がりましたね。で、今は時価が路線価の倍のところにあるってみんなわかってるわけですよ。路線価で買えると誰も思ってないんですよ。じゃあ、路線価もっと上げろよっていう話なんですけど、それをじゃあ時価の上昇に合わせて年間30パーセントとかって上げていってしまうと、その土地を売るつもりがないとか代々所有している人からすると持っているだけで固定資産税が3割上がってしまうとか、たまたまその時に相続が発生すると評価がその前年に発生した場合より30パーセントも高いっていったらきついですよね。なので、トレンドには合わせるけども、全く時価をピッタリ追いかけることはしない。公的な評価、固定資産税路線価も相続税路線価も地価公示も追いかけるのはゆっくりねっていうのが特性なんです。
―ずばりその時点での取引売買実例やら最有効利用みたいなことは考えてないんですね?
米倉:そうですね。そうですねって言ったらあかんか(笑)。本来は考えている建付けなんですけど、真剣にそれをじゃあ路線価の倍で売れてるから倍にしようっていうことをしてしまうと持っているだけの地主さんがかわいそうすぎるよねってことなんだと思います。 でも実際そうです。それで大阪では今時価が路線価の倍です。銀座は3倍です。誰もそんな土地を路線価で買えるとは思ってないですよね。
―今の話で言うと、逆に現実にはそんな起こり得ないかもしれないですけど、急激に時価が下がったとしてもその下落のペースっていうのはゆっくりになるんですよね?すぐには加味されないんですよね?
米倉:ゆっくりですね。
―っていうことは、そこにまた時価と路線価評価、いわゆる通達評価額に乖離ができて、時価評価を申告に用いた方がいいケースっていうのが起こり得るんでしょうか?
米倉:起こり得ると思いますね。まぁ(注:時価の下落ペースと路線価の下落ペース)全く一緒ではきっとないですよ。
―なるほど。またちょっと6条規定が適用できるケースの話に戻るんですけど、僕ら固定資産税の見直しでやってるんですが、固定資産税のほうでは総務省が定めている固定資産税評価基準で決まっている補正って相続税に倣ったメジャーなものしかないんですけど、それぞれの市町村が独自に「所要の補正」っていうのを設けてるじゃないですか。
米倉:そうですね。
―「所要の補正」って本当に色々なものがあるんですけど、例えば、歩道橋の橋げたがその評価対象地の目の前に来てるから減額補正してあげようとか、鉄道の線路沿いの減額、水路に面している減額、隣が墓地だから減額とかね。そういうニッチでマニアックなものありますよね。実際その不動産を売買する時には、そういうことも価格に反映されてと思うんですけど、そういうのはこの6条の規定使って時価評価を出してっていうのは馴染みそうですか?
米倉:うーん、難しい。完全に僕の考えなんですけど、今仰ることってのは個別的要因なんですよ。標準的な宅地に比べてここが悪いから減額しますよって。無道路地にしても奥行にしても歩道橋にしても全部個別的要因なんですよ。それが好きな不動産鑑定士もいるかもしれないですけど、「歩道橋があるから何割減すべき!」って。だから時価のほうが下がるよねっていうことをする鑑定士もいるかもしれないですけど、僕はあんまそこで議論はしたくないと思っています。
―それは対税務署に対する仕事だからそういうことはしないのか、実際にその不動産売買のための鑑定評価額を出してくれっていう依頼があってもそういうことはあまり加味しないっていうことなんですか?
米倉:加味はしますよ。たとえば奥行が長い、加味しますよ。無道路もちろん加味しますよ。でも、その減額率が、財産評価基本通達が決めている率より何パーセントか大きいでしょっていうのって根拠がないんですよね。そうすると、そこで争ってももう向こうがダメって言い出したら平行線な議論にしかならないんですよね。僕が思うのは、やっぱり大きい土地は売れないよっていうきちんとした取引のデータがあって、そこで争いたいと。争いたいというとおかしいか(笑)そういう物件は、救済したい、ちゃんと時価を出したいって思います。
―ある程度実証できて論理的に話ができるような項目かどうかっていう違いなんでしょうか?
米倉:だと思いますね。ただ、無道路地に関しては、理屈は立てれるんでね。ここの用地を買収したらどうでとかっていうことは出来るんで、無道路に関しては出来るとは思うんですけど、奥行補正の率がもうちょい大きいでしょとか横に墓地があることがどうでしょっていうことってもう絶対答えのない話なんで。それは言ってもしょうがないなっていうのは、僕は思います。
―なるほど。でも、そういうのやる鑑定士の先生もいるんですよね?それは鑑定士の先生の範疇なんですかね?そこまでも。
米倉:うーん…なんかね、例えばね、(注:評価対象地の)横に組事務所がありますってときに、それで減価何割ってしますっていう不動産鑑定士もいるんですよ。
―そんな減額通るんですか?(笑)
米倉:うん。すごいこれで下げたよっていう人も中にはいるんですけど、それはただ否認されなかっただけやろって、僕は思っていて。
―税務署が認めたわけではなくてね(笑)
米倉:はい。それなんか理由ある?って思いますもんね。その30パーセントの減価あるいは半分の減価に理由ある?って僕は思いますけど、まあそういうのもやるっていう人もいると思いますけど。
―それこそ、その墓地とか公衆トイレとかそういう嫌悪施設とか危険施設とかあると評価を、下げるべきやっていう人もいるじゃないですか。でも確かにそれでいくら下がるねんっていうのは論理的には言いにくいですよね。
米倉:言いにくいですね。なんで僕はあんまりそれで下がりますっていうのはなかなかよういわんなっていうのはあります。
―ただ、騒音とか振動とか日照被害によってその利用価値が付近にあるほかの土地の利用状況から見て著しく利用価値が低下しているような場合には10%評価を落とせるよっていう国税庁のタックスアンサーか何かにあるじゃないですか。あんなのも税理士ではなかなか判断が付かないと思うのですが、やっぱり不動産鑑定士の先生に相談しながらやってるんでしょうか?
米倉:いやあ、どうですかね…。わからない。でも、それも僕の感覚では2割(注:時価と路線価のバッファー)の幅の範囲の話なんですよ。
―そういう項目での評価減って確かに2割で収まりそうですよね。大体ね。
米倉:そうです。しかも、最終的に騒音は路線価に織り込んでますって言われたら終わりなんですよ(笑)僕の感覚からすると、そのタックスアンサーや財産評価基本通達の理解の範疇で税理士の先生が戦うのは僕はありやと思いますけどね。でも、そこで不動産鑑定士に別でフィー払って、じゃあ10パーセント下がるよってやったところで、合うかって言ったら合わないじゃないですか。
―合わない。
米倉:合わないでしょ(笑)騒音だなんだってのは、不動産オーナー自身や税理士先生が見つけて戦うのはありやとは思いますけどね(笑)
―なかなかそこまで細かな論点では、 20パーセント以上下への乖離っていうのは望めないってことですよね?
米倉:望めないんじゃないかと僕は思っているということです。
―とはいえ、そういう相談もされることはあるんですか?(笑)
米倉:されますね(笑)
―そんな場合でも、一応見ていただけるんですか?(笑)
米倉:見ます見ます。僕は下がらないと思うけどこれ下げるっていう人もいるかもしれませんって言いますかね。
―なるほど。よくわかりました。
米倉:繰り返しになりますが、僕のポイントは「エリア」と「規模」です。
―エリアと規模。
米倉:エリアが都心部だとか規模がすごく大きいとかって、通達評価では反映しきれない仕組みになってるっていうのが僕は思うところです。
―そういうエリアや規模の物件を見つけたら、時価と通達評価の乖離が大きくて、納税者サイドもフィーを払ってでも鑑定評価をやる価値があるような物件になってくるんですよね。
米倉:そうです。
―なるほど。そういう乖離があるもの、今仰られたような規模とかエリアとかっていうことが見えてくると、逆に生前にこういう物件を買っといたら時価と通達評価額の乖離が大きくて相続税の節税になるよってことができますよね?
米倉:そうですそうです。まさにそうで、今の話って結局軸が相続税路線価より下がらないかっていう軸じゃないですか。で、相続税対策って相続税評価よりも高いものを買っておきましょうっていう話じゃないですか。
―逆にですね。
米倉:それは、同じ目線で時価と路線価評価を並べてもらって、税理士先生や不動産オーナー自身に感覚を持ってもらうっていうのがすごい大事だなと思っていて。何回も大阪市内は土地の時価が路線価の倍ですよねって話をしていますけど、結局現金で1億円の土地を買って、路線価が5千万円やったら、もう駐車場で回しただけで5千万円の相続税対策になってるわけですよね。そういう土地っていっぱいあると思いますよね。
―なるほど。そういう物件の見つけ方っていうのは、大阪の土地だったらどこでもいいっていうような話なのかもしれないですけど、何か特徴があったりするんですか? 例えば京都とかやったら、ウナギの寝床って言われるような奥に長い土地が多くて、奥行価格補正が結構掛かるんで評価額が下がるけど、安定して人気のエリアやから時価はそれなりに高くて、時価と通達評価額の乖離が大きいみたいなことを言う人もいるじゃないですか?
米倉:あると思います。
―不動産投資としては京都の物件いいよみたいな。そういうこともありえる?
米倉:ありえるんじゃないですかね。ありえますけど、それもなんかすごいテクニカルな気がして(笑)そんなことより、そもそも京都が人気があることのほうが大事なんですよ。
―なるほど。(笑)
米倉:いろんなところから買いに来ますからね。
―でも、その京都の安定した人気っていうのは、それこそ路線価に反映されてないんですか?(笑)
米倉:路線価にね(笑)
―反映されていたら乖離は埋まるわけじゃないですか(笑)。人気とはいえ。
米倉:本来もっと(注:反映)されるべきですけどね。
―実際は反映しきれていないという感覚なんですかね?
米倉:そうですね。だと思います。東京も大阪も京都もそうですよね。
―ざっくりその東京、大阪って仰られるのは、東京やったら23区っていうイメージですか?もっと広く八王子や町田まで含めた東京と考えてもそういうことは当てはまります?
米倉:やっぱり23区。それが山手線の中になればもっと人気が集中するし、都心3区、千代田区、港区、中央区とかやったらもっと人気上がります。
―その辺りが特に人気で、特に路線価にその時価の反映が追いついてないので逆に生前対策になるっていうことなんですよね?ずっと人気が下がらないという前提ですが。
米倉:と思いますね。でも、実際地価が上がるところってものすごく限られているんですよ。日本って人口減ってますよね。で、地価が上がった上がったって言ってるんですけど、日本で地価が上がっているところなんて本当に人口が増えているところだけなので、すごく少ないんですよね。今言ったところは全部リーマンショック後需要が集まって土地値が上がったところなんですよね。他のところは上がってないんですよ。
―東京、大阪、京都?
米倉:あとは名古屋、福岡。
―くらいですか?
米倉:そのエリアの中心地ですよね。それくらいしか上がってないんですよ。
―僕は最近路線価がタイムリーに時価を反映しているなって感じたことがあったんですけどね、大阪のミナミの心斎橋筋商店街の近くの土地の評価をすることがあって、商店街から何本か東にいった東心斎橋の土地ですが、そことその商店街のアーケードの通りを比べると商店街は800万円、3本ズレたら60万円みたいなことになってて。
米倉:ああ(笑)はいはい。
―いや、心斎橋商店街って外国人旅行客の爆買いもあって人気や人気やとは聞いてたけど、1本2本道ずれるだけでこんな路線価違うんかと思って。
米倉:ほんまですね。
―それみて、路線価って地価をこうも急速に反映するのかなとか思ったんですけどね。
米倉:でも、路線価60万円でも坪200万弱でしょ?それは、まだ地価の上昇反映してないと一緒ですもんね。
―あ、そういうことですか。実際は、もっと高いってことですよね? なるほど。そういうことですね。ちょっとスッキリしました。
米倉:そういうエリアに土地を持っているっていうことは、相続税の路線価は平米60万円でしょ、おそらく買値、売値は倍以上しますから。それだけの節税対策になっているということなんでしょうね。
―なるほど。実際には、そこはその土地の有効活用についていろいろなこと検討しているんですが、こと相続税の対策に関してだけでいうと、売っちゃうのはもったいないっていうことですよね?
米倉:もったいない。税理士さんが相続税対策を考える時に、資産の棚卸しをするじゃないですか。その時に納税資金いくらかかるから、どれを売ろうかって思う時に、相続税っていう軸と時価っていう軸を両方持ってもらって考えないとダメですよね。 今の物件なんかは、相続を迎える前に売っちゃダメなんですよ。別に売れる物件があるんであれば、通達評価と時価が近いものを先に売っとくべきですよね。
―地主さん一家の相続で土地はあるけどキャッシュがなくてみたいなケースで、納税資金が心配やったらそういう土地を持ったまま死んでもらって、実際に申告・納税するまでに売ればいいですよね?変な話ですが(笑)まぁ売った時の税金もありますけど。
米倉:そうですね。ただ、相続税の申告の期間が10ヶ月じゃないですか。不動産の売却に要する期間って通常半年~10ヶ月ぐらいなんで、もしその間に売ろうと思っていられるんであれば、先にその土地の境界確定をしとくとか、資料を精査しておくとか仲介業者に話を振っとくとか準備をしておくっていうことが重要になりますね。
―そうですよね。いまちょうど、境界確定を土地家屋調査士の先生にお願いしている案件があるんですが、すごくややこしい物件で、半年ぐらい法務局行ってもらったり役所行ってもらったりで全然進展がなくてこんな時間かかることあるんねんなと思って、これが相続発生後の案件やったら大変でした(笑)
米倉:そうですね。まぁでも境界確定をしないまま売ることも出来るじゃないですか。
―もちろんそうですね。
米倉:しないまま売ることも出来ますけど、どっちみち売るんだったら境界確定した後に売るほうがいいですもんね。
―そう。いずれやるんならだから被相続人の負担でやっておいてもらうほうが、相続してから相続人の負担でするよりそれはそれで相続税の節税対策にもなりますしね。
米倉:いいと思いますよ。それから、相続で土地を売る時って買い叩かれるイメージがあるでしょ?それは、時間がないからなんですよね。なので時間を作れるように準備しておくっていうのはすごい大事。 東心斎橋に関しては、準備ができていればすぐ売れるんで問題はないです。これがたとえば姫路市で持っていますといったら、準備をしていてもなかなか売れないんで。これはゆっくり時間をかけて先に売っておきましょうっていう物件ですよね。
つまり、相続税の評価、時価を知っておくのが大事なのと同様で、換金のスピードってやっぱりエリアによって違ってくるので、そこも把握しておく必要があるんですよ。これは相続発生後に売ってもいいよっていう物件と、これは時間短かったら叩かれるから先売っとこうっていうのと。そのへんはやっぱり目利きがいるなと思います。
―要りますよね。でも税理士の立場としては、どうしても普段から法人でお付き合いのあるお客さんだと相続が発生したらそういう準備ができていることが多いんですけど、相続が発生してから依頼を受けるケースっていうのがやっぱり相続の申告業務の中で過半なんです。そうなるとなかなかそこが手付かずのままになってしまってるんですよね。それで申告期限の10か月にあたふたする。
米倉:それはしゃあないですね。
―ね。とはいえ、そこは何か本当の専門家がアドバイスできるような仕組みっていうのがあるといいですよね。
米倉:なんかありそうですけどね。
―なんか、そういうケースも含めてどういうことを不動産オーナーさんは不動産鑑定士の先生に相談すればいいんですかね?
米倉:鑑定以外の部分ですか?
―そうですね。相続が発生して申告の際に鑑定評価をお願いしますっていう場合以外で。
米倉:鑑定以外の部分で言うと今受けてるのが、収益不動産を何個か持っているっていう会社さんの資産の入れ替えをしたいという相談ですね。まず、その物件についてキャッシュフローを見直しましょうということをやります。で、どの不動産がどんだけの収支を生んでるのか、修繕等の投資をどの物件に投下したらいいんだろう、あるいはどの物件を処分しようかっていうことを一緒に考えましょうみたいなことをしていますね。
―不動産オーナーであれば、法人個人問わずそういう相談に乗っていただけるんですか?
米倉:そうですね。もっとシンプルに1物件の収支改善をしましょうっていうのも最近やり始めました。
―収支改善?
米倉:そう、物件の収支改善。不動産オーナー業の人って、別に本業があったりして、不動産に関しては、よく分からんから任せっきりやねんみたいな人って結構いるじゃないですか。 状況を確認したら、ビルのメンテナンス費用がむちゃくちゃ高いままになってるとか、保険料ももっと見直しできますよとか、大きな融資についても、借り換えをしたらすごく良くなりますよね、みたいことがいっぱいでてくるんです。物件ごとのキャッシュフローをそれぞれ管理も把握もされてない人が多いので、そこを僕らがしっかり物件ごとに把握できるようにしてあげる。そうすると、見直せる部分がたくさん見えてくるので、それを見直していきましょうっていう業務ですね。
―この「不動産鑑定士による賃貸マンションのVALUE UP」(注:米倉先生が始められる新規事業)のチラシに書かれているバリューアップ項目にあるレントロールの作成とか収入アップの検討とか、空室率の改善とか、普通は管理会社がやるべき項目なのかなと思いますけど。例えばアパート持っている不動産オーナーの人とかって、ほとんどの人は金払って管理会社雇ってるじゃないですか。
米倉:管理会社をちゃんと雇っている人ばっかりじゃないですよ。僕らが鑑定をする時、不動産オーナーにレントロール出してくださいって言うんですよ。管理会社が入っている人からはレントロールすっと出てきますけど、入ってない人もいっぱいいて全然でてこなかったりするんですよ。出てきても、手書きのやつとかもかなり多いです(笑)
―管理会社を雇っていないってことは、管理はご自身でされているんですか?
米倉:そう。そうすると、「その物件の空室率って何%なの?」とか、「去年の収入いくらだった?」ってこともわからない人がものすごい多いんです。
―それなんで管理会社頼まないんですかね?そういう人達は。コスト倒れすると思ってる?
米倉:思ってるんじゃないですかね。
―でも、実際僕もクライアントの資産家の方の仕事してて、その人が雇ってる不動産管理会社に物件の1年間の収支やら明細を出してくれって言っても全然出てこなかったり、明細見てたら、ものすごい修繕費とられてたりってことがありましたね。
米倉:ああ(笑)。
―自分のとこで工事まで出来るから、無茶苦茶してるような管理会社って結構ありますよね。
米倉:あるんじゃないですかね。
―人の良い不動産オーナーがものすごく食い物にされてるなっていう印象があって。そういうところに頼むんやったら自分でやってる方がマシなんかもしれないですが、きちんとやってくれる管理会社とかってなかなか不動産オーナーの方が自分で見つけれないですよね。
米倉:そうっすね。ちゃんとウォッチしてあげる役目もいるんかな。
―要りますよね。ところでこの(注:「不動産鑑定士による賃貸マンションのVALUE UP」)ビジネスはどうやってお客さん捕まえていくんですか?
米倉:例えば、税理士さんのお客さんで「これ見直してよ」っていうお客さんってきっといるんじゃないかなって思うのでそういったところからの紹介ですね。
―これ見直しをした後、その物件の管理業務まで受託するんですか?
米倉:管理は受託しないですね。年間のキャッシュフローを作って、改善できるところを改善して、出来た分のいくらかを報酬として頂戴ねみたいな仕事にしようかなと思っています。
―法人に対するコスト削減のコンサルティング会社って一時流行ってたくさんあったじゃないですか。それの不動産版っていうような感じですか?
米倉:そうですね。僕自身分譲マンションに住んでて。築7年目の分譲マンション。43戸。今年管理組合の理事があたって、それこそマンションの管理費見たら高いんですよ。ちょっと高いと思うので見直しませんか?って言って見直したら、年間500万の管理会社に支払ってる費用が100万円減額になりましたからね。それで浮いたお金来年から修繕積立金に回しましょうねって言ったんですけど、めちゃくちゃいいじゃないですか。そいう改善って出来るよねって思ってます。
―なるほど。
米倉:どこまで改善の余地かは物件によって違って、もう見直す点ないですっていう物件もあるかもしれないですけど、まあ一通り見れば分かるので見直しましょうってことです。
―ちなみに、フィーはどこからもらうんですか?
米倉:不動産オーナーです。
―不動産オーナーからもらうんですね。実際に改善なんかをやってくれる提携業者からバックをもらうっていうのじゃなくて?
米倉:それは、あんまり考えてないですね。それをしだすとなんかようわからん話になってきそうなんで(笑)
―なるほど。いやぁ、そういう見直しって潜在的にニーズはものすごいあると思いますね。
米倉:面白いと思いますね。今の自分の住んでいるマンションについてもまだ見直せるぞと思ってて。まあ、1年で理事は辞めますけど(笑) やっぱり、ずっと誰かお目付け役がいるんですよ。何もせずほっとったらね、修繕積立金が足りないので今年から上げますって平気でいいますからね(笑)おそらく。
―そうですね。本当のプロのお目付け役がいるのといないのとではもう大違いでしょうね。
米倉:と思いますね。
―基本的には、営業は税理士事務所からですか?
米倉:税理士事務所からですね。はい。不動産オーナー直接でも全然いいんですけどね。 僕、税務に関する鑑定評価をやりだして8年目ぐらいなんですね。そこで、人のつながりも出来たし、税務で使える鑑定評価についてだいぶ勉強したし、その失敗例と成功例も積んできたのので、経験値はものすごいあると思ってるんですね、自分のことを、自分の会社のことを。で、結局不動産と税務はすごい繋がってるぞっていうのが僕の中にはあってそこは連携すべきやって思っているんです。 地主さんから直で案件入ってきても、そっから顧問税理士さんとのつながりを作って、一緒にやりましょうねって話になってきますね。僕ら鑑定士にしても税理士さんにしても情報共有すればやりやすいなと思ってて。そうすると、仕事がスムーズでオーナーさんにとってもいいと思うんで。このやり方がまずはいいかなと。
―そうですね。ただ、そもそもですが、不動産鑑定士の先生がどんな仕事をしはる人なのかっていうのは一般の不動産オーナーの方は全然ピンときてない人が多いと思うし、税理士でもそうなんじゃないかな。実は全然鑑定士と接点ないよっていう税理士も多いでしょうし、今おっしゃられたような経験がある不動産鑑定士の先生をどう探がしたらいいか分からない。不動産鑑定士の先生って皆さん開業するんですか?会計士のその監査法人、僕らの税理士法人みたいな大手のところに勤めている人のほうが多いんですか?
米倉:開業している方が多いと思います。人数で言うと。ただ、傾向としては開業者自体は減っていっています。というのも、J-REITの存在が鑑定業界に与えるインパクトがすごく大きいんですよ。J-REITが出来て10何年なんですけど、その鑑定ニーズって毎年評価なんでものすごく多いんです。J-REIT自体も増えてるじゃないですか。ただJ-REITは金融庁の管轄で、大手の鑑定会社しか使うなっていう話になっているので、大手3社がすごい大きくなってますね。それでそこに残る人が増えてるって状況です。
―大手3社って言ったらどこなんですか?
米倉:日本不動産研究所っていうところと、僕が前いた大和不動産(注:大和不動産鑑定株式会社)っていうとこと、大阪にある谷澤さん(注:谷澤総合鑑定所)。この3つが大きいです。
―その大手の名前すら僕らでも出てこないので、一般の人は全然知らないですよね。 しかし、そういうJ-REITとかの仕事が流れてこない個人レベルでやっている事務所とか中小レベルの鑑定士の先生のメインの仕事は何なんですか?
米倉:何なんでしょうね?(笑)
―路線価?
米倉:路線価とかもやってますね。
― 路線価評価を誰に頼むっていう時には、国は別にその事務所の規模っていうのは問わない?
米倉:問わない。僕もやってますもんね、路線価。でも、普通それだけでは生きていけないから。公的な評価がベースにはなっていますが。うち(注:FCS不動産鑑定株式会社)は超マイノリティやと思います。
―そうですよね。税理士とタッグを組んでやっていこうっていう不動産鑑定士の先生もそんなに多くないですよね?
米倉:そうですね。多分そうやと思います。そこに特化したというか、そこで動いたっていう鑑定士はあんまりいないかもしれない。税務と不動産関係っていうのも鑑定から見た場合は1つのマーケットなだけで、他にもありますもん。たまたま僕はそこに縁があって力を注いだと言うだけの話ですが。
― いやぁ、不動産は相続評価もそうですが、不動産業のクライアントって税務だけでも難しいし、売るなり買うなり、もっと有効活用しようていうとき、税務の観点からだけで考えてると間違うじゃないですか。当たり前ですけど。だから本当に難しい。
米倉:そうですね。
―不動産を守るとか殖やすとか言ったとき、税務って本当に極々小さい1パーツでしかいので、色々なプロと連携したいですね。
米倉:連携したいですね。不動産の世界って正解なんてあんまないんです。なんで、アイディアなんですよ。その人がわからない、気づかないことを気づくとかもそうですし。あとは、これだけは絶対やったらダメみたいなことを共有する。例えば、某建築メーカーの一括借上げのやつとか。
―そうですね。
米倉:それはもう絶対間違い。そういうのを止めてあげるのも税理士さんであり、我々であるんちゃうかなと思いますよね。
―なんか不動産まわりのことをワンストップでいろんな視点から見てくれる業者があればいいんでしょうけど、なかなかないんでやっぱり税理士なり鑑定士なり不動産業者なりがタッグを組んでいろんな角度からみてくれて提案してくれるみたいなところにやっぱり頼めるといいですよね。オーナーさんからすると。
米倉:そうですよね。そういうタッグでは税理士さんがすごい大きな役割を担ってると思いますよ。
―でも正直、不動産オーナー系の会社って税理士事務所はほったらかしにしがちなんですよ。 税理士の側にもっといろんな引き出しがあれば前向きな提案もできるんでしょうけど、しくじるとダメージが大きいだけに要らん事せんとこ、言わんとこになってるところがあるんでしょうね。
仰られるように不動産オーナーの不動産を守っていく、殖やしていくためのチームの要はやっぱり税理士ですよね。不動産オーナーにとっては、いい税理士と付き合いをできるかどうかがものすごく重要ですね。 税理士としては、税務の知識を深めるのは当然として、不動産鑑定士やそのほかの専門家とのネットワーク作り、連携みたいなものを深めていくことが重要なんだと再認識できました。
本日は貴重なお時間を長時間いただきまして有難うございました。
・所有する物件の「相続税評価額」と「時価」と「売却に要する時間」を常に把握せよ!資産の入替も順序が大切!
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FCS不動産鑑定株式会社
代表取締役 米倉誠人
所在地
◆大阪本社 大阪市淀川区宮原4丁目4−63新大阪千代田ビル別館3階
◆東京支社 東京都中央区銀座1丁目18−6井門銀座1丁目ビル3階
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